めっき・表面処理業界M&Aの最新動向と事例 :事業承継型の買い手による取得と、半導体向け表面処理の取り込み

めっき・表面処理業界M&A・事業承継

(2026年10月更新)

国内の電気めっき業の事業所数は、この20年で減少が続いています。一方で製造品出荷額等は、この20年、4,000億円台で推移しています。この数年のめっき・表面処理業界M&Aを見ると、オーナーが経営する表面処理会社を、事業承継を目的とする持株会社(いずれも現在は上場)が取得する案件が、愛知県・岐阜県を中心に続いています。2026年には、半導体・FPD製造装置向けの真空部品を製造するマルマエと、精密部品事業を営むリズムが、それぞれ表面処理の事業を取り込んでいます。めっき薬品の分野では、2025年に米国の化学メーカーが国内のめっき薬品メーカーを取得しています。

本稿では、国内外での買収・提携を検討される事業会社の経営企画・事業投資部門、投資ファンドのご担当者、および事業承継や資本政策を検討されているめっき・表面処理会社のオーナー・親会社の皆様を念頭に、めっき・表面処理業界の市場構造と業界プレイヤーの構図、国内の再編事例、国内の表面処理関連企業による海外での取得事例を整理し、買い手が確認する業界固有の要素と、買収・売却それぞれの論点をまとめます。


1. めっき・表面処理業界の市場構造 — 事業所の減少と再編の要因

業界の範囲

本稿では、日本標準産業分類の細分類のうち、電気めっき業(2464)、溶融めっき業(2462)、その他の金属表面処理業(2469。陽極酸化処理(アルマイト)、溶射、電解研磨、金属防錆処理加工等を含む)を「めっき・表面処理業」として扱います。たとえば電気めっき業は、主として他から支給された金属製品に電気めっきを行う事業所と定義されており、めっき鋼材を製造する鉄鋼メーカーは含みません。同じ小分類に属する金属製品塗装業(2461)、金属彫刻業(2463)、金属熱処理業(2465)は、本稿の対象外とします。

あわせて、めっき・表面処理に使う薬品と装置のメーカーも、業界のプレイヤーとして取り上げます。これらの会社は化学工業・機械製造業に分類されるため、下記の統計の数値には含まれません。

市場規模

経済産業省の2025年経済構造実態調査によると、各業種の規模は次のとおりです(事業所数・従業者数は2025年6月1日時点、製造品出荷額等は2024年の実績。経済産業省 2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査 産業別統計表)。

業種(細分類)事業所数従業者数製造品出荷額等
電気めっき業(2464)1,01627,459人4,933億円
その他の金属表面処理業(2469)1,70531,487人7,148億円
溶融めっき業(2462)1365,626人1,288億円
参考:金属製品塗装業(2461)1,42522,229人3,043億円
参考:金属熱処理業(2465)64015,642人3,164億円

電気めっき業の事業所数は、工業統計(従業者4人以上の事業所)で、2004年の1,489事業所から2014年に1,162事業所、2019年に1,070事業所へと減りました。同じ各年の製造品出荷額等は、4,365億円、4,169億円、4,779億円です。2025年6月時点の1,016事業所は全規模の事業所を対象とする値で、4人以上を対象とする過去の値と比べると、減少の幅は実際より小さく見えます。

業界団体の組合員の規模も小さくなっています。全国鍍金工業組合連合会(全鍍連)の組合員は、2005年4月時点で1,878社・従業員29,999人、2026年4月時点で22組合・1,107事業所・従業員24,675人です(2005年は社数、2026年は事業所数による値で、統計の事業所の数え方とも異なります)。

事業所の規模は小さく、2025年6月時点の電気めっき業1,016事業所のうち、従業者29人以下の事業所が779事業所(約77%)を占めます。100人以上の事業所は48事業所です。

需要分野別の特性

めっき・表面処理は、顧客の部品に機能(防錆、耐摩耗、導電、外観等)を付ける工程であり、需要分野によって処理の種類と顧客が異なります。需要分野別の売上構成を示す官公庁・業界団体の統計は、本稿の調査の範囲では確認できなかったため、下表では、本稿で取り上げる各社の開示から、需要分野ごとの動きを整理します。

需要分野主な処理本稿の事例・開示に表れた動き
自動車亜鉛めっき等の防錆処理、樹脂めっき等の装飾めっき、機能めっき防錆めっき薬品のディップソールは、自動車向けが主な用途。サーテックカリヤを取得したセレンディップHDは、車載電装メーカーや海外の自動車メーカーへの拡販を想定。JCUは、2026年3月期の国内の装飾向け薬品の売上がデザインの傾向の変化もあり横ばいと説明
電子部品・半導体パッケージ貴金属・錫・ニッケル・銅等のめっきJCUは、2026年3月期に台湾で半導体パッケージ基板向けのめっき薬品の売上が前年から大幅に増加したと説明
半導体・FPD製造装置溶射、アルマイト、めっきトーカロの半導体・FPD分野の売上高は248億円(2026年3月期、連結売上高の42.4%)。半導体製造装置向けの表面処理を目的の一つに挙げた取得がある(事例②④)
鉄鋼・産業機械・社会インフラ溶射、溶融亜鉛めっき、化成処理トーカロは、タイの合弁会社の完全子会社化の理由に、同国が鉄鋼メーカーを擁する溶射加工の重要な市場であることを挙げた(第4章)。三鷹金属工業のめっき事業の顧客には、電力・社会インフラ向け設備の大手産業機器メーカーが含まれる
防衛アルミ合金の化成皮膜処理等大栄パーカーは、防衛向け製品の化成皮膜処理を手がける

