容器包装業界M&Aの最新動向と事例 :大手グループからの切り出しと国内外での集約

容器包装業界M&A・事業承継

(2026年10月更新)

国内の包装・容器の出荷は、数量ベースで減少が続いています。この数年の容器包装業界M&Aを見ると、国内では、三井化学、レゾナック、三菱商事といった化学メーカー・総合商社が手放した包装材料・容器の事業を、レンゴー、大日本印刷、センコーグループホールディングスなどが取得する案件が続き、上場会社の藤森工業(現ZACROS)の食品包装事業は、オーナー企業のカナオカホールディングスが譲り受けました。レンゴーは、地域の段ボール会社や軟包装会社への出資・取得を2024年から2026年にかけて重ねています。一方、TOPPANホールディングス、東洋製罐グループホールディングス、王子ホールディングスなどは、海外で買収を行っています。

本稿では、国内外での買収・提携を検討される事業会社の経営企画・事業投資部門、投資ファンドのご担当者、および事業承継や資本政策を検討されている容器・包装メーカーのオーナー・親会社の皆様を念頭に、容器包装業界の市場構造と業界プレイヤーの構図、国内の再編事例、国内大手による海外での買収事例を整理し、買い手が確認する業界固有の要素と、買収・売却それぞれの論点をまとめます。


1. 容器包装業界の市場構造 — 減少する出荷数量と再編の要因

市場規模

日本包装技術協会の統計によると、2025年の包装・容器の出荷金額は6兆1,357億円(前年比100.5%)、出荷数量は1,759.9万トン(同99.5%)でした(2025年は一部推定値。日本包装技術協会「2025年日本の包装産業出荷統計」)。2021年と比べると、出荷金額は5兆6,513億円から8.6%増えた一方、出荷数量は1,919.1万トンから8.3%減っています。数量が減るなかで、金額は増えている状況です。

段ボールについては、全国段ボール工業組合連合会が、2025年の需要を139億7,000万平方メートル(前年比99.3%)と見込み、2026年を139億平方メートル(同99.5%)と予測しています。同会の2026年の予測では、需要部門別の構成比は加工食品用が42%で最も大きく、青果物用が9%、電気器具・機械器具用が7%、薬品・洗剤・化粧品用と通販・宅配・引越用がそれぞれ6%です(全国段ボール工業組合連合会「段ボール統計・発表資料」)。

材料別の特性

包装・容器は材料によって、製品、顧客、設備が大きく異なります。M&Aでも、どの材料・用途で何を持っているかが、買い手の顔ぶれと評価の観点を左右します。

材料2025年の出荷金額(構成比)主な製品事業上の特性
紙・板紙製品2兆8,525億円(46.5%)段ボール、紙器、紙袋出荷金額の前年比は99.2%。段ボールの需要の42%は加工食品用(全国段ボール工業組合連合会の2026年予測)
プラスチック製品1兆7,836億円(29.1%)フィルム・軟包装、ボトル、トレー・カップ出荷金額の前年比は103.3%で、6区分のうち木製品に次いで伸びた。プラスチック資源循環戦略とプラスチック資源循環促進法の主な対象
金属製品8,426億円(13.7%)飲料缶、食品缶、エアゾール缶、18リットル缶製缶に加えて、内容物の充填を受託する事業を持つ会社がある(ホッカンホールディングス、東洋製罐グループホールディングス)
ガラス製品1,227億円(2.0%)飲料・食品・医薬・化粧品用のびん2021年から2025年に出荷数量が10.7%減少
木製品1,156億円(1.9%)パレット、木箱重量物の輸出梱包などに用いられる
その他4,188億円(6.8%)上記以外の包装材料—

出荷金額と構成比、前年比は日本包装技術協会の統計によります。2021年から2025年の出荷数量の変化は、ガラス製品が10.7%減、金属製品が10.7%減、プラスチック製品が10.2%減、紙・板紙製品が7.3%減でした。

