ポンプ業界M&Aの最新動向と事例 :大手グループからの事業移管、需要家による取得と海外での買収

ポンプ業界M&A・事業承継

(2026年10月更新)

国内メーカーのポンプの受注額(内需・外需の計)は、2024年度・2025年度とも約5,000億円でした。2017年以降のポンプ業界M&Aを見ると、国内では、住友重機械工業が蒸気タービン・プロセスポンプの新日本造機を酉島製作所に譲渡し、三菱電機がモータとタイのポンプ等の事業を荏原製作所に譲渡することで合意するなど、大手グループの事業をポンプメーカーに移す案件が続いています。ノーリツや新明和工業のように、ポンプを部品として調達してきた機器メーカーが、供給元を取得する例もあります。海外では、荏原製作所、日機装、鶴見製作所、イワキが、トルコ、北米、イタリア、北欧、中国などで、ポンプメーカーや販売会社を取得し、あるいは持分を引き上げています。

本稿では、国内外での買収・提携を検討される事業会社の経営企画・事業投資部門、投資ファンドのご担当者、および事業承継や資本政策を検討されているポンプメーカーのオーナー・親会社の皆様を念頭に、ポンプ業界の市場構造と業界プレイヤーの構図、国内の再編事例、国内のポンプメーカーによる海外での買収事例を整理し、買い手が確認する業界固有の要素と、買収・売却それぞれの論点をまとめます。


1. ポンプ業界の市場構造 — 約5,000億円の受注と再編の要因

業界の範囲と統計

本稿でいうポンプ業界は、経済産業省「生産動態統計」のポンプ(うず巻ポンプ、軸・斜流ポンプ、回転ポンプ、耐しょく性ポンプ、水中ポンプ、その他のポンプ)を製造するメーカーと、その販売・保守を担う会社です。真空ポンプは、同統計ではポンプと同じ調査票(ポンプ、圧縮機及び送風機)に含まれますが、半導体製造装置向けなど需要の構成が異なるため、本稿では金額を分けて示します。油圧ポンプは油圧機器として別の統計で扱われ、本稿の統計の範囲には含めていませんが、ポンプを部品として使う需要家による取得の例として事例④で取り上げます。

本稿で使う統計は3つあり、数え方が異なります。日本産業機械工業会の受注統計は年度の受注額、生産動態統計は暦年の生産額、経済構造実態調査は事業所の製造品出荷額等です。対象とする事業所や品目も一致しないため、金額を単純に比較することはできません。

市場規模

日本産業機械工業会の産業機械受注統計によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)のポンプの受注額は5,028億円で、前年度比0.7%減でした。内需は前年度比1.2%減、外需は同0.6%増です。2024年度は5,065億円(前年度比6.8%増)で、内訳は内需3,713億円、外需1,352億円でした(日本産業機械工業会 産業機械受注状況 2026年3月および2025年度)。

同会が2026年3月に公表した見通しでは、2026年度のポンプの受注を5,424億円としています。これは、同じ時点での2025年度の見込み(5,191億円)に対して4.5%増で、2025年度の実績(5,028億円)に対しては7.9%増にあたります。内需については、企業の脱炭素・老朽設備の更新や、2026年度からの国土強靭化の新たな5か年計画を挙げる一方で、資材・人件費の高騰による工事の先送りが残るとしています。外需については、北米のデータセンター向けの需要、LNG市場の回復、アジア・中東の石油化学、中国の電力市場を挙げています(日本産業機械工業会 2026年度産業機械の受注見通し)。

生産動態統計では、2025年のポンプの生産額は2,943億円で、2024年の2,710億円から8.6%増えました。品目別の内訳は次のとおりです(経済産業省「生産動態統計」、2025年は年間補正値)。

品目2025年の生産額構成比
うず巻ポンプ(単段式)676億円23.0%
耐しょく性ポンプ640億円21.8%
うず巻ポンプ(多段式)595億円20.2%
軸・斜流ポンプ273億円9.3%
水中ポンプ(汚水・土木用)251億円8.5%
その他のポンプ248億円8.4%
回転ポンプ194億円6.6%
その他の水中ポンプ(清水用を含む)65億円2.2%
合計2,943億円100.0%

金額と構成比は千円単位の値から計算しており、端数処理のため各品目の合計は合計欄と一致しない場合があります。

同じ調査票の真空ポンプの生産額は、2025年に671億円でした。

事業所と従業者は、経済構造実態調査で確認できます。2025年経済構造実態調査(製造業事業所調査)によると、「ポンプ・同装置製造業」の事業所は316、従業者は1万7,031人、製造品出荷額等(2024年)は8,221億円で、1事業所あたりの従業者は平均約54人です。同調査の統計表に掲載された2021年の値は、事業所319、従業者1万5,808人、製造品出荷額等6,417億円でした(経済産業省「経済構造実態調査」製造業事業所調査)。

数量では、日本産業機械工業会の汎用ポンプ出荷統計(汎用ポンプ委員会の参画会社の集計。2024年度までを公表)で、陸上・水中・給水・消火の汎用ポンプの出荷台数が、2016年度の64万6,706台から2024年度は60万8,017台となりました。