業界再編を動かす5つの要因

  1. 事業所数の減少と能力の集約 — 上記のとおり、電気めっき業の事業所数は減少が続く一方、出荷額等は維持されています。2026年には、大型のめっき設備を持ちながら人員不足から稼働率が下がっていた三鷹金属工業のめっき事業を、セイワHD傘下の冨士鍍金工業所が譲り受け、製造能力を約35%増やす見込みを示しました(事例②)。事業所が減るなかで、事例②のように、稼働率の下がった他社の設備を引き継いで自社の能力を広げる取引があります。
  2. 排水規制の強化 — 水質汚濁防止法の亜鉛の排水基準は2006年12月に5mg/Lから2mg/Lに強化され、直ちに達成が難しい業種には暫定基準が設けられました。暫定基準の対象は延長のたびに絞られ、2021年12月以降は電気めっき業だけが対象となり、値も4mg/Lに引き下げられています。2024年12月の改正で、電気めっき業の暫定基準4mg/Lは2029年12月10日まで延長されました。六価クロム化合物の排水基準も、2024年4月1日に0.5mg/Lから0.2mg/Lに強化され、電気めっき業には施行日から3年間、暫定基準0.5mg/Lが適用されています(環境省 報道発表(2024年11月、亜鉛の暫定排水基準)、環境省 報道発表(2024年1月、六価クロム化合物の排水基準))。化学物質の規制では、PFOS(2010年)、PFOA(2021年)、PFHxS(2024年)が化学物質審査規制法の第一種特定化学物質に指定され、PFOSを含むめっき用の表面処理剤とその調製添加剤は輸入禁止製品とされています。基準への適合には、排水処理設備と使用薬品の見直しが伴う場合があり、その投資を自社で担い独立を続けるか、他社のグループに入って投資を担ってもらうかが、オーナーの検討事項の一つになり得ます。
  3. 人員の確保と設備投資の余力 — 三鷹金属工業のめっき事業の譲渡では、人員不足と追加投資の余力の制約により設備の稼働率が下がっていたことが、背景として公表されています。譲り受けたセイワHDは、人材の採用と設備投資を進めるとしています。人員と投資の余力を持つ買い手のもとで設備を稼働させることが、この取引の目的の一つでした。
  4. 半導体関連の需要 — トーカロは、中期経営計画「TOCALO2030」(2027年3月期〜2031年3月期)で、半導体・FPD分野の売上高を248億円(2026年3月期)から450億円に伸ばす目標を掲げています。2026年には、マルマエがアルバックテクノのアルミ表面処理事業を、半導体製造装置向けの表面処理技術の開発を目的に譲り受け(事例④)、セイワHDも、三鷹金属工業のめっき事業の譲受の効果の一つに半導体関連の需要への対応を挙げました(事例②)。半導体向けの処理技術と設備を持つ会社・事業が、取得の対象になっています。
  5. 事業承継 — 中小企業庁の資料によると、経営者が70歳以上の中小企業は98.6万者で、中小企業実態基本調査に基づく全体(302.2万者)の32.6%を占めます(2023年6月時点。中小企業庁「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」)。休廃業・解散の件数は、2014年の33,475件から2024年の62,695件に増え、その約半数が黒字でした(中小企業庁 親族内承継に関する現状分析の資料(2025年6月))。めっき・表面処理業界でも、後継者不在を背景とする譲渡(事例②の大栄パーカー)、親子間の承継とファンドの出資を組み合わせた例(事例③)、事業承継を目的とする持株会社による、社長が保有する株式の取得(事例①)が公表されています。

2. 業界プレイヤー構図

上場の表面処理加工会社

会社本社連結売上高主な領域・直近の動き
日本パーカライジング東京都中央区1,382億円(2026年3月期)化成処理の薬品・装置・加工。加工事業の売上高は486億円。2002年に日本カニゼンを買収。第5次グループ中期経営計画に「事業ポートフォリオ拡充のためのM&A探索」を掲げる
トーカロ神戸市中央区585億円(2026年3月期)溶射を中心とする表面改質。半導体・FPD分野が売上高の42.4%。TOCALO2030で、成長に必要なM&A案件があれば適宜検討するとしている
山王横浜市港北区155億円(2026年7月期)貴金属の表面処理と精密プレス。フィリピンに生産拠点

日本パーカライジングは、加工事業を担う子会社のパーカー加工を2024年に株式交換で完全子会社化し、2026年4月には日本パーカライジング本体の加工事業を同子会社に吸収分割で承継させ、同子会社の商号をパーカープロセッシングに変更するなど、グループ内の加工事業の再編を進めています。