業界再編を動かす5つの要因

  1. 出荷数量の減少と原価の転嫁 — 前述のとおり、2021年から2025年に出荷数量は8.3%減りました。原価の上昇を販売価格に転嫁できるかどうかは、事業ごとに差があります。藤森工業(現ZACROS)の子会社で包装材料を製造していたフジモリプラケミカルは、2023年3月期に原材料・エネルギーのコストが全社で約4億6,100万円上昇したのに対し、販売価格への転嫁は約1億3,300万円にとどまり、営業損失を計上していました(藤森工業が同社を吸収合併する際の事前開示書面)。藤森工業はその後、同社の春日井工場の食品包装事業を、食品包装の分野で市場地位を持つ会社に譲渡しています(第3章の事例④。藤森工業が公表した譲渡の理由は、事業の成長戦略とグループの事業ポートフォリオの最適化です)。
  2. 環境規制と顧客の環境配慮の要請 — 政府のプラスチック資源循環戦略(2019年)は、2030年までにワンウェイプラスチック(容器包装等)を累積25%排出抑制すること、2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクルすること、2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により有効利用することなどをマイルストーンに掲げています(環境省資料)。2022年4月1日には、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が施行されました。欧州では、包装・包装廃棄物規則(PPWR、Regulation (EU) 2025/40)が2025年2月11日に発効し、2026年8月12日から原則として適用されています。包装事業の取引でも、三井化学は包装事業をレンゴーとの統合会社に移す理由として、プラスチック包装の市場環境の急速な変化と環境配慮型製品の開発の加速を(事例①)、TOPPANホールディングスは海外での取得の理由として、ブランドオーナーの環境配慮型包装への需要を(事例⑧)挙げています。
  3. 化学メーカー・総合商社の事業ポートフォリオの見直し — 三井化学は2024年、包装事業をレンゴーとの統合会社に移しました。昭和電工マテリアルズ(現レゾナック)は2021年に食品包装用ラップフィルム事業を、レゾナックは2025年に二次電池用外装材・食品包装材の子会社を譲渡しました。三菱商事は2022年、中期経営戦略で資本効率と経営資源の再配分を重視するなかで、保有する食品容器の中央化学の株式を、センコーグループホールディングスの公開買付けに応募しています(第3章)。これらの取引では、包装を本業とする会社、あるいは物流など周辺の事業を持つ会社が譲受側となりました。
  4. 包装大手の海外展開 — TOPPANホールディングスは2025年に米国Sonocoの軟包装・熱成形容器事業を約18億ドルで取得し、東洋製罐グループホールディングスは2024年にマレーシアの受託充填会社を、王子ホールディングスは同年にフィンランドの包装材料メーカーWalkiを取得しました(第4章)。国内では、包装大手による取得は、グループからの切り出しの受け皿となる取得と、地域・用途を補う中小規模の取得が続いています(第3章)。
  5. 事業承継 — 中小企業庁は、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者が約245万人となり、うち約半数の127万人で後継者が未定となること、このまま廃業が増えれば2025年までの累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があることを試算していました(中小企業庁「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性」)。容器包装業界でも、2024年以降、1942年創業の村瀬段ボール、1962年設立の柴田段ボール、1972年設立のキンキダンボールなど、長い社歴を持つ地域の段ボール会社が、全株式の譲渡と少数の資本参加の両方の形で大手の資本を受け入れています(第3章の事例⑤)。これらの案件で公表された理由は、買い手の工場との地域での連携などであり、事業承継との関係は開示されていません。

2. 業界プレイヤー構図

総合大手

会社本社連結売上高包装関連の直近の動き
TOPPANホールディングス東京都文京区1兆8,050億円(2026年3月期)2025年に米国Sonocoの軟包装・熱成形容器事業を取得し、イタリアのIrplast(80%)の取得で合意。包装以外の事業を含む
大日本印刷東京都新宿区1兆5,126億円(2026年3月期)2025年にレゾナック・パッケージングを取得。包装以外の事業を含む
レンゴー大阪市北区(東京本社あり)1兆83億円(2026年3月期)2024年にRM東セロを子会社化。国内の段ボール・軟包装会社と、海外の重量物包装・段ボール会社への出資・取得を継続
東洋製罐グループホールディングス東京都品川区9,632億円(2026年3月期)2024年にマレーシアのPremier Centre Groupを取得

TOPPANホールディングスとレンゴーは海外で複数の買収を行い、東洋製罐グループホールディングスも2024年にマレーシアで取得を行いました。国内では、レンゴーと大日本印刷が化学メーカーからの事業の受け皿となり、レンゴーはあわせて地域の段ボール会社などへの出資・取得を重ねています。

上場の中堅・専業メーカー

会社本社連結売上高主な領域・直近の動き
エフピコ広島県福山市2,405億円(2026年3月期)食品トレー・容器
フジシールインターナショナル大阪市淀川区(東京本社あり)2,178億円(2026年3月期)シュリンクラベル等。2020年にタイの合弁会社Fuji Aceの残り51%を味の素グループから取得
ZACROS(旧 藤森工業)東京都文京区1,585億円(2026年3月期)2024年に食品包装事業をカナオカホールディングスに譲渡。同年に商号を変更
ホッカンホールディングス東京都中央区905億円(2026年3月期)金属缶・ペットボトル、飲料の受託充填。子会社2社を2027年4月1日に吸収合併し、事業会社体制に移行する予定
日本山村硝子兵庫県尼崎市(東京本社あり)722億円(2026年3月期)ガラスびん
中本パックス大阪市天王寺区496億円(2026年2月期)軟包装の印刷・加工
朝日印刷富山県富山市446億円(2026年3月期)医薬品・化粧品の包材。マレーシアで3社を取得
竹本容器東京都台東区145億円(2025年12月期)化粧品・食品等のプラスチック容器

ホッカンホールディングスの子会社の吸収合併はグループ内の再編であり、本稿の再編事例には数えていません。

化学メーカー・総合商社の傘下にあった包装事業

化学メーカーや総合商社のグループには、包装材料・容器の事業が置かれてきました。三井化学東セロの包装事業、レゾナックの食品包装用ラップフィルム事業とレゾナック・パッケージング(滋賀県彦根市、1959年設立)、三菱商事が主要株主であった中央化学(1961年創業)は、2021年から2025年にかけて、いずれも包装を本業とする会社や周辺事業を持つ会社に移りました(第3章)。