需要分野別の特性

ポンプは、扱う流体、温度、圧力、使われる設備によって、顧客、採用の決まり方、販売の経路が異なります。M&Aでも、どの需要分野で実績を持っているかによって、関心を持つ買い手が異なり得ます。

需要分野主な製品事業上の特性本稿の事例
上下水道・河川・農業用水軸・斜流ポンプ、汚水用の水中ポンプ、深井戸用ポンプ、大型のうず巻ポンプ国・自治体等の発注が中心。据付と更新・保守の実績が受注の条件Hayward Gordon(事例⑦、公共下水向け)、Vansan(事例⑦、深井戸用)、Zenit(事例⑧、水中ポンプ)
建築設備給水ポンプユニット、消火ポンプ、汎用のうず巻ポンプ設備業者・代理店を経由する流通網が販売を左右Germek(事例⑦、消防向け)
産業プロセス・発電多段うず巻ポンプ、耐しょく性ポンプ、キャンドモータポンプ(モータとポンプを一体にして液漏れを防ぐ構造)、定量ポンプ顧客の仕様に合わせた設計と採用実績。アフターサービスが収益の一部新日本造機(事例①)、LEWA(事例⑥)、Iwaki Nordic(事例⑨)
液化ガス・水素極低温ポンプ極低温の流体を扱う設計とプラントの実績Cryogenic Industries(事例⑥)
機器への組込み小型ポンプ、トロコイドポンプ、油圧ポンプ給湯器、工作機械、特装車などのメーカーの設計に組み込まれ、継続して供給荻原製作所(事例③)、OSK(事例④)、日本オイルポンプ(事例⑤)
半導体・真空真空ポンプ半導体製造装置メーカーとの開発と採用セイコーインスツルのターボ分子ポンプ事業(第6章)

業界再編を動かす5つの要因

  1. 公共インフラの更新と建設コスト — 国土交通省によると、国・都道府県等が管理する河川管理施設(水門、揚水機場・排水機場等、約2万8千施設)のうち、建設後50年以上が経過する施設の割合は、2023年3月の約22%から、2030年3月に約42%、2040年3月に約65%に上がる見込みです(国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」)。日本産業機械工業会は、2025年度のポンプの内需について、国土強靭化による更新需要が続く一方、建設コストの上昇、鉄鋼業の低迷、非効率な石炭火力の廃止に伴うアフターサービスの減少などが伸びを抑えたとしています。更新・保守の実績と体制は、買い手が対象会社の受注の見通しを評価する際の確認事項となります。
  2. 省エネとモータ・制御の一体化 — 荏原製作所は、三菱電機からのモータ事業の取得にあたり、モータはポンプや送風機などの動力源であり、国内の総消費電力量の約55%をモータが占めるとも言われていること(日本電機工業会の資料として引用)を挙げ、モータと回転制御の技術を一体化した省エネのソリューションを提供するとしています(事例②)。事例②では、ポンプメーカーが、ポンプ本体だけでなく、駆動するモータの設計・生産を取り込もうとしています。
  3. エネルギー転換と海外の需要 — 日本産業機械工業会は、2026年度の外需の増加要因に、北米のデータセンター向け需要、LNG市場の回復、アジア・中東の石油化学を挙げています。日機装は、ドイツのLEWAなどの売却にあたって「次世代エネルギー関連市場へ経営資源を集中」するとし、2017年には米国の極低温機器グループを取得して産業ガス・水素を含むクリーンエネルギーの市場への参入機会を得るとしていました(事例⑥)。荏原製作所は2026年10月、液体水素ポンプの製品試験・開発センターの全面稼働を公表しています。鶴見製作所の2026年3月期の売上高のうち、顧客の所在地が日本以外の分は約5割でした。第4章の海外での取得では、こうした市場への参入(事例⑥)と、地域の市場へのアクセス(事例⑦)が理由に挙げられています。
  4. 大手グループの事業ポートフォリオの見直し — 住友重機械工業は、新日本造機の譲渡について、「中期経営計画 2026」のポートフォリオ改革に向けて「選択と集中」を加速させるとし、グループ内では想定していたセグメント間の連携や事業への組込みの機会が限定的であったと説明しています(事例①)。三菱電機は、新城工場の三相モータ事業などを荏原製作所に移し、主軸モータ・サーボモータの事業は継続します(事例②)。大手グループの非中核のポンプ関連事業を、ポンプメーカーに移す案件が続いています(事例②は2026年中の完了を予定)。
  5. 事業承継 — 中小企業庁は、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者が約245万人となり、うち約半数の127万人で後継者が未定となること、このまま廃業が増えれば2025年までの累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があることを試算していました(中小企業庁「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性」)。本稿の調査の範囲では、事業承継を譲渡の理由として公表したポンプメーカーの事例は確認できませんでした。一方、非上場のポンプメーカーでは、個人株主が株式の一部を保有していた荻原製作所を需要家のノーリツが子会社化し(事例③)、日本オイルポンプではファンド・投資会社の間で保有者が替わっています(事例⑤)。事業承継を理由とする公表事例はないものの、非上場のポンプメーカーの資本の選択肢には、同業への譲渡に加えて、需要家やファンド・投資会社への譲渡があります。