上場のめっき・表面処理薬品メーカー

会社本社連結売上高主な領域・直近の動き
上村工業大阪市中央区918億円(2026年3月期)めっき薬品、表面処理機械、めっき加工。香港・台湾・タイ・深圳に合弁で進出
JCU東京都台東区297億円(2026年3月期)プリント配線板用・電子部品用・半導体用・自動車部品用・住宅建材用のめっき薬品と装置
石原ケミカル神戸市兵庫区235億円(2026年3月期)錫・銅系のめっき液等。2019年にキザイを取得(事例⑦)

表面処理会社を傘下に置く事業承継型の持株会社

事業承継を目的とする2つの持株会社が、表面処理会社を取得しています。セレンディップ・ホールディングス(名古屋市中区、東証グロース)は、2025年にサーテックカリヤ(愛知県刈谷市)を取得し、2026年3月期の連結売上高は512億円でした。セイワホールディングス(名古屋市中区、2026年3月に東証グロース上場)は、上場前にめっきの東栄コーティング(2019年)と冨士鍍金工業所(2024年)を、上場後に化成皮膜処理の大栄パーカー(2026年)をグループに加えました。2026年5月期の売上収益(IFRS)は80億円でした。

大手グループ傘下の表面処理会社

大手企業のグループにも表面処理会社が置かれています。日本パーカライジングの完全子会社の日本カニゼン(無電解ニッケルめっき)、エア・ウォーターのグループで鉄鋼材料向けの表面処理加工を主力とするエア・ウォーターNV(兵庫県尼崎市)などです。アルバックのグループでは、アルバックテクノが鹿児島県出水市で営むアルミ表面処理事業を、2026年9月1日付でマルマエに譲渡すると公表されています(事例④)。めっき薬品のディップソールは、国内のファンドの保有を経て、2025年に米国のQuaker Houghtonの傘下に入っています(事例⑧)。

オーナー系の非上場企業

非上場のめっき・表面処理会社の多くは、創業家が経営するオーナー系の企業です。本稿の事例でも、白金鍍金工業(名古屋市、1949年設立)は親子間で経営を承継したうえでファンドの出資を受け入れ、大栄パーカー(川崎市、1981年設立)は後継者不在を背景にセイワHDのグループに入り、三鷹金属工業(愛知県あま市)はめっき事業を譲渡しました。

地域への集積

電気めっき業の事業所数(2025年6月時点)は、東京都155、大阪府142、愛知県106、埼玉県88、神奈川県46の順で、製造品出荷額等(2024年実績)は、愛知県573億円、大阪府457億円、埼玉県406億円、東京都400億円、長野県361億円の順です(経済産業省 2025年経済構造実態調査 地域別統計表)。本稿の国内事例の対象会社のうち、サーテックカリヤ(刈谷市)、白金鍍金工業(名古屋市)、三鷹金属工業(あま市)、冨士鍍金工業所(愛知県犬山市・岐阜県各務原市)は愛知県・岐阜県に所在し、取得した2つの持株会社も名古屋市に本社を置いています。関西では、上村工業(大阪市)、トーカロと石原ケミカル(神戸市)、エア・ウォーターNV(尼崎市)が本社を置いています。


3. 国内のめっき・表面処理業界M&A事例 — オーナー企業の承継と、工程の取り込み

事例① セレンディップHD × サーテックカリヤ(2025年)— 社長が保有する表面処理会社を事業承継型の持株会社が取得

セレンディップHDは2025年5月13日、子会社のセレンディップSPC2号を通じて、めっき・表面処理加工のサーテックカリヤ(愛知県刈谷市、1954年設立)の全株式を現金対価で取得することを決議し、同年7月1日に取得しました。同社は有価証券報告書で、取得の目的を事業承継としています。売主は同社の代表取締役社長です。サーテックカリヤは、金属表面に耐熱・耐摩耗・防錆などの機能を付ける処理技術を持ち、日本、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、メキシコに生産拠点を置いています。単体の売上高は、有償支給取引を控除した付加価値額ベースで100億円超と開示されています。取得にあたっては、日本政策投資銀行と商工中金キャピタルによるメザニン出資が実行されました。

株式の取得は現金対価で行われましたが、あわせてセレンディップHDは、売主である社長に自己株式62,100株(払込金額の総額約2億円)を割り当て、社長は受け取った譲渡代金の一部をその払込みに充てました。同社はこの割当てを、売主に自社の株式を持ってもらう、買収の実質的な対価の一部と位置づけています。同社は取得の時点で、既存取引先以外の車載電装メーカー・自動車メーカーへの拡販、海外の自動車メーカーの新規開拓、金属加工と表面処理のパッケージでの提案、M&Aを含む生産拠点の拡充、自動化・省人化による生産性の向上の5点をシナジーとして想定していました。2026年3月期には、サーテックカリヤと海外子会社を含む8社を新たに連結しています。

本案件は、(i)海外に複数の生産拠点を持つオーナー系の表面処理会社の買い手が、同業ではなく事業承継を目的とする上場の持株会社であった、(ii)売主が譲渡代金の一部で買い手の株式を取得し、譲渡後も買い手グループの株主として関わる設計が取られた、(iii)取得の資金に、日本政策投資銀行と商工中金キャピタルのメザニン出資が使われた、という点を示しています。

