
(2026年10月更新)
国内の機械工具の生産額は、2020年度を除き、この10年ほど年3,900億〜4,500億円の範囲で推移しています。一方、主原料のタングステンは、2025年2月に中国が輸出規制を導入して以降、価格が過去にない水準まで上がり、工具メーカー各社は値上げと原料の確保に追われています。2000年代以降の切削工具・超硬工具業界M&Aを見ると、東芝、日立金属、日本特殊陶業(Niterra)といった大手グループが工具事業を手放し、その事業は現在、三菱マテリアルや、米国バークシャー・ハザウェイ傘下の工具グループIMCの傘下にあります(日本特殊陶業は49%を保有)。国内では、後継者不在等の課題を抱える企業との提携を方針に掲げる工具商社が、オーナー企業を取得しています。海外では、三菱マテリアルがドイツのタングステンのリサイクル会社を、OSGがオランダのダイヤモンド工具メーカーを買収しました。
本稿では、国内外での買収・提携を検討される事業会社の経営企画・事業投資部門、投資ファンドのご担当者、および事業承継や資本政策を検討されている切削工具メーカー・工具商社のオーナー・親会社の皆様を念頭に、切削工具・超硬工具業界の市場構造と業界プレイヤーの構図、国内の再編事例、国内大手による海外での買収事例を整理し、買い手が確認する業界固有の要素と、買収・売却それぞれの論点をまとめます。
1. 切削工具・超硬工具業界の市場構造 — 横ばいの生産額と原料の制約
市場規模
日本機械工具工業会が経済産業省の機械統計をもとにまとめた資料によると、2025年(暦年)の機械工具の生産額は4,133億円(前年比102.1%)で、内訳は超硬工具が2,989億円、特殊鋼工具が752億円、ダイヤモンド工具が392億円でした(日本機械工具工業会「機械工具生産推移表」)。年度ベースでは、2015年度から2024年度までの生産額は、2020年度(3,217億円)を除いて約3,900億〜4,500億円の範囲にあります。
同資料によると、2026年1〜7月の超硬工具の生産額は前年同期比117.6%と伸びています。OSGは2025年12月〜2026年8月の業績について価格改定を増益の要因に挙げており、金額の伸びには原料高を反映した価格の上昇が含まれます。日進工具も2026年8月受注分から超硬工具のカタログ品を値上げ(外径6mm超の製品は20%以上)しており、価格の上昇は今後の統計にも表れます。
製品分野別の特性
工具は製品分野によって、使われ方、顧客との関係、再研磨などのサービスの有無が異なります。M&Aでも、どの製品分野で何を持っているかが、買い手の顔ぶれと評価の観点を左右します。
| 製品分野 | 2024年度生産額 | 主な製品 | 事業上の特性 |
|---|---|---|---|
| 超硬チップ・サーメットチップ | 1,511億円 | 旋削・フライス加工用の刃先交換式チップ(インサート) | 刃先が摩耗したら交換する消耗品で、工具本体(ホルダー)と組み合わせて使う。超硬工具の生産額の約5割を占める |
| 超硬ソリッド工具 | 1,094億円 | ドリル、エンドミル、カッタ、バイト | 工具全体が超硬合金。顧客の加工対象と加工条件に合わせた形状の設計が必要で、摩耗した工具は再研磨して再使用される |
| ダイヤモンド・CBN工具 | 392億円 | ダイヤモンド切削工具、CBN工具 | 焼入れ鋼、非鉄金属、樹脂、レンズなどの加工に使う。工具の刃先を研削・成形する技術が製品の精度を決める |
| 特殊鋼工具 | 740億円 | ハイス製のタップ、ドリル、歯切り工具など | 超硬工具と並ぶ製品群。タップでは専業メーカーが多い |
製品分野の区分と生産額は、日本機械工具工業会の資料(2024年度)によります。超硬工具にはこのほか「その他超硬工具」360億円があります。
工具の需要は、工作機械で金属を加工する業種の動向に連動します。日本工作機械工業会によると、2025年の工作機械受注額は1兆6,043億円(前年比108.0%)で、うち内需は4,409億円(同99.8%)、外需は1兆1,635億円(同111.5%)でした。内需を業種別に見ると、一般機械が39.9%、自動車(部品を含む)が19.8%を占め、自動車は前年比95.7%、航空機・造船・輸送用機械は同145.8%でした(日本工作機械工業会「受注確報(2025年)」)。
業界再編を動かす5つの要因
- タングステン原料の制約 — 米国地質調査所(USGS)によると、2025年の世界のタングステン鉱山生産は推計8万5,000トンで、うち中国が6万7,000トンを占めます。中国は2025年2月に一部のタングステン品目に輸出規制を導入し、ロッテルダムの精鉱価格は2024年の1mtu(三酸化タングステン10kg)あたり252ドルから2025年には380ドルに上がりました(USGS Mineral Commodity Summaries 2026: Tungsten)。三菱マテリアルは、タングステン精鉱の供給の約80%を中国に依存している状況を挙げ、価格は2025年4月以降急騰して史上最高値を更新したと説明しています。富士精工は2026年4月、年初から発注していたタングステン粉が中国の税関で滞留していると開示し、日進工具はタングステン価格の高騰で合理的な算定が困難として、2027年3月期の業績予想を開示していません。三菱マテリアルによるドイツのタングステンのリサイクル会社の取得(事例⑥)は、この原料の制約への対応として行われました。