2. 業界プレイヤー構図

総合大手

会社本社連結売上収益ポンプが属する主なセグメント(外部顧客への売上収益)
荏原製作所東京都大田区9,583億円(2025年12月期)建築・産業 2,419億円(標準ポンプ、冷熱機械、送風機)、エネルギー 2,178億円(カスタムポンプ、コンプレッサ、タービン、クライオポンプ)、インフラ 571億円(農業用・排水・上下水道ポンプ)

荏原製作所は、このほか精密・電子(真空ポンプ、半導体製造に使うCMP装置等)で3,423億円、環境で979億円の売上収益があります。同社は国内で三菱電機からモータ事業を取得することで合意し(事例②)、海外ではトルコと北米でポンプメーカーを取得し、ブラジルでも取得の契約を公表しています(事例⑦)。

上場の中堅・専業メーカー

会社本社連結売上高主な領域・直近の動き
日機装東京都2,156億円(2025年12月期)工業部門1,370億円(うちインダストリアル事業1,171億円:産業用ポンプ・システム、液化ガス・産業ガス関連機器等)と医療部門789億円(部門の数値は調整前)。2022年にドイツのLEWAなどを売却
酉島製作所大阪府高槻市929億円(2026年3月期)ポンプ。住友重機械工業は、高温・高圧・大流量ポンプ等の社会インフラ分野に強みを持つ流体回転機器の総合メーカーとして同社を譲渡先に選んだと説明。2026年7月に新日本造機を取得
鶴見製作所大阪市鶴見区(大阪本店)、東京都台東区(東京本社)772億円(2026年3月期)水中ポンプが主力。顧客の所在地別で売上高の約5割が日本以外。2024年にイタリアのZenitを完全子会社化
イワキ東京都千代田区477億円(2026年3月期)ケミカルポンプをはじめとする流体制御機器。北欧・香港・上海の合弁会社の持分を引き上げ
TEIKOKU(旧 帝国電機製作所)兵庫県たつの市291億円(2026年3月期)キャンドモータポンプ、定量ポンプ。2026年4月に商号を変更し、ポンプ事業の単一セグメントに
電業社機械製作所東京都大田区282億円(2026年3月期)ポンプ、送風機、エネルギー回収装置、バルブ
タクミナ大阪市中央区112億円(2026年3月期)定量ポンプ

TEIKOKUは、商号の変更にあたり、ポンプの中核事業に集中してグローバルな成長を目指すとし、2024年12月には電子部品事業を停止しています。同社の海外での取得は、米国Crane社のケミポンプ事業部の買収(2003年)、インドのHydrodyneの子会社化(2017年)などです。

他業種の企業・大手グループ内のポンプ事業

ポンプは、他業種の上場企業や大手グループの子会社でも手がけられています。新明和工業(兵庫県宝塚市)の流体セグメントは、ポンプと水処理関連製品で2026年3月期の売上高が300億円です。古河機械金属の100%子会社である古河産機システムズ、日立製作所の100%子会社である日立産機システム、クボタの水・環境部門、三菱重工業も、ポンプを製品に持っています。住友重機械工業の100%子会社であった新日本造機は、2026年7月に酉島製作所の子会社となりました(事例①)。

非上場の専業メーカー

非上場のポンプメーカーには、特定の用途・製品に特化した専業が多くあります。本稿で取り上げる会社では、川本製作所(名古屋市、1949年設立、従業員754名、建築設備用・農漁業用・家庭用等のポンプ)、テラル(広島県福山市、1950年設立、従業員992名、2025年度の売上高422億円、ポンプ・送風機・給水装置)、兵神装備(神戸市、1968年設立、連結従業員512人、2025年12月期の連結売上高188億円、モーノポンプ)、寺田ポンプ製作所(奈良県大和高田市、1950年創立、自吸式うず巻ポンプ・水中モーターポンプ等)、大晃機械工業(山口県田布施町、大晃ホールディングスの中核会社、ドライ真空ポンプ・歯車ポンプ等)、樫山工業(長野県佐久市、真空ポンプ、2025年3月期の連結売上高720億円)、日本オイルポンプ(埼玉県熊谷市、1919年創業、トロコイドポンプ。事例⑤)などがあります。非上場の会社は、資本構成や業績の開示が限られます。

関西に所在する企業

本稿で取り上げる企業のうち、酉島製作所(高槻市)、鶴見製作所(大阪本店)、タクミナ(大阪市)、クボタ(大阪市)は大阪府に、新明和工業(宝塚市)、TEIKOKU(たつの市)、兵神装備(神戸市)は兵庫県に、寺田ポンプ製作所は奈良県に所在しています。事例③の買い手のノーリツも、神戸市に本社を置いています。


3. 国内のポンプ業界M&A事例 — 大手グループからの事業移管、需要家による取得、ファンド・投資会社の間の承継

事例① 酉島製作所 × 新日本造機(2026年7月取得完了)— 重機大手の子会社をポンプメーカーが取得

酉島製作所は2026年2月、住友重機械工業が全株式を保有する新日本造機(東京都品川区、1973年設立)の全株式17,397,200株を取得する株式譲渡契約を締結しました。新日本造機の事業は、蒸気タービン・プロセスポンプの製造・販売です。取得価額は149億円(見込)で、このほかアドバイザリー費用等が約1億円(見込)です。取得価額は、2025年12月末時点の新日本造機の現預金残高をもとに、手元資金が60億円となるよう特別配当等で調整することを前提としており、株式譲渡の実行日までに新日本造機から住友重機械工業へ特別配当を行う予定とされていました。酉島製作所は、外部専門家のデューデリジェンスと第三者算定機関による株式価値の算定を経て、双方の協議で価格を決めたとしています。