事例② セイワHD × 冨士鍍金工業所・三鷹金属工業のめっき事業・大栄パーカー(2024〜2026年)— 事業承継型の持株会社による連続した取得

セイワHDは、後継者不在の中小製造業を取得して永続的に保有する方針を掲げ、有価証券報告書では、取得の評価に原則としてEV/EBITDA5倍以内を目安とするとしています。2026年5月期第3四半期の決算説明では、EBITDA1億〜3億円規模の企業を中心に検討すると説明しています。めっき・表面処理では、2019年に東栄コーティング(岐阜市)をグループに加えた後、2024年11月に、SPCを通じて冨士鍍金工業所(愛知県犬山市・岐阜県各務原市、半導体製造装置部品・工作機械部品のめっき)の全株式を取得しました。

2026年6月には、冨士鍍金工業所が三鷹金属工業(愛知県あま市)のめっき事業を譲り受けました。三鷹金属工業は大型のめっき設備と多数の生産ラインを持つ一方、人員不足と追加投資の余力の制約から稼働率が下がっていました。セイワHDは、譲受により冨士鍍金工業所の製造能力が約35%増える見込みであること、半導体関連の需要の拡大に対応する生産基盤になること、電力・社会インフラ向け設備の大手産業機器メーカーなどの顧客基盤を取り込めること、30km圏内の自社工場との共同営業・共同配送を見込めることを挙げています。

さらに2026年8月には、アルミ合金製品の化成皮膜処理を専業とする大栄パーカー(川崎市、1981年設立)をグループに加え、100%子会社としました。同社は防衛向け製品の処理を手がける一方、将来の後継者不在という課題を抱えていたとされ、セイワHDのもとで技術と雇用を承継し、事業の継続を図るとしています。セイワHDは、化成皮膜処理とグループのめっき・電着塗装との技術的な共通点、防衛用途で求められる品質管理のノウハウの共有、薬剤・資材の共同購買、関東の電着塗装工場との共同配送を、見込む効果として挙げています。

これらの案件は、(i)事業承継型の持株会社が、株式の取得と事業の譲受を組み合わせて、愛知県・岐阜県を中心に、関東も含めてめっき・表面処理の会社と設備を積み上げている、(ii)買い手が取得の評価の目安(EV/EBITDA5倍以内)を開示している、(iii)売り手側の事情として、後継者不在だけでなく、人員不足と設備投資の余力の制約が公表されている、という点を示しています。

事例③ 日本ものづくり事業承継基金1号 × 白金鍍金工業(2023年)— 親子間の承継とファンドの出資の組み合わせ

新生企業投資とセレンディップ・フィナンシャルサービスが共同で設立した日本ものづくり事業承継投資が運営する、日本ものづくり事業承継基金1号(2023年2月設立、ファーストクローズ51億円)は、2023年7月、白金鍍金工業(名古屋市守山区、1949年設立)の親会社である司化工に投資し、白金鍍金工業の社長と資本業務提携に合意しました。白金鍍金工業は1966年に樹脂めっき事業を始め、樹脂めっき、金属めっき、塗装、成形、組付を手がけています。出資は、前社長から長男である現社長への親子間の承継を契機とするもので、同ファンドの1件目の投資でした。出資比率は開示されていません。今後の方針として、既存取引先との関係の強化と、自動車関連以外の分野での取引の拡大が示されています。

本案件は、(i)親族内で経営を承継する場合にも、ファンドの出資を受け入れて承継の課題を解決する形がとられた、(ii)全株式の譲渡ではなく、資本業務提携の形でオーナー家が経営を続けている、という点を示しています。

事例④ マルマエ × アルバックテクノのアルミ表面処理事業(2026年)— 大手グループの表面処理事業を部品メーカーが取り込み

半導体・FPD製造装置向けの真空部品を製造するマルマエ(鹿児島県出水市、東証プライム)は2026年8月28日、アルバックの完全子会社であるアルバックテクノ(神奈川県茅ヶ崎市)から、アルミ表面処理事業(出水工場のみ)を9月1日付で譲り受けると発表しました。対象事業の売上高は2億6,400万円(2026年6月期)、譲受価額は非公開です。マルマエは、一貫生産の能力を高めることと、半導体製造装置向けの表面処理技術を開発して新たな強みとすることを目的に挙げています。業績への影響については、売上高は変わらない一方、売上原価のうち外注加工費が減り、固定費が増える見込みとしています。外注加工費が減るという説明からは、マルマエがこの事業に表面処理を委託していたことが読み取れます。なお、この表面処理事業は、2010年にアルバックのグループ内で、アルバック九州からアルバックテクノに移されたものでした。

本案件は、(i)大手グループの非中核の表面処理事業が、グループ内での移管を経て、グループ外の事業会社に譲渡された、(ii)買い手が表面処理会社ではなく、表面処理を委託していた側の部品メーカーであり、取得の目的が一貫生産の強化と技術の開発にある、(iii)会社ではなく、工場単位の事業の譲受という形がとられた、という点を示しています。