オーナー系の非上場企業

非上場の容器・包装会社には、創業家が経営するオーナー系の企業が多くあります。食品向け軟包装のカナオカホールディングス(東京都台東区、1953年設立)は、代表取締役社長が株式の96.90%を保有するオーナー企業であり、2024年に上場会社である藤森工業の食品包装事業を譲り受けました。地域の段ボール会社では、村瀬段ボール(愛知県江南市)の株式の51%をエムワイホールディングスが、キンキダンボール(滋賀県草津市)の株式の57.1%を近畿紙器が保有し、両社ともレンゴーの出資を受け入れた後も筆頭株主にとどまっています。

関西への集積

本稿で取り上げる企業のうち、レンゴー(大阪市北区)、フジシールインターナショナル(大阪市淀川区)、中本パックス(大阪市天王寺区)、日本山村硝子(兵庫県尼崎市)、キンキダンボール(滋賀県草津市)、旧レゾナック・パッケージング(滋賀県彦根市)は、大阪府・兵庫県・滋賀県に本社を置いています。容器の企画・調達を手がける日商実業は1965年に大阪で創業しました。大阪では、2026年3月に、ラベル・パッケージの大阪シーリング印刷が、杉友パッケージ(大阪市中央区)の小売を除く事業の全部を譲り受ける契約を締結しています。


3. 国内の容器包装業界M&A事例 — 化学メーカー・商社からの切り出しと、地域の会社への出資

事例① レンゴー × 三井化学東セロの包装事業(2024年)— 化学メーカーの包装事業を統合会社として取得

三井化学は2023年6月、子会社の三井化学東セロの事業を再編すると発表しました。半導体・電子部品向けのフィルムなどのICT事業は、吸収分割により新設の完全子会社に移し、包装事業(パッケージングソリューション事業)は三井化学東セロに残したうえで、レンゴーとトクヤマの合弁会社であったサン・トックスを吸収合併により統合します。三井化学は、統合会社の株式の一部を108億5,000万円でレンゴーに譲渡し、統合会社はレンゴーの51%子会社となりました。2024年4月1日に発足したアールエム東セロは、包装用プラスチックフィルムと発泡シートを製造・販売し、従業員は約1,200名、株主構成はレンゴー51.00%、三井化学35.95%、トクヤマ13.05%です。

三井化学は再編の理由として、長期経営計画でICT事業を事業ポートフォリオ変革の柱に育てること、包装事業については、プラスチック包装の市場環境が急速に変化するなかで、サン・トックスとの統合により収益力の向上、環境配慮型製品の開発の加速、海外展開を図ることを挙げました。三井化学は統合会社の株式を34%以上保有し、持分法適用会社として経営に関与を続けるとしていました。レンゴーは、子会社化により軟包装事業をさらに推進するとしています。

本案件は、(i)化学メーカーが、成長領域の事業を切り分けたうえで、包装事業を包装大手との統合会社に移した、(ii)売り手が全株式を手放すのではなく少数株主として残り、統合会社の経営に関与を続ける形をとった、(iii)取得の方法が、吸収合併による事業の統合と株式の譲渡の組み合わせであった、という点を示しています。

事例② 信越ポリマー・大日本印刷 × レゾナックの包装事業(2021年・2025年)— 化学メーカーによる包装事業の段階的な譲渡

昭和電工マテリアルズ(現レゾナック)は2021年5月、1973年から手がけてきた食品包装用ラップフィルム事業を信越ポリマーに譲渡すると発表しました。事業を新設分割により新会社キッチニスタに移し、2021年8月2日に同社の全株式を信越ポリマーに譲渡する形です。昭和電工マテリアルズは、事業ポートフォリオの再構築を進めるなかで、塩化ビニルフィルムを主要な素材とする信越ポリマーのもとで事業を拡大することが最善と判断したとしています。信越ポリマーは、既存の食品包装用ラップフィルム事業との相乗効果による収益性の向上を見込みました。

レゾナックは2025年2月3日、二次電池用外装材と食品用の包装材・容器を製造・販売するレゾナック・パッケージング(滋賀県彦根市、1959年設立)の全株式を大日本印刷に譲渡しました。レゾナックは、2021年から2030年の長期ビジョンのもとで事業ポートフォリオを見直し、この分野の知見を持つ大日本印刷のもとで事業を成長させることがすべてのステークホルダーにとって最善と判断したとしています。大日本印刷は統合報告書で、同社を「DNP高機能マテリアル彦根」としてグループに迎え、両社の特許や製造ノウハウを組み合わせて、車載・IT・定置用蓄電池の用途に製品の幅を広げるとしています。譲渡価額は公表されていません。

これらの案件は、(i)一つの化学メーカーが、事業ポートフォリオの見直しのなかで、包装関連の事業を時期を分けて別々の買い手に譲渡した、(ii)買い手は、それぞれの事業と同じ素材・同じ用途の事業をすでに持つ会社であった、(iii)譲渡の方法として、新設分割で事業を新会社に移してから株式を譲渡する形と、子会社の株式をそのまま譲渡する形が使い分けられた、という点を示しています。