新日本造機の連結業績は、売上高が2023年12月期171億円、2024年12月期158億円、2025年12月期192億円、営業利益が同じく4億円、22億円、24億円で、2025年12月期の純資産は338億円でした。純資産は特別配当の前の値で、特別配当の額は開示されていません。

売り手の住友重機械工業は、新日本造機がエネルギー・石油化学分野をはじめ国内外で評価を得てきた蒸気タービン、ポンプおよびアフターサービスの技術・実績を持つ一方、グループ内では想定していたセグメント間の連携や事業への組込みの機会が限定的であったとし、その価値を引き出すには、流体回転機器の総合メーカーの下で事業を展開することが有効と判断しました。酉島製作所との組み合わせにより、両社の技術・製品の相互補完を通じて新日本造機の競争力の強化と価値の最大化が実現できると説明しています。買い手の酉島製作所は、新日本造機の製品競争力・技術力と、自社のグローバルな営業・サービスのネットワークと運営ノウハウの融合を挙げ、両社の技術・製品の組み合わせは相互に補完関係にあるとしています。

住友重機械工業は、2026年7月1日付で株式の譲渡を完了し、2026年12月期第3四半期に関係会社株式売却損約40億円を計上する見込みと開示しています。

本案件は、(i)重機大手が、グループ内での連携が限られていた蒸気タービン・ポンプの子会社を、ポンプを主力とするメーカーに移した、(ii)買い手が、自社の営業・サービス網と対象会社の製品・技術の組み合わせを取得の理由とした、(iii)売り手が、売却損の計上を見込みながら、譲渡先の選択を事業の価値を引き出す観点から説明した、という点を示しています。

事例② 荏原製作所 × 三菱電機の三相モータ事業等(2025年合意、2026年中の完了を予定)— ポンプの駆動源の事業を取得

三菱電機と荏原製作所は2025年11月、三菱電機の名古屋製作所新城工場(愛知県新城市)の三相モータ・IPMモータ事業と、タイの子会社Mitsubishi Electric Automation (Thailand)が手がける産業用モータ、ポンプ、ダイカストの事業を、荏原製作所に譲渡することで合意しました。荏原製作所が新設する100%子会社に、事業に関わる資産・権利・義務を譲渡する形で、関係当局の審査・承認を経て、2026年中に譲渡を完了する予定と公表しています。新城工場で生産するCNC用の主軸モータ・サーボモータの事業は、三菱電機が継続します。価格は開示されていません。

荏原製作所は、モータがポンプや送風機などの産業機械の動力源として重要な役割を担っていること、国内の総消費電力量の約55%をモータが占めるとも言われていることを挙げ、取得する生産設備、設計・開発力、技術ノウハウを生かして、モータと回転制御の技術を一体化した省エネのソリューションを提供し、グローバル市場での成長を加速するとしています。三菱電機が2026年6月付で販売店向けに出した案内では、事業譲渡の実行日は荏原製作所との間で協議・準備を進めているとし、事業譲渡日以降(2026年11月予定)の生産分から製品の銘板を変更する予定としています。

本案件は、(i)ポンプ大手が、主に駆動源であるモータの設計・生産の取り込みを目的とした(タイのポンプ事業も対象に含む)、(ii)電機大手が、CNC用の主軸・サーボモータの事業を残して、三相モータ等の事業を、モータを使う側の機械メーカーに移す、(iii)国内の工場とタイの事業を一体で移す、という点を示しています。

事例③ ノーリツ × 荻原製作所(2025年12月)— 需要家による出資先・供給元の子会社化

荻原製作所(長野県伊那市、1954年設立)は、小型ポンプと水処理装置の設計・製造・販売を行う非上場企業で、従業員は180名です。2024年10月期の売上高は33億2,300万円で、営業損失6,000万円、当期純損失2億2,500万円を計上していました(2022年10月期の売上高は37億9,100万円)。2025年10月末時点の株主は、ノーリツ32.5%、個人株主3名で計43.7%、リコー15.2%などで、荻原製作所はノーリツの温水空調分野の基幹部品を供給していました。

給湯器メーカーのノーリツ(神戸市)は2025年11月、簡易株式交付により荻原製作所を子会社化することを決議しました。荻原製作所の株式1株に対してノーリツの株式12.05株を交付し、交付する株式には自己株式を充てる方法です。2025年12月19日の効力発生により、ノーリツは荻原製作所の株式30,325株を譲り受けて365,416株を交付し、保有比率は32.5%から69.9%に上がりました(直接保有)。

ノーリツは、温水空調分野の基幹部品の供給を担う荻原製作所を子会社化することで、垂直統合による収益力の強化、品質管理体制の向上、安定的な供給体制の確立を実現できるとし、中期経営計画「Vプラン26」の「ものづくり戦略」の礎になると説明しています。あわせて、顧客基盤の拡大、技術力・品質の向上、仕入れの効率化、コスト低減を見込んでいます。