事例⑤ リズム × トーテックのめっき事業(2026年)— 新設分割と株式取得による工程の取り込み

精密部品事業を営むリズムは2026年7月24日、錫めっきやニッケルめっきを手がけるトーテック(千葉県)のめっき加工事業を、トーテックが新設分割で設立する会社(リズムトーテック)に承継させ、その株式を取得することを決議しました。目的は、精密部品事業における品質・コスト・納期の向上とサプライチェーンの強化です。リズムは同年9月に、新設会社の株式の取得の完了を開示しています。

本案件は、(i)事例④と同じく、表面処理会社ではない部品メーカーが、めっき事業を取得した、(ii)売り手は会社全体ではなく、めっき事業だけを新設会社に切り出して譲渡した、という点を示しています。

事例⑥ エア・ウォーターNV × エムエフケイ(2024年)— 表面処理会社による処理の種類の補完

エア・ウォーターのグループで鉄鋼材料向けの表面処理加工を主力とするエア・ウォーターNV(兵庫県尼崎市)は、2024年9月30日、エムエフケイ(埼玉県日高市、1991年設立、従業員33人)の発行済株式の70%を取得し、同日、社名をエア・ウォーターMFKに変更しました。エムエフケイは硬質アルマイト、精密洗浄、電解・化学研磨等を手がけ、2023年9月期の売上高は5億1,500万円です。同社は、従来のアルマイト処理の課題であった耐熱性の低さによる割れを抑えた機能アルマイト皮膜を開発し、半導体製造装置メーカーなどから評価を得ているとされます。エア・ウォーターは、自社の鉄鋼材料向けの表面処理技術と組み合わせて処理のラインアップを広げ、EVや自動運転に関連する需要の拡大を見据えて販路を広げることを狙いとしています。

本案件は、(i)表面処理会社が、自社にない処理の種類(アルマイト)を、半導体製造装置メーカーなどから評価を得ている技術とともに取得によって補った、(ii)全株式ではなく70%の取得とした、という点を示しています。

事例⑦ 石原ケミカル × キザイ(2019年)— めっき薬品メーカーによるオーナー系の同業の取得

錫・銅系のめっき液等を手がける石原ケミカルは2019年9月、金属および合成樹脂の表面処理薬品を研究開発・製造・販売するキザイ(東京都中央区、1959年設立)の全株式を、大株主である個人から取得することを発表しました。キザイの2019年3月期の売上高は13億4,700万円、営業利益は1億1,700万円、純資産は18億4,200万円です。石原ケミカルは取得の理由として、自社が扱っていない装飾めっきの市場で評価を得ているキザイを取り込み、提案力・技術サポート力を高め、新たな顧客基盤を作ることを挙げています。取得価額は、売主との守秘義務により公表されていません。

本案件は、(i)めっき薬品の分野でも、個人株主が保有する会社が同業の上場会社に譲渡された、(ii)買い手が評価したのは、自社が持たない市場(装飾めっき)での実績と顧客であった、という点を示しています。

事例⑧ Quaker Houghton × ディップソール(2025年)— 国内のファンドが保有するめっき薬品メーカーを海外の化学メーカーが取得

米国の工業用化学品メーカーであるQuaker Houghton(ニューヨーク証券取引所上場)は2025年3月25日、表面処理・めっき薬品のディップソール(1953年設立)を230億円で取得する契約を結び、4月1日に取得を完了しました。売り手は、ディップソールの株式を間接的に保有するSPCの株式を保有していた国内のファンド、アスパラントグループです。Quaker Houghtonの開示によると、取得価額は、ディップソールの直近12か月の調整後EBITDA(Quaker Houghtonの推計で約1,500万ドル)の約10.5倍にあたり、ディップソールの2024年12月までの12か月の売上高は約8,200万ドル、従業員は約450人で、アジア、北米、欧州に生産・研究開発の拠点を持ちます。主な用途は自動車その他の産業向けです。

Quaker Houghtonは、ディップソールの製品技術が自社の技術サービス型の事業モデルを補完し、成長性のある市場での事業の拡大とクロスセルにつながることを、取得の理由に挙げています。売り手のアスパラントグループは、保有期間中に、世界の製造拠点の最適化と原価の低減、海外市場での販売拡大に取り組んだとしています。

本案件は、(i)国内のめっき薬品メーカーの売り手であるファンドの出口として、海外の化学メーカーが買い手となった、(ii)買い手が、取得価額と、取得価額の調整後EBITDAに対する倍率を開示している、という点を示しています。めっき加工会社の事業承継型の取得(事例②。EV/EBITDA5倍以内が目安)とは、事業の内容(薬品の製造販売と加工の受託)も規模も異なりますが、海外の買い手が国内の表面処理関連の会社に付けた価格の水準を知る参照になります。