- リサイクルと原料の確保 — 三菱マテリアルは中期経営戦略(2026〜2028年度)の資料で、中国以外の拠点で使うタングステン原料に占めるリサイクル原料の比率を、2025年度の約70%から2030年度に100%に引き上げる目標を示し、2026年にはドイツのH.C. Starckと国内の日本新金属でリサイクル・原料の能力増強を相次いで発表しました。住友電工グループのアライドマテリアルも2026年4月、富山県に約159億円の新工場を建設し、タングステン粉と炭化タングステン粉の生産能力を約1.5倍にすると発表しています。中堅メーカーでは、ダイジェット工業と冨士ダイスが2026年6月、タングステンとコバルトの使用量を減らした合金の拡販で業務提携しました。使用済み工具の回収、原料の再生、代替材料の開発が、原料を確保する手段になっています。
- 需要先の変化 — 上記のとおり、工作機械の内需に占める自動車の比率は約2割で、2025年の自動車向けの受注額は前年比95.7%でした。工具各社は成長分野を個別に示しており、三菱マテリアルは航空・宇宙・医療・半導体向けの高付加価値品を、OSGは微細精密加工とダイヤモンド工具(2030年に売上高100億円)を掲げています。プリント基板用ドリルのユニオンツールは、AIサーバー向けの基板需要を受けて、2026年1〜3月期の売上高が前年同期比42.6%増となりました。海外での買収にも、眼鏡・医療用レンズ(事例⑧)など新しい顧客分野の取得を目的とするものがあります。
- 大手グループの事業の選択 — 東芝は2004年にタンガロイを経営陣・従業員による買収(MEBO)で切り離し、日立金属は2015年と2020年の2段階で工具事業を三菱マテリアルに譲渡し、日本特殊陶業は2023年に機械工具事業をIMCとの合弁会社に移しました(第3章)。日立金属と日本特殊陶業の工具事業は、工具を本業とする三菱マテリアルとIMCが取得し、タンガロイもMEBOによる独立を経て2008年にIMCの傘下に入りました。
- 事業承継 — 中小企業庁は、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者が約245万人となり、うち約半数の127万人で後継者が未定となること、このまま廃業が増えれば2025年までの累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があることを試算していました(中小企業庁「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性」)。試算の対象とされた2025年は既に過ぎています。工具業界では、工具商社のCominixが「後継者不在等の経営上の課題」を抱える企業との戦略的提携を継続的に検討する方針を示し、2020年に代表取締役が過半を保有する切削工具メーカーを取得しました(事例②)。
2. 業界プレイヤー構図
大手
| 会社 | 本社 | 売上高 | 主な領域・直近の動き |
|---|---|---|---|
| 三菱マテリアル(超硬製品セグメント) | 東京都千代田区 | 1,472億円(2026年3月期、セグメント) | H.C. Starck(2024年)とU.F.P.(2025年)を取得。国内の切削工具販売をMOLDINOと統合する予定(2027年4月) |
| OSG | 愛知県豊川市 | 1,606億円(2025年11月期、連結) | タップなど穴加工用工具が主力。2024年にオランダのPrecision Tools Holdingを取得。2026年11月期は売上高1,930億円を予想(価格改定と円安を増収増益の要因に挙げる) |
| 住友電工ハードメタル | 兵庫県伊丹市 | 非開示(住友電気工業の100%子会社) | イゲタロイ、スミボロン、スミダイヤのブランドで超硬・CBN・ダイヤモンド工具を製造 |
| 京セラ(機械工具) | 京都市 | 2,859億円(2026年3月期、電動工具等を含む) | 2016年に米国SGSを取得。2026年1月に米国の建設・産業資材と工具の流通子会社の売却を完了 |
| タンガロイ | 福島県いわき市 | 非開示(IMCグループ) | NTKカッティングツールズと2027年1月1日付で合併する予定 |
大手のうち、タンガロイは外資の傘下にあり、住友電工ハードメタルは住友電気工業の100%子会社です。三菱マテリアルは、2020年に完全子会社としたMOLDINOを傘下に持ちます(事例①)。三菱マテリアルは2026年10月、自社とMOLDINOの国内向け切削工具販売事業を新会社「三菱マテリアルツールズ」に統合し、2027年4月1日に事業を始める予定と発表しました。両社のブランドは維持し、三菱マテリアルとMOLDINOは開発・製造に注力するとしています。