本案件は、(i)小型ポンプメーカーの買い手が、同業のポンプメーカーではなく、その製品を基幹部品として調達してきた需要家であった、(ii)32.5%の既存の資本関係が子会社化に先行した、(iii)対価に現金ではなく買い手の株式が使われ、株式を譲渡した株主は買い手の株主となった、という点を示しています。

事例④ 新明和工業 × OSK・WAKO(2021年)— 需要家による油圧ポンプの製造事業の取得

新明和工業は2021年7月、油圧ポンプ、減速機その他の油圧機器部品の製造・販売を行うOSK(本店神戸市、工場神奈川県綾瀬市、従業員125人)と、油圧ポンプ・減速機等の鋳造加工・めっき加工を行うWAKO(工場岡山市、従業員90人)の全株式を取得しました。取得前は、OSKを大窪精機工業が、WAKOを和光機工がそれぞれ100%保有していました。価格と対象の業績は開示されていません。

新明和工業は、特装車事業の部品調達として、大窪精機工業・和光機工の両社から特装車に搭載する主要部品を長く調達してきた関係にあり、両社の製造に関する部分を譲り受けることで、ダンプ車、脱着車、テールゲートリフタ等のキーコンポーネントの安定供給と、新たな機能部品の開発による特装車全般の製品力の向上を図るとしています。

本案件は、(i)事例③と同じく、ポンプを部品として調達してきた需要家が供給元を取得した、(ii)取得の対象は、売り手の会社全体ではなく、製造に関する部分であった、という点を示しています。

事例⑤ 日本オイルポンプ(2013年・2018年)— 国内のファンドから海外の投資会社へ、さらに別のファンドへ

日本オイルポンプ(埼玉県熊谷市)は、主に工作機械の油の循環に使われるトロコイドポンプや、ウォーターポンプ、油圧モータの設計・開発・製造を行う非上場企業です。フランスの上場投資会社Wendelは2013年11月、ポラリス・キャピタル・グループが運営するファンドが保有していた同社を取得することで合意し、経営陣とともに98%を保有するとしました。Wendelの出資額は32億円(価格調整前)で、日本オイルポンプの2012年の売上高は50億円、EBITDA(利払い・税金・償却前利益)は11億円(マージン22%)とされています(IFRSによる推計値)。Wendelにとって日本での最初の投資で、同社は日本オイルポンプを、日本の工作機械メーカーの主要な供給元であり日本の外でも成長できる会社と評価し、海外での成長を支援するとしていました。

Wendelは2018年11月、日本オイルポンプをCITIC Capital Japan Partners III, L.P.に売却することで合意し、企業価値は調整後EBITDAの約11倍と公表しました。Wendelは、保有期間(2013年12月〜2018年11月)に日本オイルポンプの売上高が48億円から61億円に増えたとしています。売却は2018年11月28日に完了し、Wendelの手取りは約8,500万ユーロ(当初出資の約3.5倍)でした。

本案件は、(i)非上場のポンプメーカーで、国内のファンドから海外の投資会社、さらに別のファンドへと、5年ほどの間に保有者が2度替わった、(ii)海外の買い手が、国内の工作機械メーカーへの供給実績と海外での成長の余地を評価した、(iii)売却時の価格水準(調整後EBITDAの約11倍)が売り手から開示されている、という点を示しています。


4. クロスボーダーのポンプ業界M&A事例 — 国内のポンプメーカーによる海外での買収と売却

国内で売却や提携を検討するオーナーにとっては、国内のポンプメーカーが海外で何を、どの基準で、価格が開示された事例ではどの価格水準で買っているかが、自社が買い手からどう評価されるかを考える材料になります。国内外での買収を検討する事業会社にとっては、同業の投資基準の参照例になります。以下の倍率は、各社の開示値から当社が計算したものです。

事例⑥ 日機装 × Cryogenic Industries(2017年)、LEWA・GevekeのAtlas Copcoへの売却(2022年)— 取得と売却による事業の入れ替え

日機装は2017年4月、米国のCryogenic Industriesグループ(遠心ポンプ・往復動ポンプ等のACD、空気分離・ガス液化プラントの設計・調達・建設(EPC)を行うCosmodyne、熱交換器のCryoquipと統括会社の計22社)の全株式を取得すると発表し、同年8月に取得を完了しました。発表時の取得価額は概算4億3,800万米ドル(約490億円)で、対象の2016年9月期の売上は1億5,600万米ドル、EBITDAは1,300万米ドル、純資産は1億4,400万米ドルでした。取得価額は、売上の約2.8倍、EBITDAの約34倍、純資産の約3.0倍にあたります。日機装は、Cryogenic Industriesのコア技術である遠心ポンプや往復動ポンプが自社と共通する技術要素を持ち、製品・サービスの強化やサービスネットワークの拡充が期待できることと、産業ガスや水素を含むクリーンエネルギーの市場への参入機会を得ることを理由に挙げています。

