【電子機器業界】アジア太平洋クロスボーダー M&A レビュー:2025年の最新動向と2026年への示唆

― 最新動向の分析と2026年に向けた示唆 ―

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2025年にアジア太平洋地域(APAC)で日本企業が関与した電子機器領域のクロスボーダー M&A は20件となり、アジア太平洋での技術獲得・供給網再設計の二つの動きが鮮明に表れた。
取引は中国・台湾・シンガポールを中心に広がり、医療デバイス、光学モジュール、FA装置、パワーエレクトロニクスなど、幅広い領域で再編が進んだ。


台湾:電子部品・半導体領域の再編が進行

台湾は2025年の電子機器関連M&Aで最も特徴が濃い地域のひとつとなった。

TOPPANホールディングスは台湾子会社である凌巨科技(LCD関連)を全株譲渡し、成熟領域の出口戦略を進めた。一方、台湾企業による芝浦電子へのTOB成立(温度センサー領域)は、日台間での高度部品領域の資本関係がますます流動化していることを示している。

また、台湾が強みを持つ半導体検査装置や電子部品サプライチェーンへのアクセスは、日本企業にとって今後も重要な戦略テーマとなる。


中国:光学・電子部品を中心とした再編と事業整理

中国では、電子機器領域の事業売却・合弁設立・構造再編が集中した。

代表例として、マークラインズによる電子機器・ソフトウェアODM企業・華勤技術との合弁会社設立が挙げられる。さらに、車載・医療向け光学モジュールの需要が伸びるなか、精密部品・光学領域での技術補完を目的とした投資が続いた。

FA装置・電子機器分野でも、競争環境の変化を受けた日本企業の中国事業再編が目立ち、事業の選択と集中が一段と進んだ。


シンガポール:FA装置・医療IoTスタートアップへの出資が中心

シンガポールでは、スタートアップや高度製造企業を対象とした少数出資が複数確認された。

デンカは、ウェアラブル電子聴診器を開発するAevice Healthへの出資を実施し、医療デバイス領域への技術接続を進めた。また、RYODEN(菱電商事)はAkribis Systemsの日本事業を譲受し、FA機器のサプライチェーン強化を図った。

シンガポールは、医療IoTと産業ロボティクスの双方において技術系スタートアップの集積地としての存在感を高めている。


ベトナム:パッケージング工程や生産拠点に関する再配置

ベトナムでは、電子機器の中でも製造プロセスやパッケージング工程に関連する事業譲渡が見られた。

トレックス・セミコンダクターは、子会社でパッケージング工程を担うベトナムTVS社の持分を台湾PANJITへ譲渡し、生産拠点の再配置と負荷分散を進めた。ベトナムは生産コスト優位を背景に製造拠点としての存在感を維持しつつ、日本企業は工程ごとの最適配置を進めている。


その他地域(韓国・インドなど):医療IoTやパワエレ領域で動きが拡大

韓国では、ウェアラブル医療機器を開発する企業との協働が見られた。
インドでは、既存事業の譲渡を通じてパワーエレクトロニクス事業の再設計が進み、成熟領域・非中核領域の整理が確認された。


トレンド整理:2025年の電子機器M&Aにみられる構造

2025年の電子機器M&Aを総括すると、以下の軸で企業の行動が整理できる。

  • 技術補完(台湾・中国)
    光学モジュール、パッケージング、検査技術など、製造高度化に必要な領域での取引が増加。
  • ヘルスケア×IoT(シンガポール・韓国)
    医療デバイスやウェアラブルのスタートアップと連携し、新規用途・新規市場への接続が進んだ。
  • 生産拠点の最適化(ベトナム・インド)
    製造工程の再配置やノンコア工程の整理が進み、サプライチェーン効率化がテーマに。
  • 成熟領域の撤退・譲渡(台湾・中国)
    成熟技術を中心とした事業譲渡が複数発生し、選択と集中が本格化。

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