上場の中堅・専業メーカー
| 会社 | 本社 | 売上高 | 主な領域・直近の動き |
|---|---|---|---|
| ユニオンツール | 東京都品川区 | 401億円(2025年12月期) | プリント基板用ドリルが主力(会社推計で世界シェア約3割)。2026年12月期は売上高496億円を予想 |
| 不二越 | 東京都港区 | 工具342億円(2025年11月期、機械工具事業の内数。連結2,359億円) | 工具、工作機械、ロボット、ベアリングなどを手がける総合機械メーカー |
| 富士精工 | 愛知県豊田市 | 205億円(2026年2月期) | 超硬工具が連結売上高の約3割。名証メイン上場 |
| 冨士ダイス | 東京都大田区 | 174億円(2026年3月期) | 超硬合金の耐摩耗工具・金型が主力 |
| 日進工具 | 東京都品川区 | 95億円(2026年3月期) | 小径エンドミルが主力。2025年11月に東証プライムからスタンダードへ移行 |
| ダイジェット工業 | 大阪市平野区 | 93億円(2026年3月期) | 超硬工具メーカー。うち切削工具が77億円、輸出比率57.2% |
不二越は工具事業の売上高を記載しています。ダイジェット工業には親会社がなく、有価証券報告書によれば筆頭株主は取引先持株会(8.88%)で、支配株主のいない独立系です。2020年以降に国内でオーナー企業の事業・株式を取得した上場企業は、本稿の調査の範囲では、OSG(事例③)と工具商社のCominix(東証スタンダード、大阪市中央区。事例②④)です。中堅のメーカー同士では、ダイジェット工業と冨士ダイスのように、資本関係を伴わない業務提携の例があります。
大手グループ傘下・外資傘下の工具会社
大手グループの傘下には、工具会社が置かれています。MOLDINO(東京都墨田区)は三菱マテリアルの100%子会社で、成田、野洲(滋賀県)、魚津(富山県)に生産拠点を持ち、2026年3月期の売上高は210億円、経常利益は38.6億円でした。アライドマテリアル(東京都中央区)は住友電気工業の完全子会社で、タングステン・モリブデン製品とダイヤモンド・CBN工具を手がけます。オーエスジーダイヤモンドツール(滋賀県高島市)はOSGグループのダイヤモンド工具メーカーです。
外資傘下では、タンガロイ(資本金80億円、外資100%)がいわき(福島県)、日進(愛知県)、韮崎(山梨県)、久留米(福岡県)に工場を持ち、NTKカッティングツールズはIMCが51%、日本特殊陶業が49%を保有しています。両社は2027年1月1日付で合併し、タンガロイが存続会社となる予定です(合併後の日本特殊陶業の持分の扱いは、公表資料では確認できていません)。
オーナー系の非上場企業
非上場の工具メーカーには、タップの彌満和製作所(東京都中央区、2021年に持株会社を設立)、タップ・ダイスの田野井製作所(埼玉県白岡市、従業員64名)、1933年創業の岡崎精工(大阪市東淀川区)などがあります。非上場の会社は開示が限られ、業績や株主構成は公表されていません。第3章の川野辺製作所(代表取締役が85.8%を保有していた)、KamogawaHD(個人株主2名が全株式を保有していた)のように、オーナー企業の資本の選択は、譲渡の時点で初めて開示されることが多くなります。
関西への集積
本稿で取り上げる企業のうち、住友電工ハードメタル(兵庫県伊丹市)、ダイジェット工業(大阪市平野区)、岡崎精工(大阪市東淀川区)、京セラ(京都市)は関西に本社を置いています。工具商社では、Cominix(大阪市中央区)が関西に本社を置き、2024年に京都市伏見区の加茂川グループを取得しました(事例④)。滋賀県には、MOLDINOの野洲工場と、オーエスジーダイヤモンドツールの本社があります。
3. 国内の切削工具・超硬工具業界M&A事例 — 大手グループからの切り出しと、オーナー企業の譲渡
事例① 三菱マテリアル × 三菱日立ツール(2015年・2020年)— 大手グループの工具事業を2段階で取得
三菱マテリアルは2015年4月、日立金属の工具子会社であった日立ツールの株式51%を取得し、社名を三菱日立ツールに変更しました。2020年4月1日には、日立金属が保有する残り49%を取得して完全子会社とし、同日付で社名をMOLDINOに変更しています。三菱マテリアルは取得の目的として、超硬事業を機動的に運営し、急速に変化する市場のニーズに対応することを挙げました。価格はいずれも開示されていません。
三菱日立ツールの業績は、2019年3月期で売上高261.5億円、営業利益55.7億円(営業利益率21.3%)でした。同社の源流は1928年に大阪で創業した帝国カッター製作所で、日立ツールを経て現在に至ります。三菱マテリアルは2026年10月、MOLDINOと自社の国内販売事業を統合する方針を発表しました(第2章。グループ内の再編のため、事例には数えていません)。
