インド 出張を終えて──BKCで感じた金融都市ムンバイの熱気と、日本企業のM&A戦略に必要な視点

BKC, Mumbai, India(筆者撮影)

インド 出張後の雑感。

現地のバンカーは羽振りが良い。投資銀行部門の管理職の報酬水準は今や香港やシンガポールを上回るとBloombergが報じている。マーケットは上昇軌道にあり、大型案件が続いている。数字の裏にある熱気を、街の空気が物語っていた。

一方で、日本企業の存在感は薄く、事業主体としてはもちろん、資金供給者としてもプレゼンスの低さは否めない。目覚ましい成長を遂げる巨大な内需市場の魅力は、欧米、中東、中国から潤沢な資金を呼び込む国内証券市場に象徴される。さらに、英語という強力な武器を持つ国でもある。現地で何度も耳にした言葉は「日本企業は決断が遅い」。待っていても、良いディールが回ってくることはないのは明白だ。

古くから世界三大商人の一角を占め、近年では膨大な人口と目覚ましい発展を背景に、苛烈な競争を勝ち抜いてきたビジネスエリートたちを前に、日本的な奥ゆかしさや慎重さは決して美徳ではない。少なくとも、この国に挑むのであれば、その殻を破り、主体的に仕掛ける覚悟が問われているだろう。

インド定番のチャイを片手に街を眺めながらそんなことを考えた。