本稿の調査の範囲では、海外企業が国内のめっき加工会社を取得した公表事例は確認できませんでした。


4. 海外のめっき・表面処理業界M&A事例 — 合弁の買い取りと新設による海外展開

国内で売却や提携を検討するオーナーにとっては、国内の表面処理関連の上場会社が海外でどのような形で事業を広げているかが、自社の海外拠点や海外の顧客との取引が買い手からどう評価されるかを考える材料になります。海外での取得を検討する事業会社にとっては、同業の上場会社の進出の方法と取得の基準の参照例になります。

事例⑨ トーカロ × NEIS & TOCALO (Thailand)(2024年)— 合弁相手からの持分の買い取り

トーカロは2012年10月、NEISグループとの合弁で、タイのチョンブリ県に溶射・溶接加工のNEIS & TOCALO (Thailand)を設立し、49.0%を保有していました。2024年7月、合弁相手が保有する51.0%(86,700株)を追加取得して100%とし、社名をTOCALO Surface Technology (Thailand)に変更しました。トーカロは取得の理由として、タイは鉄鋼メーカーを擁する溶射加工事業の重要な市場であること、経営資源を溶射加工事業に集中させて同国での事業を拡大することを挙げています。

トーカロは、中期経営計画「TOCALO2030」で、東南アジアではタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールを中心に事業を広げ、米国ではアリゾナ州に2025年9月に設立したTOCALO USA-Arizonaなどで生産能力を強化するとしています。米国の拠点は、取得ではなく新設によるものです。

本案件は、(i)国内の表面処理会社が、合弁で進出した市場で、合弁相手の持分を買い取って事業を自社に集約した、(ii)取得の理由として、顧客である鉄鋼メーカーを擁する市場であることが示されている、という点を示しています。

事例⑩ 上村工業 × Sum Hitechs(2015年)— 現地の合弁相手からの持分の取得

上村工業は1987年、自動車・家電部品等の樹脂成形・塗装・めっき加工と、プリント基板のめっき加工を手がけるSum Hitechs(タイ・パトゥムタニ県)を合弁で設立し、2015年時点で83.65%を保有していました。2015年8月、残る株式を保有していたタイの上場会社Thai Stanley Electricから16.35%(170,040株)を2億9,000万バーツ(約10億2,300万円)で取得し、保有比率を83.65%から100%に引き上げました。上村工業は理由として、経営環境の変化に迅速に対応するためのグループ内の連携の強化と、経営体制の強化を挙げています。

本案件は、(i)めっき薬品メーカーが、海外では薬品の販売だけでなく、合弁を通じてめっき加工の事業も営んでいる、(ii)現地の合弁相手からの持分の取得に、取得価額が開示された例がある、という点を示しています。

国内の表面処理関連の上場会社による海外展開の方法

国内の表面処理関連の上場会社の海外拠点は、新設と合弁が中心です。日本パーカライジングは、台湾の合弁会社のほか、米国、タイ、インド、中国の拠点を新設で設けてきました。JCUは、アジア、米国、メキシコに子会社を設け、インド(2014年)とメキシコ(2020年)の子会社は、株式の追加取得により完全子会社としています。上村工業も、香港・台湾・タイ・深圳に合弁で進出しました。有価証券報告書の沿革から確認できる範囲では、日本パーカライジングの買収はいずれも国内案件でした。国内の表面処理関連の上場会社全般でも、海外の会社を第三者から買収した例は、本稿の調査の範囲では限られていました。

一方、国内での取得を通じて海外の拠点を得る例もあります。セレンディップHDが取得したサーテックカリヤ(事例①)は、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、メキシコに子会社を持ち、取得時に想定したシナジーには、海外の自動車メーカーの新規開拓が含まれていました。


5. めっき・表面処理業界M&Aで買い手が確認する業界固有の要素

めっき・表面処理会社のM&Aでは、財務数値に加えて、業界に固有の要素が確認されます。事例の買い手が公表した取得の理由と見込んだ効果をもとに、処理技術、顧客、生産の3つに整理します。

  1. 処理技術と品質管理 — どの処理(電気めっき、無電解めっき、アルマイト、化成処理、溶射等)を、どの素材と用途に対して、どの品質水準で行えるかです。事例⑥の買い手は、割れを抑えた機能アルマイト皮膜の技術を、事例⑦の買い手は、装飾めっきの市場での実績を、事例②の買い手は、防衛用途で求められる品質管理のノウハウと、化成皮膜処理とめっき・電着塗装の技術的な共通点を挙げています。
  2. 顧客と需要分野 — 顧客の構成と、顧客の品質承認を得ている処理の範囲、買い手の顧客との補完関係です。事例②の買い手は、三鷹金属工業の大手産業機器メーカーの顧客基盤を、事例①の買い手は、車載電装メーカーや海外の自動車メーカーへの拡販を、事例⑧の買い手は、クロスセルの機会を挙げました。事例⑨では、顧客である鉄鋼メーカーが所在する市場であることが取得の理由でした。
  3. 生産(設備・拠点・人員・排水処理) — 処理ラインの種類と大きさ、稼働率、拠点の立地、技能を持つ人員です。事例②では、大型のめっき設備と生産ラインが製造能力の約35%の増加につながると見込まれ、近隣の自社工場との共同営業・共同配送も効果に挙げられました。事例④の買い手は一貫生産の強化を、事例⑤の買い手は品質・コスト・納期の向上とサプライチェーンの強化を目的としています。第1章の排水規制の強化を踏まえると、排水処理設備の状態と排水基準への適合の状況も、買い手の確認事項に含まれると考えられます。