本案件は、(i)工具を本業としない大手グループ(日立金属)が、工具事業を工具大手に移した、(ii)過半数の取得から完全子会社化まで5年をかけ、段階的に資本関係を移した、(iii)取得後も日立ツール以来の生産拠点を維持し、MOLDINOの社名・ブランドで取得側のブランドと併存させている、という点を示しています。
事例② Cominix × 川野辺製作所(2020年)— 工具商社によるオーナー系メーカーの取得
工具商社のCominixは2020年12月、切削工具メーカーの川野辺製作所(東京都大田区、1957年創業、茨城県常陸大宮市に工場)の株式85.8%を、同社の代表取締役から取得しました。川野辺製作所の2019年12月期の売上高は7.82億円、営業利益は0.27億円で、主要取引先は国内大手の自動車メーカー・部品メーカー等とされ、米国オハイオ州に工具の製造・販売子会社を持っていました。価格は相手先の意向で開示されず、外部の専門家による財務・税務・法務・労務のデューデリジェンスを踏まえて決めたとしています。
Cominixは、「後継者不在等の経営上の課題」を抱える企業との戦略的提携を継続的に検討しており、成長戦略として「優良顧客を持つ企業をメインターゲット」としていると説明しました。取得の効果として、日本・北米の取引先と自社の販売力・商品の品揃えとのシナジー、切削工具の製造で培われた生産技術力と人材、多種多様な生産設備の獲得による工具の製造事業の拡大を挙げ、完全子会社化の手続きを進める予定としていました。
本案件は、(i)代表取締役が過半を保有する工具メーカーの買い手が、同業のメーカーではなく工具商社であった、(ii)買い手が評価したのは、日本・北米の顧客基盤に加えて、生産技術、人材、生産設備であった、(iii)まず過半数を取得し、完全子会社化はその後の手続きとする予定とした、という点を示しています。
事例③ OSGグループ × マイクロ・ダイヤモンド(2024年)— 特定技術を持つメーカーの事業の譲受け
OSGのグループ会社である日新ダイヤモンド(滋賀県高島市、1968年設立、2006年にOSGグループ入り)は2024年10月1日、マイクロ・ダイヤモンド(横浜市)の事業を承継しました。OSGはマイクロ・ダイヤモンドを、独自の技術で「世界で唯一、極小径の単結晶ボールエンドミルを製造できるメーカー」と説明しています。対価と、マイクロ・ダイヤモンドの業績は開示されていません。日新ダイヤモンドは2024年12月1日、社名をオーエスジーダイヤモンドツールに変更しました。
OSGは承継の狙いとして、ダイヤモンド工具市場における微細精密加工分野の開拓を挙げ、同年7月に取得したオランダのPrecision Tools Holding(事例⑧)との連携により、精密電子部品の金型や医療向け金型の分野への参入を見込むとしています。
本案件は、(i)上場大手のグループ会社が、株式ではなく事業の承継という形で、特定の技術を持つメーカーを取り込んだ、(ii)取得の目的が売上規模ではなく、極小径の単結晶ダイヤモンド工具という特定の技術にあった、(iii)国内の承継と海外の買収を、同じ成長分野(微細精密加工)の施策として組み合わせている、という点を示しています。
事例④ Cominix × KamogawaHD(2024年)— 工具商社によるオーナー系商社グループの取得
Cominixは2024年11月、京都市伏見区の加茂川グループの持株会社であるKamogawaHDの全株式を取得する契約を結び、同年12月24日に取得を完了しました。加茂川は1949年に京都で創業し、商社の機能に製造の機能を併せ持つ生産財の供給会社で、北海道の研磨材の会社や、フィリピン・ベトナムの子会社を傘下に持ちます。KamogawaHDの2024年3月期の売上高は103.7億円、営業利益は3.2億円、純資産は24.2億円でした。株式は個人株主2名が保有しており、取得価額は42.99億円(アドバイザリー費用等を含めて約43.29億円)です。開示値から計算すると、取得価額(株式の取得価額で、有利子負債・現預金は調整していません)は2024年3月期の営業利益の約13倍、純資産の約1.8倍にあたります。
Cominixは、顧客のあらゆるニーズに対応できる生産財の専門商社を目指す方針の一環とし、販売網の組み合わせ、製造ノウハウの共有、DX・拠点・物流の共通化によるコスト削減をシナジーに挙げました。同社は2029年3月期に売上高500億円、営業利益25億円を目標としています。
本案件は、(i)工具商社のCominixが、同業の商社グループを取得した、(ii)買い手は、対象会社の販売網に加えて、製造の機能と海外の拠点を評価した、(iii)個人株主が全株式を保有するグループの取得で、取得価額と業績が開示され、価格水準を確認できる、という点を示しています。
事例⑤ IMC × タンガロイ・NTKカッティングツールズ(2008年・2023年)— 外資の工具大手による日本企業の取得
海外資本による日本の工具メーカーの取得では、IMC(International Metalworking Companies、オランダ)グループの2件があります。IMCは、米国のバークシャー・ハザウェイが2006年に80%を取得し、2013年に残りの20%を取得して完全子会社とした工具グループです。