事例③ センコーグループホールディングス × 中央化学(2022年発表)— 総合商社の非中核事業を物流会社が取得

物流会社のセンコーグループホールディングスは2022年11月、プラスチック製の食品包装容器を製造する中央化学(1961年創業、当時東証スタンダード上場)に対する公開買付けを発表しました。第1回の公開買付けは、三菱商事が保有する普通株式と優先株式の転換分を含む70.64%の取得を想定した1株195円の公開買付けで、第2回の公開買付けは1株418円(発表前営業日の終値330円に対し26.67%のプレミアム)で残りの株式を対象とする二段階の構成です。第2回の公開買付けの終了時点(2023年2月)で、センコーグループホールディングスの所有割合は96.78%となりました。発表時点では、非公開化の後に三菱商事が再出資し、センコーグループホールディングス60%、三菱商事40%の保有とする計画が示されていました。

公開買付届出書によると、三菱商事は、中期経営戦略で資本効率と経営資源の再配分を重視するなかで、原料の供給以外の面で投資を支えることが難しく、新たなパートナーのもとで中央化学が成長することが望ましいと判断しました。センコーグループホールディングスは、商事事業から製造業への展開を含む消費財関連事業の拡大を目的に挙げ、物流の効率化、顧客の相互活用、生産性の向上による相乗効果と、非公開化による機動的な設備投資の判断を見込みました。

本案件は、(i)総合商社が主要株主であった容器メーカーの買い手が、同業の容器メーカーではなく物流会社であった、(ii)買い手が見込んだ効果に、製品の補完ではなく物流の効率化と顧客の相互活用が含まれていた、(iii)売り手が少数株主として再出資する計画が、取引の当初から組まれていた、という点を示しています。

事例④ カナオカホールディングス × 藤森工業の食品包装事業(2024年)— 上場会社の事業をオーナー企業が譲り受け

藤森工業(現ZACROS)は2024年1月、子会社フジモリプラケミカルの春日井工場の食品包装事業と、それに関連する藤森工業の販売事業を、カナオカホールディングスに譲渡すると発表しました。2つの吸収分割により、対象事業を新設の完全子会社(FPC準備株式会社)に移し、2024年7月1日に同社の全株式をカナオカホールディングスに譲渡する形です。対象事業の2023年3月期の売上高は、藤森工業の販売事業が25億4,200万円、フジモリプラケミカル春日井工場が35億1,200万円(いずれも内部取引消去前)でした。譲渡価額は守秘義務により公表されていません。新会社は2024年7月1日に「カナオカプラケミカル」(愛知県春日井市)として発足しました。

藤森工業は譲渡の理由として、包装業界の環境が変化するなかで事業の成長戦略が必要であること、グループの事業ポートフォリオの最適化、カナオカホールディングスが食品包装の分野で強固な市場地位を持つことを挙げています。カナオカホールディングスは、代表取締役社長が株式の96.90%を保有するオーナー企業で、藤森工業との間に資本・取引上の関係はありませんでした。第1章で述べたとおり、フジモリプラケミカルは、全社で2023年3月期に営業損失を計上していました。

本案件は、(i)上場会社が、事業全体ではなく特定の工場の特定の事業だけを切り出して譲渡した、(ii)買い手が、資本・取引関係のない非上場のオーナー企業であった、(iii)会社分割で新会社に事業を移してから株式を譲渡したことで、買い手は新会社として事業を引き継いだ、という点を示しています。オーナー企業が売り手ではなく買い手として、大手の事業の受け皿になり得ることを示す例です。

事例⑤ レンゴーによる地域の段ボール会社・軟包装会社への出資と取得(2024〜2026年)

レンゴーは2024年から2026年にかけて、国内の段ボール会社と軟包装会社への出資・取得を重ねています。

発表対象会社(所在地、設立・創業)事業売上高・従業員取得の形
2024年7月柴田段ボール(愛知県豊橋市、1962年設立)段ボールケース約4億2,000万円(2023年7月期)、20名発行済株式の100%を取得
2024年10月村瀬段ボール(愛知県江南市、1942年創業)段ボールシート・ケース約15億円(2023年9月期)、49名20%を取得。2026年3月に追加出資し49%に
2024年10月ジェイパック(神奈川県・千葉県に拠点)梱包、倉庫管理、通関、輸送非公表子会社のトライウォールジャパンが100%を取得
2025年4月キンキダンボール(滋賀県草津市、1972年設立)段ボールシート・ケース約64億円(2024年12月期)、100名第三者割当増資を引き受け28.6%を保有
2025年4月新光(東京都東村山市、前身は1953年創業)段ボールケース・各種包装約17億円(2025年2月期)、41名発行済株式の100%を取得
2026年9月八潮化学(茨城県守谷市)軟包装約33億円(2026年3月期)、103名子会社の朋和産業が100%を取得

柴田段ボール、村瀬段ボール、キンキダンボール、新光の案件で、レンゴーは、対象会社とレンゴーの近隣の直営工場・グループ会社との連携を強化し、その地域でのグループの段ボール事業を拡充することを理由に挙げています。キンキダンボールについては、あわせて事業継続計画(BCP)の強化に資することを挙げました。八潮化学は、朋和産業が国内とタイでグラビア印刷とラミネート加工を委託していた先で、取得の理由は協力関係の強化と国内外での軟包装事業の拡大です。村瀬段ボールの株主はエムワイホールディングス(51%)とレンゴー(49%)、キンキダンボールの主要株主は近畿紙器(57.1%)とレンゴー(28.6%)です。