一方、日機装は2009年に取得したドイツのLEWA(ダイヤフラム式の定量ポンプ、プロセスポンプ)と、2013年に取得したオランダのGevekeの全株式を、2022年にスウェーデンのAtlas Copcoに約6億9,600万ユーロ(約870億円)で売却し、同年8月1日に完了しました。日機装は、事業ポートフォリオの見直しを通じて次世代エネルギー関連市場へ経営資源を集中するとし、売却資金を有利子負債の圧縮などに充てるとしています。譲渡方針を公表した2021年12月の開示に記載された直近の通期実績である2020年12月期の両社の売上収益は合計3億720万ユーロ、営業利益は合計3,490万ユーロ、資本は合計1億7,050万ユーロで、売却価額は営業利益の約20倍、資本の約4.1倍にあたります。日機装は、2022年12月期に関係会社株式売却益368億円を計上しました。

本案件は、(i)国内のポンプメーカーが、海外のポンプ事業を取得と売却の両面で入れ替えた、(ii)取得の対象は、自社と共通する技術を持ち、成長が見込まれる市場に参入できる事業であった、(iii)EBITDAの約34倍の価格で、成長が見込まれる市場への参入を理由に取得した例と、取得から13年後に海外の同業へ売却した例が、同じ会社にある、という点を示しています。

事例⑦ 荏原製作所 × Vansan(2021年)・Hayward Gordon(2022年)・Germek(2025年契約)— 標準ポンプの地域拠点の取得

荏原製作所は2021年4月、トルコの深井戸用水中モーターポンプ・立形ポンプのメーカーVansanの持株会社の全株式を取得しました。契約時の価格は約1億800万米ドルで、対象の2019年の連結売上高は約6,400万米ドル、従業員は576名でした。契約時の価格は売上高の約1.7倍にあたり、確定した取得対価107億6,800万円のうち、のれんは73億700万円でした。同社は理由に、欧州、中央アジア、中東、アフリカの市場へのアクセスの強化と、標準ポンプ事業のサプライチェーンの充実を挙げています。

2022年9月には、カナダ・米国で固形物を含む上下水向けのポンプやミキサーを手がけるHayward Gordonの全持分を、現金148億2,000万円(価格調整前の暫定値)で取得しました。暫定ののれんは110億1,500万円です。理由は、北米での標準ポンプ事業の拡大に向けた、公共下水、産業装置およびプロセス市場向けの製品の拡充と販路の獲得です。

2025年11月には、ブラジルの子会社を通じて、消防・農業向けのポンプユニットの設計・製造・販売・サービスを行う同国のGermekの全持分を取得する契約を公表し、クロージングは2026年1月末ごろの予定としました。荏原製作所は、この案件が約6年間で海外に新たに設ける12番目の拠点になるとし、成長市場をとらえるために、M&Aを含めて新たな拠点に投資していると説明しています。

本案件は、(i)国内大手が、標準ポンプの事業で、地域ごとに生産拠点と販路を持つ地場のメーカーを全株取得している、(ii)売上高が開示されたVansanでは価格が売上高の約1.7倍で、Vansan・Hayward Gordonとも取得対価の約7割がのれんに配分された、(iii)取得の理由は、製品の補完よりも、地域の市場へのアクセスと販路の獲得に置かれている、という点を示しています。

事例⑧ 鶴見製作所 × Zenit(2019〜2024年)— 提携から段階的に完全子会社化

鶴見製作所は、イタリアの水中ポンプメーカーZenit International(モデナ県、1959年設立)と2019年に技術・業務提携を結び、同社の社債を引き受けていました。2022年9月に個人株主から36%を約1,400万ユーロで取得して持分法適用関連会社とし、2024年7月1日には転換社債型新株予約権付社債の権利行使により保有比率を48.49%に引き上げて連結子会社としました。同年7月15日には残りの株式を株主から約2,700万ユーロ(約47億円)で取得し、完全子会社としています。Zenitの2023年12月期の売上高は4,130万ユーロ、営業利益は553万ユーロ、当期純利益は451万ユーロでした。2024年の取得価格から100%を換算すると約5,240万ユーロで、2023年12月期の売上高の約1.3倍、当期純利益の約11.6倍にあたります。

鶴見製作所は、長期的な成長基盤・収益基盤の拡大を理由に挙げています。2025年3月期の連結決算では、段階取得に係る差益17億円を特別利益に計上し、のれん31億円と顧客関連資産9億円を計上しました。

本案件は、(i)国内の専業メーカーが、個人株主が保有していた海外の同業を、提携、社債の引受け、少数出資、過半に近い出資、完全子会社化の順に、5年をかけて取得した、(ii)主な段階で、価格と保有比率が開示されている、という点を示しています。

事例⑨ イワキ × 海外の合弁会社(2020年・2022年)— 合弁相手からの持分の取得

イワキは2020年、デンマークの販売会社Iwaki Nordicの持分を、共同出資者の資産管理会社から60%(528万ユーロ、約6億1,200万円)取得し、保有比率を40%から100%にしました。2019年4月期のIwaki Nordicの売上高は約7億8,400万円、当期純利益は約7,000万円で、100%換算の価格は売上高の約1.3倍、当期純利益の約14.6倍にあたります。イワキは、北欧を欧州の重要な販売拠点と位置づけ、グループのシナジーを最大化できると判断したとしています。

2022年には、合弁相手から持分を譲渡したいとの申し入れを受け、香港の易威奇有限公司(IPH)の持分を40%から100%に(取得額1億180万香港ドル、約17億7,200万円)、上海の販売会社(IPS)の持分を40%から90%に(3,150万人民元、約6億4,200万円)引き上げ、2022年9月30日付で連結子会社としました。理由は、中国市場での一層の事業拡大です。