6. めっき・表面処理業界の買い手の類型

本稿の国内の事例に表れた買い手は、大きく3つに分けられます。類型ごとに、評価の観点と取得の目的が異なります。

  1. 事業承継型の上場持株会社 — セレンディップHD(事例①)、セイワHD(事例②)など、後継者不在の中小製造業の取得を事業とする上場会社です。セイワHDは取得の評価の目安(EV/EBITDA5倍以内)を開示し、セレンディップHDは売主に自社株式を割り当てるなど、取得の基準と対価の設計を公表している例があります。
  2. 部品メーカー — マルマエ(事例④)、リズム(事例⑤)のように、表面処理会社ではない部品メーカーが、表面処理の事業を取得する例です。取得の目的として、一貫生産の強化、品質・コスト・納期の向上、サプライチェーンの強化が挙げられています。
  3. 表面処理会社・めっき薬品メーカー — エア・ウォーターNV(事例⑥)、石原ケミカル(事例⑦)のように、同業の会社が処理の種類、技術、市場を補う例です。海外の化学メーカーであるQuaker Houghton(事例⑧)も、めっき薬品の分野でこの類型の買い手になっています。

このほか、ファンドは、事例③では出資者として、事例⑧では売り手として登場しています。事例③のファンドは、事業承継型の持株会社の系列会社と金融機関系の投資会社が共同で運営するもので、事業承継型の持株会社とファンドの境界にある買い手と言えます。


7. 買収・提携を検討する事業会社・投資ファンドへの示唆

本稿の事例から、めっき・表面処理会社の買収・提携を検討する事業会社と投資ファンドにとっての論点を3つに整理します。

① 対象先の所在

国内の事例の対象先は、オーナー・個人株主が保有する非上場の会社、他社の一部の事業、ファンドが保有する会社に分かれます。サーテックカリヤは社長から(事例①)、大栄パーカーは後継者不在を背景に(事例②)、キザイは大株主である個人から(事例⑦)、それぞれ全株式が譲渡されました。白金鍍金工業は、親子間の承継を契機にファンドの出資を受け入れています(事例③)。事業単位では、三鷹金属工業のめっき事業(事例②)、アルバックのグループのアルミ表面処理事業(事例④)、トーテックのめっき事業(事例⑤)が他社に移りました。めっき薬品のディップソールは、国内のファンドが保有していた会社です(事例⑧)。国内事例の対象会社のうち4社は愛知県・岐阜県に所在し、取得した2つの持株会社も名古屋市に本社を置いています。

買い手は、事業承継型の上場持株会社(事例①②)、部品メーカー(事例④⑤)、同業の表面処理会社・めっき薬品メーカー(事例⑥⑦)、海外の化学メーカー(事例⑧)でした。投資ファンドでは、事業承継型の持株会社の系列会社と金融機関系の投資会社が共同で運営するファンドが、オーナー家が経営を続ける会社に1件目の投資として出資しています(事例③)。本稿の調査の範囲では、海外企業が国内のめっき加工会社を取得した公表事例は確認できませんでした。事例の対象先は非上場の会社か他社の一部の事業であり、公開情報だけでは特定しにくいため、取得にはオーナー・親会社への直接の打診が必要になります。

② 取引の形

事例には、全株式の取得(事例①②⑦)、70%の取得(事例⑥)、資本業務提携による出資でオーナー家が経営を続ける形(事例③)、他社のめっき事業の譲受(事例②の三鷹金属工業)、工場単位の事業の譲受(事例④)、新設分割で切り出した事業の株式の取得(事例⑤)があります。事例①では、売主が譲渡代金の一部で買い手の株式を取得し、取得の資金には日本政策投資銀行と商工中金キャピタルのメザニン出資が使われました。海外では、合弁相手の持分を買い取って100%とする形(事例⑨⑩)がとられています。

価格の水準では、事業承継型の持株会社のセイワHDが、取得の評価の目安をEV/EBITDA5倍以内と開示しています(事例②)。国内のファンドが保有するめっき薬品メーカーを海外の化学メーカーが取得した事例⑧では、取得価額が買い手の推計による調整後EBITDAの約10.5倍と開示されており、投資ファンドにとっては事業会社への売却の参照例になります。両者は、事業の内容(加工の受託と薬品の製造販売)も規模も異なります。どの形をとるかは、親会社・オーナーの意向と、買い手の統合計画によって決まります。

③ 売り手が重視する点

事例の売り手の側の事情として、次の事実が公表されています。三鷹金属工業では、人員不足と追加投資の余力の制約から、めっき設備の稼働率が下がっていました(事例②)。大栄パーカーは将来の後継者不在という課題を抱えていたとされ、セイワHDのもとで技術と雇用を承継し、事業の継続を図るとしています(事例②)。白金鍍金工業への出資は親子間の承継を契機とし、既存取引先との関係の強化と自動車関連以外の分野での取引の拡大が今後の方針として示されました(事例③)。サーテックカリヤの売主である社長は、譲渡後も買い手グループの株主として関わります(事例①)。キザイの取得価額は、売主との守秘義務により公表されていません(事例⑦)。ファンドが売り手となった事例⑧では、アスパラントグループが、保有期間中に世界の製造拠点の最適化と原価の低減、海外市場での販売拡大に取り組んだとしています。