タンガロイは1934年に創業し、東芝タンガロイを経て、2004年4月に経営陣と従業員による買収で東芝から独立して上場を廃止しました。2008年9月にIMCの傘下に入り、現在は外資100%の会社です。
日本特殊陶業は1958年からセラミック製の切削工具を販売してきましたが、2022年7月、機械工具事業を子会社のNTKカッティングツールズに集約し、IMCが51%、日本特殊陶業が49%を保有する合弁会社とする基本合意を結び、2023年に合弁会社としました。日本特殊陶業は、品揃えの広いグローバルな競合が規模の利点を持つなか、技術力・競争力・販売力を強化して収益力を改善するために提携を検討したと説明し、IMCの規模を生かした調達の円滑化、品揃えの強化、生産体制とノウハウの共有によるコスト削減、開発の迅速化を効果に挙げました。タンガロイは2026年9月、NTKカッティングツールズを2027年1月1日付で吸収合併すると発表し、両ブランドで製品とサービスの提供を続けるとしています。
本案件は、(i)海外の工具大手が、日本の大手グループから切り出された工具事業の受け皿になっている、(ii)NTKの例では、売り手が49%を保有する合弁の形で事業を移した(合併後の持分の扱いは未公表)、(iii)同じ外資グループの傘下に入った日本の2社が、取得から数年後にグループ内で統合される段階に入った、という点を示しています。
4. クロスボーダーの切削工具・超硬工具業界M&A事例 — 国内大手による海外での買収
国内で売却や提携を検討するオーナーにとっては、国内大手がどのような基準で何を買っているかが、自社が買い手からどう評価されるかを考える材料になります。国内外での買収を検討する事業会社にとっては、同業大手の投資基準の参照例になります。
国内大手の海外での買収には、京セラによる米国SGS Tool Company(1951年創業のソリッド工具メーカー、2016年)、OSGによる米国Amamco Tool & Supply(航空機向けの超硬工具メーカー、2016年)などの先例があります。以下では、2023年以降の案件を取り上げます。
事例⑥ 三菱マテリアル × H.C. Starck(2024年12月取得完了)— タングステンのリサイクル会社の取得
三菱マテリアルは2024年5月、ベトナムのMasan High-Tech Materials(MHT)傘下にあったドイツのH.C. Starck Holdingの全株式を取得する契約を結び、当初予定の2025年3月末より早い2024年12月17日に取得を完了しました。対価は1億3,450万ドル(約210億円)です。H.C. Starckは1920年設立、本社はドイツ・ゴスラーで、タングステン粉、炭化タングステン粉、タングステン化学品の製造・販売とリサイクルを手がけ、ドイツ、カナダ、中国に製造拠点を持ちます。2023年12月期の売上高は3.53億ユーロで、営業損益は赤字(1,010万ユーロの損失)でした。
三菱マテリアルは、「グローバルで顧客が認めるタングステン製品のリーディングカンパニー」となる戦略の一環として取得し、子会社の日本新金属との研究開発の連携、クロスセル、リサイクル技術・能力の活用をシナジーに挙げています。売り手のMHTは、ベトナムの規制でスクラップの輸入が制限され、リサイクルの戦略が制約されることを売却の理由に挙げました。三菱マテリアルは2026年7月、ゴスラー工場に約5,000万ユーロを投じ、スクラップの処理能力を年約5,000トンから約7,000トンに増やすと発表しています。同工場の原料は、現在約80%がリサイクル原料です。
本案件は、(i)国内の工具大手が、工具そのものではなく、川上の原料とリサイクルの事業を海外で取得した、(ii)営業赤字の事業を、開示時点の円換算で2023年12月期の売上高(約554億円)の約0.4倍の対価で取得し、取得後に設備投資を加えている、(iii)売り手は、自国の規制のもとでは事業の戦略を実行できないことを理由に手放した、という点を示しています。
事例⑦ 三菱マテリアル × U.F.P.(2025年4月)— 欧州の再研磨会社の取得
三菱マテリアルの欧州統括会社MMC Hardmetal Europe Holdingsは2025年4月、イタリアのU.F.P.(ロンバルディア州ミッサーリア、1987年設立)の全株式を取得し、連結子会社としました。U.F.P.は特殊切削工具の製造と工具の再研磨を手がけ、イタリアに2つの製造拠点を持ち、年間売上高は約1,200万ユーロです。同社のウェブサイトでは、航空宇宙・医療・自動車・エネルギー分野の1,000社超の顧客から年1万9,000件超の注文を受けているとしています。価格と売り手は開示されていません。
三菱マテリアルは取得の理由として、欧州で迅速かつ高品質な工具の再研磨を求める顧客のニーズが高まっていることを挙げ、U.F.P.の専門知識と生産能力をスペイン・バレンシアの製造拠点と組み合わせてサービスの範囲を広げるとしています。