これらの案件は、(i)同じ買い手が、相手先に応じて、全株式の取得、少数の資本参加とその後の追加出資、第三者割当増資の引き受けという異なる形を使い分けている、(ii)対象会社の多くが売上高数億円から数十億円の地域の会社であり、取得の理由が、買い手の既存の工場との地域での連携にある、(iii)軟包装では、既存の外注先を取り込む形の取得が行われた、という点を示しています。

事例⑥ Berlin Packaging × 日商実業(2024年)— 海外の包装会社による日本の容器卸の取得

国内の容器包装の製造会社を海外の会社が取得した公表事例は、本稿の調査の範囲では多くありませんでしたが、隣接する容器の企画・調達の分野で次の例があります。米国のBerlin Packagingは2024年9月、日商実業の取得を発表しました。日商実業は1965年に大阪で創業し、国内の製造業者のネットワークからガラス・プラスチック容器を調達して、食品・飲料、化粧品、パーソナルケア、ヘルスケアの顧客に供給しており、設計・開発、調達、倉庫、充填・組立、物流の管理などのサービスも手がけています。Berlin Packagingは、アジア太平洋での事業の拡大と、日本の顧客への供給を取得の理由に挙げ、日商実業の従業員、経営陣、拠点をすべて維持するとしています。取得比率と価額は公表されていません。

本案件は、(i)海外の包装会社が日本に参入する際に、容器の製造業者ではなく、容器の調達・供給を担う会社を取得した、(ii)海外の買い手が、取得後も対象会社の従業員・経営陣・拠点を維持すると公表した、という点を示しています。

事例⑦ West Pharmaceutical Services × 大協精工(2019年)— 長年の提携を経た少数出資の引き上げ

医薬品の包装部材では、米国のWest Pharmaceutical Servicesが2019年10月、注射剤用の包装部材(フィルムをラミネートしたゴム栓、樹脂製の容器・投与システム等)を製造する大協精工(栃木県佐野市)への出資比率を49%に引き上げました。両社の提携は40年以上にわたり、技術交換とクロスライセンスの契約を結び、Westが大協精工の製品の全世界での独占販売権を、大協精工が日本でのWest製品の販売権を持っています。Westは、大協精工の製品が自社の製品群を補完すると説明しています。出資の金額は公表されていません。

本案件は、(i)海外の会社が、日本の包装部材メーカーとの40年以上の販売・技術の提携を経て、出資比率を引き上げた、(ii)全株式ではなく49%の少数出資にとどめた、という点を示しています。事例⑥⑦はいずれも医薬品・化粧品・食品向けの容器や包装部材の分野であり、段ボールや軟包装などの包装材料の製造会社を海外の会社が取得した例ではありません。


4. クロスボーダーの容器包装業界M&A事例 — 国内大手・中堅による海外での買収

国内で売却や提携を検討するオーナーにとっては、国内の大手・中堅がどのような基準で何を買っているかが、自社が買い手からどう評価されるかを考える材料になります。国内外での買収を検討する事業会社にとっては、同業大手の投資基準の参照例になります。

事例⑧ TOPPANホールディングス × Sonocoの軟包装・熱成形容器事業(2025年4月取得完了)— 米州への本格参入

TOPPANホールディングスは2024年12月、米国の包装大手Sonocoから軟包装事業と熱成形容器事業を18億ドル(約2,713億円、有利子負債等の調整を含む)で取得すると発表し、2025年4月に取得を完了しました。対象事業の2023年の売上高は約13億ドル(単体ベースの試算値)で、従業員は約4,500名、製造拠点は22か所です。TOPPANホールディングスは、取得後の製造拠点を12か国の60か所超としています。

TOPPANホールディングスは取得の理由として、市場規模の大きい米州への本格的な参入、ブランドオーナーの環境配慮型包装への需要、フィルムの製造からバリア加工、包装材の製造までを各地域で手がける戦略を挙げています。同社はこれまでに、InterFlex Group(米国・英国、2021年)、Toppan Speciality Films(インド、2022年)、Skymark Packaging(英国、2023年)を取得しており、2025年3月にはToppan Speciality Filmsを通じて、イタリアのフィルムメーカーIrplastの株式80%を取得することでも合意しています。

本案件は、(i)国内の総合大手が、包装事業の拡大を海外での買収で進めている、(ii)売り手は事業会社であり、事業の一部を切り出して譲渡した、(iii)買い手は、フィルムの製造から包装材の製造までの工程を各地域でそろえる方針のもとで、複数の買収を順に重ねている、という点を示しています。

事例⑨ 東洋製罐グループホールディングス × Premier Centre Group(2024年8月取得完了)— 容器と充填の組み合わせ

東洋製罐グループホールディングスは2024年2月、マレーシアのPremier Centre Group(1972年設立)の全株式を7,500万ドル(約110億6,600万円、価格調整あり)で取得する契約を締結し、2024年8月に子会社化しました。同社はホームケア・パーソナルケア製品の受託充填とOEM・ODM生産を手がけ、プラスチック容器の製造、内容物の調合、充填を一貫して行っています。2022年12月期の売上高は3億2,470万リンギット(約101億3,100万円)、営業利益は3,810万リンギット(約11億8,700万円)でした。売り手は、PCMS Cayman Holdingsが90%を保有するマレーシアの持株会社です。