これらの公表からは、事例の売り手が、価格に加えて、譲渡後に設備を稼働させる人員と投資の余力、技術と雇用の承継、事業の継続を買い手に求めていたことがうかがえます。


8. めっき・表面処理会社のオーナー・親会社が検討すべき論点

売却や資本提携を検討するオーナー・親会社の側では、次の3点が検討の出発点になります。

① 買い手候補の範囲

第7章①のとおり、事例の買い手は同業に限られず、事業承継型の上場持株会社、部品メーカー、海外の化学メーカーも含まれ、ファンドも出資者として登場しています。半導体製造装置向けの処理のように、特定の需要分野で評価される技術を持つ場合は、その分野の部品メーカー(事例④)や、処理の種類を補いたい表面処理会社(事例⑥)が買い手候補になります。買い手候補は、同業に加えて、自社の処理を工程として使う顧客側の企業、事業承継型の持株会社、ファンド、海外の企業までを対象に、自社の処理技術・顧客・設備と補完関係にある先を洗い出すことから検討します。

② 自社の資産の整理

第5章の3つの要素(処理技術と品質管理、顧客と需要分野、生産)ごとに、自社のどの資産が、どの買い手にとって補完になり、どの買い手にとって能力の拡大になるかを整理しておくと、買い手候補との協議で評価の根拠を示すことができます。事例②の三鷹金属工業のように、稼働率が下がっていても、大型の設備と顧客基盤は買い手にとって能力の拡大の手段になります。排水処理設備の状態と排水基準への適合の状況も、あらかじめ整理しておく必要があります。親会社が表面処理の事業だけを譲渡する場合には、事例④(出水工場のみ)のように、譲渡の対象とする拠点の範囲を定めることになります。

③ 取引の形と時期

第7章②の取引の形のうち、どれが適するかは、オーナーご自身の承継の意向、従業員や取引先との関係、譲渡後の経営への関与の希望によって変わります。譲渡後も関与を続ける形としては、売主が買い手の株主となる形(事例①)や、出資を受け入れてオーナー家が経営を続ける形(事例③)があります。時期については、六価クロム化合物の暫定排水基準が施行日(2024年4月1日)から3年間、亜鉛の暫定排水基準が2029年12月10日までとされていることも、設備投資の計画と合わせて検討の材料になります。現在の資本・取引関係と設備投資の計画を含めて、選択肢を整理しておくことが必要です。


9. Syntax Partnersができること

Syntax Partnersは、M&Aのファイナンシャル・アドバイザー(FA)専業のアドバイザリーファームです。一つの案件では、売り手・買い手のいずれか一方のみを支援します。めっき・表面処理を含む製造業・素材の分野で、国内案件とクロスボーダー案件の双方に対応しています。

買い手側の支援

国内外での買収を検討される事業会社・投資ファンドに対し、貴社の戦略に基づく対象候補の調査・リスト化から、オーナー・親会社への直接の打診、交渉、取引の実行までを支援します。投資ファンドのアドオン買収や、大手グループからの切り出し案件の候補探索にも対応します。めっき・表面処理業界では、公開情報の少ない非上場のオーナー企業と、大手グループ内の表面処理事業が対象となるため、候補先の調査と、オーナー・親会社への直接のアプローチを当社が担います。海外の対象先については、日英を含む多言語で対応します。

売り手側の支援

売主様・オーナー様の利益を最大化するアドバイザーとして、事業承継と売却を支援します。投資ファンドが保有する企業の売却も対象とします。譲渡先の候補は国内の同業に限らず、表面処理を工程に持つ部品メーカー、事業承継型の持株会社、ファンドに加えて、海外の化学メーカー・表面処理会社などの戦略買い手も対象とします。

  • 買い手候補の探索:国内の同業、顧客側の部品メーカー、事業承継型の持株会社、ファンド、海外の戦略買い手まで、貴社の処理技術・顧客・設備と補完関係にある先を洗い出し、直接アプローチします。
  • 業界理解に基づく取引支援:処理の種類ごとの顧客の品質承認、需要分野ごとの取引関係、設備と排水処理の状況など、めっき・表面処理業界に固有の要素を踏まえて、買い手候補への説明と条件の協議を進めます。
  • オーナーの意向を反映した交渉:従業員の雇用、取引先との関係、創業家の関与のあり方など、オーナーが重視する条件を明文化し、買い手候補との交渉に反映します。

事業承継、グループ再編、海外の買い手への譲渡、国内外での買収を検討されている経営者・オーナーの皆様からのご相談を承ります。初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

本稿は、各社の公式発表・IR資料、官公庁の統計等の公開情報に基づき、Syntax Partners, Inc. が業界動向を整理したものです。


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