本案件は、(i)工具大手が、工具の製造だけでなく、再研磨というサービスの能力を買収で補った、(ii)年間売上高が約1,200万ユーロの会社が、欧州の再研磨の需要に応える能力として取得の対象となった、という点を示しています。
事例⑧ OSG × Precision Tools Holding(2024年7月)— ダイヤモンド工具メーカーの取得
OSGは2024年7月、欧州子会社のOSG Europeを通じて、オランダのPrecision Tools Holding(ファルケンスワールト、1989年設立)の全株式を取得しました。中核の子会社Contour Fine Toolingは、眼鏡と眼内レンズ向けのダイヤモンド工具のメーカーで、グループはContourを含む9社からなります。2023年12月期の連結売上高は1,930万ユーロ、営業利益は313万ユーロでした。取得価額は2025年1月に3,533万ユーロと開示され、株式の取得価額ベースで売上高の約1.8倍、営業利益の約11倍にあたります(有利子負債・現預金は調整していません)。取得前の株主はオランダのDiamond Tools Group B.V.(100%)でした。
OSGは、中期経営計画の重要施策である微細精密加工分野の拡大と新たな顧客層の開拓の一環とし、新たな顧客分野とダイヤモンド工具の研削技術の獲得につながると説明しています。統合報告書では、Contourの仕上げ用ダイヤモンド工具の顧客にOSGの荒加工用の超硬工具を合わせて販売することを挙げています。OSGは現行の中期経営計画(2025〜2027年度)で、M&Aを含む戦略投資に600億〜700億円を充てる方針を示しています。
本案件は、(i)タップを主力とする工具大手が、眼鏡・医療用レンズという、それまで接点のなかった顧客分野を買収で得た、(ii)取得価額と業績が開示され、営業利益の約11倍という価格水準を確認できる、(iii)買い手は、対象会社の顧客に自社の荒加工用の超硬工具を合わせて売ることを統合効果に挙げた、という点を示しています。
事例⑨ アライドマテリアル × Esteves Group(2024年9月)— 隣接分野(伸線ダイス)での取得
住友電工グループのアライドマテリアルは2024年9月、Esteves Group(1913年創業)の全株式を、オランダのDiamond Tools Group B.V.から取得しました。Esteves Groupは電線・ケーブル業界向けのダイヤモンド伸線ダイスや押出工具を製造・販売し、スペイン、ポーランド、米国、メキシコ、中国、マレーシアの6か国に7拠点を持ちます。切削工具ではなく、同じダイヤモンド工具の隣接分野の案件です。
アライドマテリアルは、欧米への販路の拡大とグローバルな展開の強化を目的に挙げ、両社のダイヤモンドダイスの製品、技術、販売網、サービス拠点を組み合わせるとしています。Estevesのブランドは引き続き使用し、既存のサービス・サポートの体制も大きくは変えないとしています。
本案件は、(i)事例⑧と同じ年に、同じオランダの持株会社の傘下にあった事業を、別の日本企業が取得した、(ii)買い手は、対象会社の海外の拠点と販売網を取得の目的とし、ブランドとサービス体制を維持した、という点を示しています。
事例⑩ 京セラ × BFT・GSB(2023年)— ドイツの超硬刃物・駆動装置メーカーの取得
京セラの欧州子会社KYOCERA UNIMERCO Tooling(デンマーク)は2023年5月、ドイツ・ハンブルク北部のBFT Hartmetall Werkzeuge(1987年設立)とGSB(2018年設立)の全株式を取得する契約を結びました。BFTは航空宇宙、自動車、包装、繊維、機械の各業界向けに、超硬製の振動切断用ナイフを製造し、GSBはそのナイフを動かす駆動装置を製造しています。価格は開示されていません。京セラは、振動切断の専門性を取り込んで能力を広げ、顧客に幅広い製品群を提供することを目的に挙げました。
本案件は、(i)国内の工具大手が、包装、繊維などの素材を切断する用途の超硬工具を海外で取得した、(ii)刃物と駆動装置を一体で取得し、工具単体ではなく装置と組み合わせた製品群を得た、という点を示しています。
5. 切削工具・超硬工具業界M&Aで買い手が確認する業界固有の要素
切削工具メーカー・工具商社のM&Aでは、財務数値に加えて、業界に固有の要素が確認されます。事例の当事者が公表した取得の理由と統合効果をもとに、製品・技術、販売・サービス、原料・生産の3つに整理します。
- 製品・技術 — どの製品分野で、どの加工対象に向けた技術を持っているか。事例③の極小径の単結晶ダイヤモンド工具、事例⑧のダイヤモンド工具の研削技術、事例⑩の振動切断用の刃物のように、買い手は特定の技術を取得の目的に挙げています。事例②の買い手は、対象会社が切削工具の製造で培った生産技術力と人材を取得の理由に挙げました。
- 販売・サービス — 顧客基盤、販売網、再研磨などのサービスの能力と、買い手の製品との補完関係です。事例②の買い手は「優良顧客を持つ企業」を対象とし、事例④の買い手は販売網の組み合わせを、事例⑨の買い手は海外の販売網とサービス拠点を挙げています。事例⑦では、再研磨の能力そのものが取得の目的でした。事例⑧では、対象会社の顧客に自社製品を合わせて売ることが統合効果とされています。