東洋製罐グループホールディングスは取得の理由として、成長市場であるアジアでの充填事業の拡大、マレーシアの人口増加を背景とした需要、自社の容器の製造・開発の技術と対象会社の調合・充填の技術を組み合わせた新たな市場の創出を挙げています。

本案件は、(i)国内の容器大手が、容器の製造だけでなく内容物の充填を手がける会社を海外で取得した、(ii)取得価額と対象会社の売上高・営業利益が開示されており、取得価額(約110億円)は対象会社の2022年12月期の売上高(約101億円)とほぼ同水準であった、という点を示しています。

事例⑩ レンゴー × 海外の重量物包装・段ボール会社(2024〜2026年)— 中規模の取得の積み上げ

レンゴーは、香港の連結子会社トライウォールを通じて重量物包装の会社を相次いで取得しています。あわせて、レンゴーが30%を出資するタイの合弁会社Thai Containers Group(SCG Packagingが70%を出資)も、東南アジアの段ボール会社を取得しています。

発表対象会社(国)事業取得比率
2024年8月Concept Packaging Group(米国)自動車向け中心の重量物包装資材。2023年12月期の売上高1億6,500万ドル25%
2024年12月Pronk Multiservice India(インド)重量物包装資材、梱包・ラッシングサービス90%
2025年3月Pronk Multiservice ME(アラブ首長国連邦)重量物包装資材、ラッシング資材100%
2025年7月Scart Imballaggi(イタリア)段ボール・木製の重量物包装資材、木製パレット。2024年12月期の売上高3,700万ユーロ(約63億円)100%
2025年10月Prokemas Adhikari Kreasi(インドネシア)段ボール60%(Thai Containers Groupの子会社が取得。レンゴーの持分取得ではない)
2026年9月Jin Zhong Fa Paper Industrial(タイ)段ボール90%(Thai Containers Groupが取得。同上)

レンゴーは、重量物包装の取得の理由として供給能力の強化と包装・サービスの品ぞろえの拡充を、Thai Containers Groupによる東南アジアの段ボール会社の取得については、グローバル展開を掲げる同社の構想のなかで東南アジアの段ボール事業を重要な戦略事業と位置づけていることを挙げています。

これらの案件は、(i)国内の段ボール大手が、海外では大型の買収ではなく、地域ごとの中規模の会社の取得を重ねている、(ii)重量物包装では香港の連結子会社を取得の主体とし、東南アジアの段ボールでは現地の合弁会社(レンゴーは少数株主)が取得を行っている、(iii)トライウォールによる取得でも、少数の出資(米国の25%)から全株式の取得まで、取得比率が案件ごとに異なる、という点を示しています。

事例⑪ 王子ホールディングス × Walki(2024年4月取得完了)— ファンド保有の包装材料メーカーを取得

王子ホールディングスは2023年10月、フィンランドの包装材料メーカーWalkiの取得を発表し、2024年4月に取得を完了しました。売り手は、米国の投資ファンドOne Equity Partnersが運用するファンドです。Walkiは、消費財包装、産業用包装、エンジニアード・マテリアルの3事業を持ち、フィンランド、ドイツ、ベルギー、スペイン、フランス、ポーランド、英国、中国に生産拠点があります。王子ホールディングスは取得の狙いとして、Walkiの加工技術を加えることで、包装材料の上流から下流までを担うグローバルな体制を築くこと、技術開発の加速により環境配慮型包装材料の供給者としての地位を強めることを挙げています。取得価額は、本稿で確認した一次情報には記載がありませんでした。

本案件は、(i)国内の製紙大手が、紙の上流から包装材料の加工までを海外でつなぐために買収を行った、(ii)売り手がファンドであり、ファンドの出口として事業会社が取得した、という点を示しています。

事例⑫ 朝日印刷・フジシールインターナショナル × 東南アジアの包装会社(2019〜2023年)— 専業メーカーによる海外での取得

医薬品・化粧品の包材を手がける朝日印刷(富山市)は、2019年8月、マレーシアのHarleigh (Malaysia)とShin-Nippon Industriesの株式をそれぞれ65%取得する契約を締結し、2023年10月には、高級化粧品・食品向けの包装を手がけるKinta Press & Packagingの株式65%を7,670万リンギット(約24億1,600万円)で取得しました。Kintaの2022年の売上高は5,768万リンギット(約18億1,600万円)、従業員は約240名で、売り手は既存の取引関係のない個人株主5名です。朝日印刷は取得の理由として、2019年の取得では両社のマレーシアの医薬品市場での実績と国内外の顧客基盤を、2023年の取得ではマレーシアでの市場地位と顧客基盤、既存のマレーシア子会社との相乗効果を挙げています。Shin-Nippon Industriesの新工場(ジョホール州、投資額約30億円)は2025年11月に竣工し、朝日印刷は同年12月の公表時点で2026年5月の稼働を予定していました。2026年5月の決算説明資料では、新工場の稼働に向けて生産・営業体制を強化しているとしています。

フジシールインターナショナルは2020年1月、1995年に味の素グループと設立したタイの包装会社Fuji Ace(同社の保有は49%)について、味の素グループが保有する51%を12億4,400万バーツ(約45億1,500万円)で取得し、完全子会社とすることを発表しました。Fuji Aceの2019年3月期の売上高は45億6,700万バーツで、営業損失を計上していました。同社は、タイ、ベトナム、インドネシア、インドの事業を一体で運営し、東南アジアでの軟包装の戦略を進めることを理由に挙げています。

