東南アジア(ASEAN) M&A 実務上の留意点:ソーシング(案件組成)編

martinique france fort de france 4881273

なお、エクセキューション(取引執行)上のポイントについては次回の記事をご覧ください。

東南アジアのM&A市場はアドバイザリー型のM&Aが主流であり、仲介市場は発展していません。これは仲介業者の利益相反に対する懸念、また商習慣上も仲介業務に対する信頼が形成されていないためです。従い、M&Aに関わる専門家としては、買い手あるいは売り手の片側のみを代理、また戦略的な提言を行う交渉をサポートするアドバイザーが中心となっています。

従い、買い手側にとっても、とりわけ案件のソーシングにおいてはアドバイザーとのネットワークが重要となり、信頼できるアドバイザーと連携することが案件化の成否に直結します。

東南アジア(ASEAN)地域におけるM&Aのソーシングにおいては、独特の文化や商慣習を理解し、現地の市場特性に合った戦略を立てることが求められます。同族経営の企業が多く、相対取引が主流であるため、オーナーとの信頼関係の構築が欠かせません。さらに、売り手側における明確なプロセスの不在、情報開示の不足、オーナー主導の意思決定といった難所に適切かつスピーディーに対応するためには、現地市場や現地実務に精通したアドバイザーを起用することも有益です。

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