- 原料・生産 — タングステンなどの原料の調達、使用済み工具の回収・リサイクル、生産設備です。事例⑥は原料とリサイクルの能力の取得そのもので、事例⑤では、売り手の日本特殊陶業が、IMCの規模による調達の円滑化と生産体制の共有を効果に挙げています。事例②の買い手は、多種多様な生産設備の獲得を挙げました。
6. 切削工具・超硬工具業界の買い手の類型
本稿の事例に表れた買い手は、大きく3つに分けられます。
- 国内の工具メーカー — 三菱マテリアル(事例①⑥⑦)、OSG(事例③⑧)、京セラ(事例⑩)、アライドマテリアル(事例⑨)など。国内では、大手グループから切り出された事業や、特定技術を持つ会社の取得に、海外では、原料、再研磨、新しい顧客分野の取得に動いています。
- 工具商社 — Cominix(事例②④)のように、工具の流通を担う商社が、同業の商社とメーカーの双方を取得しています。海外では、山善が2026年2月、インドネシアの切削工具・工作機械の卸売会社の取得で基本合意しています。
- 海外の工具大手 — IMC(事例⑤)のように、日本の大手グループから切り出された工具事業を取得し、グループ内で統合を進める海外企業です。
このほか、ファンドについては、国内の切削工具メーカーの買い手としてファンドが公表された事例を、本稿の調査の範囲では確認できませんでした。海外では、京セラが2026年1月、米国の建設・産業資材と工具の流通子会社を、米国の投資会社Truelink Capitalの関係会社に譲渡価額763億円(価格調整前)で売却しており、日本企業の工具関連の事業の買い手としてファンドが登場した例があります。
7. 買収・提携を検討する事業会社・投資ファンドへの示唆
本稿の事例から、切削工具メーカー・工具商社の買収・提携を検討する事業会社と投資ファンドにとっての論点を3つに整理します。
① 対象先の所在
国内の事例の対象先は、工具を本業としない大手グループの工具事業(事例①⑤)と、オーナーが株式を保有する工具メーカー・商社グループ(事例②④)、特定の技術を持つメーカーの事業(事例③)に分かれます。大手グループの工具事業は、国内の工具大手(事例①)と海外の工具大手(事例⑤)が取得し、オーナー企業は、代表取締役が85.8%を保有していた川野辺製作所(事例②)、個人株主2名が全株式を保有していたKamogawaHD(事例④)のいずれも、工具商社のCominixが取得しました。Cominixは、「後継者不在等の経営上の課題」を抱える企業との戦略的提携を継続的に検討し、「優良顧客を持つ企業をメインターゲット」とする方針を示しています(事例②)。
非上場の工具メーカーは開示が限られ、業績や株主構成は公表されておらず、オーナー企業の資本の選択は譲渡の時点で初めて開示されることが多くなります(第2章)。対象先の特定と取得の検討には、オーナー・親会社への直接の打診が伴います。海外では、オランダの同じ持株会社の傘下にあった2つの事業を、OSGとアライドマテリアルが同じ年にそれぞれ取得しています(事例⑧⑨)。
投資ファンドについては、国内の切削工具メーカーの買い手としてファンドが公表された事例は、本稿の調査の範囲では確認できませんでした(第6章)。日本企業の工具関連の事業では、京セラが米国の建設・産業資材と工具の流通子会社を、米国の投資会社Truelink Capitalの関係会社に763億円(価格調整前)で売却した例があります(第6章)。
② 取引の形
事例には、過半数(51%)を取得し、5年後に残り49%を取得して完全子会社とする形(事例①)、代表取締役から85.8%を取得し、完全子会社化を予定する形(事例②)、事業を承継する形(事例③)、個人株主から全株式を取得する形(事例④)、売り手が49%を保有する合弁会社とする形(事例⑤のNTKカッティングツールズ)があります。タンガロイは、経営陣と従業員による買収で大手グループから独立した後に、海外の工具大手の傘下に入りました(事例⑤)。海外の事例⑥〜⑩は、いずれも全株式の取得です。
価格が開示された事例では、取得価額が営業利益の約13倍・純資産の約1.8倍(事例④)、営業利益の約11倍・売上高の約1.8倍(事例⑧)、営業赤字の事業で売上高の約0.4倍(事例⑥)でした(いずれも株式の取得価額ベースで、有利子負債・現預金は調整していません)。どの形をとるかは、親会社・オーナーの意向と、買い手の統合計画によって決まります。
③ 売り手が重視する点
日本特殊陶業は、品揃えの広いグローバルな競合が規模の利点を持つなか、技術力・競争力・販売力を強化して収益力を改善するために提携を検討したと説明し、IMCの規模を生かした調達の円滑化、品揃えの強化、生産体制とノウハウの共有を効果に挙げました(事例⑤)。H.C. Starckの売り手のMHTは、ベトナムの規制でスクラップの輸入が制限され、リサイクルの戦略が制約されることを売却の理由に挙げています(事例⑥)。これらの発言からは、事例の売り手が、自社のもとでは得にくい規模や事業の環境を、譲渡先のもとで得ることを譲渡・提携の理由としていたことがうかがえます。