これらの案件は、(i)国内の中堅・専業メーカーも、東南アジアで現地の会社を取得している、(ii)全株式ではなく65%の取得で現地の株主を残す形や、合弁相手の持分を買い取って完全子会社とする形がとられた、(iii)買い手が評価したのは、現地の顧客基盤と、既存の現地拠点との一体運営であった、という点を示しています。


5. 容器包装業界M&Aで買い手が確認する業界固有の要素

容器・包装会社のM&Aでは、財務数値に加えて、容器包装業界に固有の要素が確認されます。事例の買い手・売り手が公表した取得・譲渡の理由と統合効果をもとに、製品・技術、顧客・販売、生産・拠点の3つに整理します。

  1. 製品・技術 — どの材料・用途で、どの顧客の製品に採用されているか。信越ポリマーは同じ素材の既存事業との相乗効果を(事例②)、大日本印刷は両社の特許と製造ノウハウの組み合わせを(事例②)、TOPPANホールディングスは環境配慮型包装の需要とフィルムからの一貫した工程を(事例⑧)、東洋製罐グループホールディングスは容器の製造・開発の技術と対象会社の調合・充填の技術の組み合わせを(事例⑨)、取得の理由に挙げています。売り手の側でも、三井化学は環境配慮型製品の開発の加速を統合の理由に挙げました(事例①)。
  2. 顧客・販売 — 顧客の構成と、買い手の顧客との重なり・補完です。センコーグループホールディングスは顧客の相互活用を(事例③)、藤森工業は譲渡先の食品包装の分野での市場地位を(事例④)、朝日印刷は対象会社の顧客基盤を(事例⑫)、取得・譲渡の理由に挙げています。
  3. 生産・拠点 — 工場の立地、設備、物流です。レンゴーは対象会社と近隣の直営工場との連携を取得の理由とし、キンキダンボールについては事業継続計画(BCP)の強化も挙げました(事例⑤)。センコーグループホールディングスは物流の効率化を(事例③)、取得の理由に挙げています。

6. 容器包装業界の買い手の類型

本稿の事例に表れた買い手は、大きく3つに分けられます。類型ごとに、取得の理由として挙げた効果が異なります。

  1. 国内の包装会社 — レンゴー(事例①⑤)、大日本印刷(事例②)、カナオカホールディングス(事例④)など。同じ材料・用途の事業を持ち、地域や用途の補完、同じ素材の事業との相乗効果を見込んでいます。非上場のオーナー企業であるカナオカホールディングスが上場会社の事業を譲り受けた例もあります。
  2. 隣接業界の事業会社 — 物流のセンコーグループホールディングス(事例③)や、塩化ビニルフィルムを主要な素材とする信越ポリマー(事例②)のように、包装そのものではなく、周辺の事業や同じ素材を持つ会社です。センコーグループホールディングスは物流の効率化と顧客の相互活用を、信越ポリマーは同じ素材の既存事業との相乗効果を見込みました。
  3. 海外の包装会社 — 日商実業を取得したBerlin Packaging(事例⑥)や、大協精工への出資比率を引き上げたWest Pharmaceutical Services(事例⑦)のように、日本の顧客基盤や長年の提携先を足がかりに、日本企業を取得し、あるいは出資する海外企業です。取得後も対象会社の従業員・経営陣・拠点を維持すると公表した例があります。

このほか、ファンドは事例⑪のWalkiで売り手として登場しています。国内の容器・包装会社をファンドが取得した公表事例は、本稿の調査の範囲では確認できませんでした。


7. 買収・提携を検討する事業会社・投資ファンドへの示唆

本稿の事例から、容器・包装会社の買収・提携を検討する事業会社と投資ファンドにとっての論点を3つに整理します。

① 対象先の所在

2021年から2025年にかけて、三井化学、レゾナック、三菱商事がグループ内または主要株主として保有していた包装事業を手放し(事例①②③)、上場会社の藤森工業は特定の工場の食品包装事業を切り出して譲渡しました(事例④)。この4件の買い手は、包装大手、同じ素材の事業を持つ信越ポリマー、物流会社のセンコーグループホールディングス、非上場のオーナー企業のカナオカホールディングスで、いずれも事業会社でした。地域では、売上高約4億円から約64億円の段ボール会社・軟包装会社がレンゴーグループの出資・取得の対象になっています(事例⑤)。事例⑤の八潮化学は買い手グループの既存の外注先で、事例⑦では40年以上の提携が出資の引き上げに先行しました。こうした地域の会社やオーナー企業は公開情報だけでは特定しにくく、取得には親会社やオーナーへの直接の打診が必要になります。

② 取引の形

事例には、包装事業を買い手が出資する合弁会社と統合し、売り手が少数株主として残る形(事例①)、会社分割で事業を新会社に移してから全株式を譲渡する形(事例②のキッチニスタ、事例④)、子会社の全株式の譲渡(事例②のレゾナック・パッケージング)、売り手の再出資を計画した二段階の公開買付けによる非公開化(事例③)があります。地域の会社では、同じ買い手が、全株式の取得、20%の出資と49%までの追加出資、第三者割当増資の引受による28.6%の保有を使い分けています(事例⑤)。海外では、投資ファンドが保有する包装材料メーカーを事業会社が取得した例があり(事例⑪)、投資ファンドにとっては事業会社への売却の例になります。どの形をとるかは、親会社・オーナーの意向と、買い手の統合計画によって決まります。