本案件は、(i)国内のポンプメーカーが、海外の販売拠点を、合弁相手の持分を買い取る形で連結子会社にしている、(ii)2022年の取得は、合弁相手からの申し入れが起点であった、という点を示しています。


5. ポンプ業界M&Aで買い手が確認する業界固有の要素

ポンプメーカーのM&Aでは、財務数値に加えて、ポンプ業界に固有の要素が確認されます。国内の事業の取得と、国内メーカーによる海外での取得の双方について、事例の買い手が公表した取得の理由と統合効果をもとに、製品・技術、顧客・販売・サービス網、生産・供給の3つに整理します。

  1. 製品・技術 — どの流体・温度・圧力・用途に向けた製品を持ち、どの顧客の仕様に採用されているかです。事例①の買い手は、蒸気タービン・プロセスポンプの製品競争力・技術力と、自社製品との相互補完を、事例⑥の買い手は、遠心ポンプ・往復動ポンプで自社と共通する技術要素を挙げています。事例⑦では、公共下水・産業装置向けの製品の拡充が理由の一つでした。
  2. 顧客・販売・サービス網 — 地域の販路、代理店網、アフターサービスの体制です。事例①の買い手は、自社のグローバルな営業・サービスのネットワークに対象の製品を組み合わせることを、事例⑦の買い手は、欧州・中東・アフリカや北米での販路の獲得を、事例⑨の買い手は、北欧・中国の販売拠点を挙げています。本稿の事例以外では、日機装が2015年、Atlas Copcoから米国のクライオジェニックポンプ事業を譲り受けた際に、アフターセールス事業の取り込みによる収益の安定化を目的に挙げています(日機装の開示)。
  3. 生産・供給 — 生産設備、部品の内製、品質管理と安定供給です。需要家が買い手となった事例では、事例③が垂直統合、品質管理、安定供給を、事例④がキーコンポーネントの安定供給と新たな機能部品の開発を、取得の理由に挙げています。事例②の買い手は、モータの生産設備と設計・開発力を、事例⑦の買い手は、サプライチェーンの充実を挙げています。

6. ポンプ業界の買い手の類型

本稿の事例に表れた買い手は、大きく3つに分けられます。類型ごとに、取得の目的が異なります。

  1. 国内のポンプメーカー — 酉島製作所(事例①)、荏原製作所(事例②⑦)、日機装(事例⑥)、鶴見製作所(事例⑧)、イワキ(事例⑨)。国内では大手グループのポンプ関連事業を、海外では地域の生産拠点・販路を持つメーカーや販売会社を取得しています。
  2. ポンプを部品として使う需要家 — ノーリツ(事例③)、新明和工業(事例④)。自社製品の基幹部品の安定供給と品質を目的に、調達先のポンプメーカーや製造事業を取得しています。事例③では、既存の資本関係が子会社化に先行しました。
  3. ファンド・投資会社 — 日本オイルポンプ(事例⑤)では、国内のファンド、フランスの上場投資会社、別のファンドが順に保有しました。売り手の投資会社は、保有期間中の売上の成長と売却の価格水準を開示しています。

海外の事業会社が国内のポンプメーカーやその事業を取得した事例は、本稿で一次情報を確認できた範囲では、2002年の1件です。英国BOCグループの真空機器部門BOC Edwardsが同年2月に、セイコーインスツルのターボ分子ポンプ事業の取得を公表し、3月に完了しました。BOCグループは、半導体の製造装置に真空ポンプを直接組み付ける流れが強まるなかで、真空のサブシステムを開発する力を高めることを主な目的とし、半導体の景気循環の底で複数の取得を行ったと説明しています。海外の事業会社も、譲渡先の候補として個別に検討の対象となります。


7. 買収・提携を検討する事業会社・投資ファンドへの示唆

本稿の事例から、ポンプメーカーの買収・提携を検討する事業会社と投資ファンドにとっての論点を3つに整理します。

① 対象先の所在

国内の事例の対象先は、大手グループ内の子会社・事業(事例①の新日本造機、事例②の三菱電機の三相モータ事業等)と、非上場のポンプメーカー(事例③④⑤)に分かれます。買い手は、ポンプメーカー(事例①②)、ポンプを部品として使う需要家(事例③④)、ファンド・投資会社(事例⑤)でした。既存の関係が取得に先行した例が多く、事例③では32.5%の出資と基幹部品の供給が、事例④では長年の部品の調達が、海外の事例⑧では技術・業務提携と社債の引受けが先にあり、事例⑨の2022年の取得は合弁相手からの申し入れが起点でした。非上場のポンプメーカーは資本構成や業績の開示が限られるため(第2章)、取引関係のない先を対象とする場合は、オーナー・親会社への直接の打診が必要になります。