譲渡後の扱いでは、MOLDINOの社名・ブランドが取得側のブランドと併存し(事例①)、タンガロイとNTKカッティングツールズは合併後も両ブランドで製品とサービスの提供を続けるとしています(事例⑤)。海外でも、アライドマテリアルはEstevesのブランドを引き続き使い、既存のサービス・サポートの体制も大きくは変えないとしています(事例⑨)。オーナー企業の事例では、価格は相手先の意向で開示されませんでした(事例②)。
8. 切削工具メーカー・工具商社のオーナー・親会社が検討すべき論点
売却や資本提携を検討するオーナー・親会社の側では、次の3点が検討の出発点になります。
① 買い手候補の範囲
オーナー企業の取得では、同業のメーカーではなく工具商社が買い手となった例があり(事例②④)、上場大手は株式の取得に限らず、事業の承継という形でも特定の技術を取り込んでいます(事例③)。大手グループの工具事業は、国内の工具大手(事例①)と海外の工具大手(事例⑤)の双方が受け皿となりました。海外の工具大手による取得は本稿の事例では大手グループからの切り出しに限られますが、日本の工具事業を取得した海外企業が現に存在することは、オーナー企業にとっても買い手候補の範囲を考える材料になります。国内大手は海外で、原料、再研磨、新しい顧客分野を買っています(事例⑥〜⑩)。買い手候補は、国内の工具メーカー、工具商社、海外の工具大手の中から、自社の技術・顧客・拠点と補完関係にある企業を洗い出すことから検討します。
② 自社の資産の整理
第5章の3つの要素(製品・技術、販売・サービス、原料・生産)ごとに、自社のどの資産が、どの買い手にとって補完になるかを整理しておくと、買い手候補との協議で評価の根拠を示すことができます。事例⑦のように再研磨の能力が、事例②のように顧客基盤と生産設備が取得の目的となる場合もあります。タングステンの価格と調達が各社の業績を左右している現在は、原料の調達先、在庫、使用済み工具の回収の仕組みも、整理の対象に含まれます。
③ 取引の形と時期
第7章②の取引の形のうち、どれが適するかは、承継の意向、従業員や取引先との関係、譲渡後の経営への関与の希望によって変わります。現在の資本・取引関係を含めて選択肢を整理しておくことが、検討の出発点になります。
時期については、OSGが原材料高と価格改定のタイムラグを利益の変動要因に挙げ、三菱マテリアルが2027年3月期の超硬製品の業績予想で原料高による減益100億円と価格改定による増益84億円を見込むなど、原料価格の上昇と価格への転嫁が各社の業績の水準を動かしています。業績が原料価格によって振れる局面では、評価の基準とする期間の選び方が、買い手候補との協議の論点になり得ます。
9. Syntax Partnersができること
Syntax Partnersは、M&Aのファイナンシャル・アドバイザー(FA)専業のアドバイザリーファームです。一つの案件では、売り手・買い手のいずれか一方のみを支援します。国内案件とクロスボーダー案件の双方に対応しています。
買い手側の支援
国内外での買収を検討される事業会社・投資ファンドに対し、貴社の戦略に基づく対象候補の調査・リスト化から、オーナー・親会社への直接の打診、交渉、取引の実行までを支援します。投資ファンドのアドオン買収や、大手グループからの切り出し案件の候補探索にも対応します。切削工具・超硬工具業界では、大手グループ内の工具事業に加えて、公開情報の少ない非上場のオーナー企業や工具商社が対象となるため、候補先の調査とオーナー・親会社への直接のアプローチを当社が担います。海外の対象先については、日英を含む多言語で対応します。
売り手側の支援
売主様・オーナー様の利益を最大化するアドバイザーとして、事業承継と売却を支援します。投資ファンドが保有する企業の売却も対象とします。譲渡先の候補は国内の同業に限らず、工具商社、隣接業界の事業会社に加えて、海外の工具メーカーなどの戦略買い手も対象とします。
- 買い手候補の探索:国内の工具メーカー、工具商社、隣接業界、海外の戦略買い手まで、貴社の技術・顧客・拠点と補完関係にある先を洗い出し、直接アプローチします。
- 業界理解に基づく取引支援:製品分野ごとの顧客との関係、再研磨などのサービス、原料の調達と使用済み工具の回収など、切削工具業界固有の要素を踏まえて、買い手候補への説明と条件の協議を進めます。
- オーナーの意向を反映した交渉:従業員の雇用、取引先との関係、創業家の関与のあり方など、オーナーが重視する条件を明文化し、買い手候補との交渉に反映します。
事業承継、グループ再編、海外の買い手への譲渡、国内外での買収を検討されている経営者・オーナーの皆様からのご相談を承ります。初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
本稿は、各社の公式発表・IR資料等の公開情報に基づき、Syntax Partners, Inc. が業界動向を整理したものです。