③ 売り手が重視する点

昭和電工マテリアルズは塩化ビニルフィルムを主要な素材とする信越ポリマーのもとで、レゾナックはこの分野の知見を持つ大日本印刷のもとで事業を成長させることが最善と判断したとしています(事例②)。三菱商事は、原料の供給以外の面で投資を支えることが難しく、新たなパートナーのもとでの成長が望ましいと判断しました(事例③)。三井化学は、統合による環境配慮型製品の開発の加速を挙げ、統合会社の経営に関与を続けるとしていました(事例①)。これらの説明からは、事例の売り手が、価格に加えて、その事業の分野での知見と、譲渡後の投資と成長の計画を譲渡先に求めていたことがうかがえます。地域の段ボール会社の案件では、売り手の理由は開示されていませんが、村瀬段ボールとキンキダンボールでは既存の株主が出資の受入れ後も筆頭株主にとどまっています(事例⑤)。


8. 容器・包装メーカーのオーナー・親会社が検討すべき論点

売却や資本提携を検討するオーナー・親会社の側では、次の3点が検討の出発点になります。

① 買い手候補の範囲

国内では、包装大手(事例①②)、物流会社(事例③)、非上場のオーナー企業(事例④)が大手の包装事業を取得し、地域の段ボール会社では包装大手が全株式の取得と少数の資本参加の両方を行っています(事例⑤)。海外の包装会社による取得・出資の例(事例⑥⑦)は、容器の調達・供給と医薬品の包装部材の分野です。買い手候補は、国内の包装会社に加えて、物流・化学など隣接業界の事業会社、海外の包装会社までを対象に、自社の製品・顧客・拠点と補完関係にある先を洗い出すことから検討します。

② 自社の資産の整理

第5章の3つの要素(製品・技術、顧客・販売、生産・拠点)ごとに、自社のどの資産が、どの買い手にとって補完になるかを整理しておくと、買い手候補との協議で評価の根拠を示すことができます。事例⑤のように工場の立地が地域の供給網の補完として評価される場合や、八潮化学のように既存の取引関係が取得につながる場合もあるため、工場・物流・取引関係を含めて整理することが必要です。原価の上昇をどこまで販売価格に転嫁できているかも、買い手が収益力を判断する材料になります(第1章)。親会社の側では、事例②④のように、譲渡する範囲を事業単位や工場単位で決めて新会社に移す方法がとられています。

③ 取引の形と時期

第7章②の取引の形のうち、どれが適するかは、承継の意向、従業員や取引先との関係、譲渡後の経営への関与の希望によって変わります。村瀬段ボールでは、2024年の20%の出資の後、2026年に49%まで追加出資が行われました(事例⑤)。最初の資本参加の形がその後の選択肢を左右する場合もあるため、現在の資本・取引関係を含めて選択肢を整理しておくことが、検討の出発点になります。


9. Syntax Partnersができること

Syntax Partnersは、M&Aのファイナンシャル・アドバイザー(FA)専業のアドバイザリーファームです。一つの案件では、売り手・買い手のいずれか一方のみを支援します。容器・包装を含む素材・化学セクターを重点セクターの一つと位置づけ、国内案件とクロスボーダー案件の双方に対応しています。

買い手側の支援

国内外での買収を検討される事業会社・投資ファンドに対し、貴社の戦略に基づく対象候補の調査・リスト化から、オーナー・親会社への直接の打診、交渉、取引の実行までを支援します。投資ファンドのアドオン買収や、大手グループからの切り出し案件の候補探索にも対応します。容器包装業界では、化学メーカーや総合商社のグループ内の事業に加えて、公開情報の少ない非上場のオーナー企業が対象となるため、候補先の調査とオーナー・親会社への直接のアプローチを当社が担います。海外の対象先については、日英を含む多言語で対応します。

売り手側の支援

売主様・オーナー様の利益を最大化するアドバイザーとして、事業承継と売却を支援します。投資ファンドが保有する企業の売却も対象とします。譲渡先の候補は国内の同業に限らず、物流・化学など隣接業界の事業会社に加えて、海外の包装会社などの戦略買い手も対象とします。

  • 買い手候補の探索:国内の包装会社、隣接業界の事業会社、海外の戦略買い手まで、貴社の製品・顧客・拠点と補完関係にある先を洗い出し、直接アプローチします。
  • 業界理解に基づく取引支援:材料・用途ごとの顧客での採用実績、原価の転嫁の状況、工場の立地と物流など、容器包装業界固有の要素を踏まえて、買い手候補への説明と条件の協議を進めます。
  • オーナーの意向を反映した交渉:従業員の雇用、取引先との関係、創業家の関与のあり方など、オーナーが重視する条件を明文化し、買い手候補との交渉に反映します。

事業承継、グループ再編、海外の買い手への譲渡、国内外での買収を検討されている経営者・オーナーの皆様からのご相談を承ります。初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

本稿は、各社の公式発表・IR資料等の公開情報に基づき、Syntax Partners, Inc. が業界動向を整理したものです。


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