② 取引の形

事例には、全株式の取得(事例①。手元資金を60億円とする特別配当を前提に価格を設定)、事業に関わる資産・権利・義務を買い手の新設子会社に移す事業譲渡(事例②)、製造に関する部分だけの取得(事例④)、買い手の株式を対価とする株式交付(事例③)、提携から段階的に保有比率を上げる完全子会社化(海外の事例⑧)、合弁相手の持分の買取り(海外の事例⑨)があります。日本オイルポンプでは、国内のファンドから海外の上場投資会社へ、さらに別のファンドへと、5年ほどの間に保有者が2度替わり、2018年の売却時の企業価値は調整後EBITDAの約11倍と開示されています(事例⑤)。どの形をとるかは、親会社・オーナーの意向と、買い手の統合計画によって決まります。

③ 売り手が重視する点

住友重機械工業は、新日本造機についてグループ内での連携や事業への組込みの機会が限定的であったとし、その価値を引き出すには流体回転機器の総合メーカーの下で事業を展開することが有効と判断したと説明しています。同社は売却損約40億円の計上を見込んでいます(事例①)。日機装は、LEWAとGevekeの売却にあたり、次世代エネルギー関連市場へ経営資源を集中するとしています(事例⑥)。これらの説明からは、事例の事業会社の売り手が、価格に加えて、譲渡先のもとで事業の価値を引き出せるかどうかを、譲渡先を選ぶ理由としていたことがうかがえます。ファンド・投資会社の売り手は、保有期間中の売上高の成長(48億円から61億円)と売却の価格水準を開示しています(事例⑤)。


8. ポンプメーカーのオーナー・親会社が検討すべき論点

売却や資本提携を検討するオーナー・親会社の側では、次の3点が検討の出発点になります。

① 買い手候補の範囲

国内では、大手グループのポンプ関連事業をポンプメーカーが取得する一方(事例①②)、非上場のポンプメーカーの買い手には、その製品を部品として使う需要家(事例③④)と、ファンド・投資会社(事例⑤)が含まれています。海外の事業会社が国内のポンプ事業を取得した例もあります(第6章)。買い手候補は、国内の同業、自社製品を使う需要家、ファンド、海外のポンプ・流体機器メーカーまでを対象に、自社の製品・顧客・拠点と補完関係にある先を洗い出すことから検討します。

② 自社の資産の整理

第5章の3つの要素(製品・技術、顧客・販売・サービス網、生産・供給)ごとに、自社のどの資産が、どの買い手にとって補完になるかを整理しておくと、買い手候補との協議で評価の根拠を示すことができます。同業の買い手は製品の相互補完や販路・サービス網を(事例①⑦)、需要家の買い手は基幹部品の安定供給や品質管理を(事例③④)理由に挙げており、同じ資産でも買い手の類型によって評価の観点が異なります。親会社の側では、事例②のように、残す事業(CNC用の主軸・サーボモータ)と移す事業を分けて譲渡の範囲を決めた例があります。

③ 取引の形と時期

第7章②の取引の形のうち、どれが適するかは、承継の意向、従業員や取引先との関係、譲渡後の経営への関与の希望によって変わります。事例③では既存の出資と部品の供給関係が、事例⑧では提携が、子会社化に先行しました。現在の取引先・提携先との関係を含めて選択肢を整理しておくことが、検討の出発点になります。


9. Syntax Partnersができること

Syntax Partnersは、M&Aのファイナンシャル・アドバイザー(FA)専業のアドバイザリーファームです。一つの案件では、売り手・買い手のいずれか一方のみを支援します。ポンプ業界M&Aを含む製造業の案件について、国内案件とクロスボーダー案件の双方に対応しています。

買い手側の支援

国内外での買収を検討される事業会社・投資ファンドに対し、貴社の戦略に基づく対象候補の調査・リスト化から、オーナー・親会社への直接の打診、交渉、取引の実行までを支援します。投資ファンドのアドオン買収や、大手グループからの切り出し案件の候補探索にも対応します。ポンプ業界では、大手グループ内の事業に加えて、公開情報の少ない非上場の専業メーカーが対象となるため、候補先の調査とオーナー・親会社への直接のアプローチを当社が担います。海外の対象先については、日英を含む多言語で対応します。

売り手側の支援

売主様・オーナー様の利益を最大化するアドバイザーとして、事業承継と売却を支援します。投資ファンドが保有する企業の売却も対象とします。譲渡先の候補は国内の同業に限らず、自社製品を使う需要家、ファンドに加えて、海外のポンプ・流体機器メーカーなどの戦略買い手も対象とします。

  • 買い手候補の探索:国内のポンプメーカー、需要家となる機器メーカー、ファンド、海外の戦略買い手まで、貴社の製品・顧客・拠点と補完関係にある先を洗い出し、直接アプローチします。
  • 業界理解に基づく取引支援:需要分野ごとの採用の決まり方、顧客・代理店との取引関係、アフターサービスの体制、生産・供給の体制など、ポンプ業界固有の要素を踏まえて、買い手候補への説明と条件の協議を進めます。
  • オーナーの意向を反映した交渉:従業員の雇用、取引先との関係、社名・ブランドの扱い、創業家の関与のあり方など、オーナーが重視する条件を明文化し、買い手候補との交渉に反映します。

事業承継、グループ再編、海外の買い手への譲渡、国内外での買収を検討されている経営者・オーナーの皆様からのご相談を承ります。初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

本稿は、各社の公式発表・IR資料・業界団体および官公庁の統計等の公開情報に基づき、Syntax Partners, Inc. が業界動向を整理したものです。


関連リンク