東南アジア(ASEAN 全体)
ASEAN、ミャンマー選挙に全関係者の参加望む=タイ外相
タイのマーリット外相は20日、ミャンマー軍事政権が来年計画している選挙について、東南アジア諸国連合(ASEAN)が全ての利害関係者の参加を望んでいることを軍政側に伝えたと明らかにした。
ASEAN関連会合後のインタビューで、「選挙が行われる場合、ASEANは全関係者が参加する包括的なプロセスを望む」と述べた。
タイは今週、 ミャンマー情勢に関する2つの地域会議を主催した。19日の会合でミャンマー外相は、軍政による政治ロードマップの概要と選挙実施に向けた進捗状況について説明した。
マーリット氏によると、関係各国はミャンマー外相に対し、解決策を見出す上で同国を支持するが、選挙は国内のさまざまな利害関係者を包含するものでなければならないと強調した。同氏はまた、ミャンマーに対して助言はするが干渉はしないと述べた。
中国外務省が20日明らかにしたところによると、孫衛東外務次官は19日にバンコクで行われた会議で、ミャンマーの和平・和解プロセスの前進に向けて、全ての関係者が支援すべきだと呼びかけた。また、ミャンマーの全当事者が対話と協議を通じて相違を解決すべきだと訴えた。
米、対中半導体規制を強化 装置メーカーなど140社に輸出制限
米国は2日、中国の半導体産業に対する3年間で3度目の取り締まりを開始した。半導体装置メーカーの北方華創科技集団(ナウラ・テクノロジー・グループ)を含む140社への輸出を制限する。
レモンド商務長官は、中国が国内の半導体製造システムを進展させ、軍事最新鋭化に利用することを防ぐことが今回の措置の目的だと述べた。
中国半導体ツールメーカーの拓荊科技(パイオテック)や、盛美半導体設備(ACMリサーチ)、深セン市新凱来技術(SiCarrierテクノロジー)も影響を受ける。
今回の規制パッケージには、人工知能(AI)訓練などのハイエンドアプリケーションに不可欠な「広帯域メモリー(HBM)」の中国向け出荷の制限、半導体製造・ソフトウエアツールへの新たな制限、シンガポールやマレーシアなどの国で生産された半導体製造装置に対する新たな輸出制限が含まれる。対ツール制限はラムリサーチ、KLA、アプライド・マテリアルズのほか、オランダの装置メーカーであるASMインターナショナルなど米国以外の企業も影響を受ける可能性がある。
新たな規制に直面している中国企業には20数社近くの半導体企業、投資会社2社、半導体製造ツールメーカー100社以上が含まれる。
これらの企業は「エンティティーリスト」に追加され、米国のサプライヤーは特別な許可を得ずにこうした企業に製品を出荷することが禁止される。
中国外務省の林剣報道官は2日の定例記者会見で、こうした米国の規制は国際的な経済貿易秩序を損ない、世界のサプライチェーン(供給網)を混乱させると指摘。中国は自国企業の権利と利益を守る措置を講じると述べた。
中国商務省は新規制発表後に公式サイトに掲載した声明で、米国の規制は「経済的威圧」と「非市場慣行」の明白な事例だと非難した。
米国はまた、中国の半導体受託製造最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)(0981.HK), opens new tabに対して追加の制限を課す方針だ。
<オランダ・日本は免除>
「外国直接製品」ルールに対応する部分については、企業が中国に輸出できる製品を制限することで米国の一部同盟国に打撃を与える可能性がある。
新規制は米国、日本、オランダのメーカーが世界各地で生産した半導体製造装置の対中輸出を制限する米国の権限を拡大することになる。
マレーシア、シンガポール、イスラエル、台湾、韓国製の装置は同規制の対象だが、オランダと日本は免除される。
拡大された外国直接製品ルールは、中国の最先端半導体製造計画にとって最も重要とみられるエンティティーリスト上の16社に適用される。
オランダ政府は新たな規制を精査すると表明。国家安全保障と輸出規制については「どの国にもそれぞれの考慮事項がある」と付け加えた。
半導体製造装置メーカーの蘭ASMLは、自社の事業への大幅な影響は見込んでいないと説明。オランダ政府が「同様の安全保障評価」を行った場合、一部半導体製造ツールの輸出に影響が出る可能性があるとした。
米、東南アジア4カ国からの太陽光パネルに反ダンピング関税の仮決定
米商務省は29日、東南アジア4カ国から輸入される太陽光パネルに新たな反ダンピング(不当廉売)関税を課す仮決定をしたと発表した。
国内メーカーの団体、米国太陽光発電製造貿易委員会が、マレーシアとカンボジア、ベトナム、タイの工場で中国の大手太陽光パネルメーカーが生産した製品がダンピングを通じて国際的な価格を暴落させる原因になっているとの申し立てを行っていた。
仮決定によると、具体的な関税率は21.31―271.2%まで個別企業ごとに設定されている。
商務省の正式決定は来年4月18日の予定。これに続いて同省国際貿易局が関税執行に向けた最終規則を来年6月2日に取りまとめ、同9日に最終執行命令を告示する見通しだ。
米国内に設置される太陽光パネルの大半は海外製で、商務省の調査では輸入品の約80%が今回対象とした4カ国からだという。
日本車メーカーに再編の波、日産とホンダ協議で2陣営に
日産自動車(7201.T), opens new tabとホンダ(7267.T), opens new tabの経営統合を視野に入れた協議は、中国メーカーの台頭や車両の電動化によって自動車産業が変革する中で浮上した。内燃機関で世界を席巻した日本の自動車業界も影響を免れられることはできず、基幹産業として競争力を維持するため、8社ある国内の乗用車メーカーは今後大きく2陣営に集約される可能性がある。
<提携を後押した「警戒感」>
日産とホンダが業務提携に向けた話し合いを始めたのは今年3月。8月1日に覚書を結び、電気自動車(EV)向けの電池や駆動装置、ソフトウエアなどで「提携」することを発表したが、関係者の1人によると、さらに踏み込んだ協力関係をその前から考えていたという。
事情を知る別の関係者は「ホンダも日産も、市場の変化に警戒感を互いに持っていて、協議を進めて早くまとめたいという意向があった」と説明する。「自社だけで、単独で、この先行けるとは思っていない」と語る。
前出と別の関係者3人によると、両社は持ち株会社を設立してそれぞれ傘下に入り、技術などを持ち寄って協力を深めることを検討している。同関係者らの1人によると、経営統合も視野にある もっと見る 。
<メーカーの多さ、世界で競うには不利に>
自動車を経済成長のエンジンとしてきた日本は、1967年に国内の生産台数が西ドイツを抜いて世界2位になった。もう一つの柱だった電機産業が1990年代ごろから凋落しても、自動車は日本の基幹産業であり続け、燃費性能などを武器に北米、中国、東南アジア市場などで高いシェアを握った。
潮目が変わり始めたのは2010年代後半。米テスラが急成長し、EVが徐々に普及。電池やモーター、ソフトウエアなどが自動車の性能を決めるようになり、内燃機関車で強みを発揮してきた日本メーカーには逆風となった。特に世界最大の自動車市場となった中国では、現地勢との競争が激しくなる中で日本を含めた世界の大手メーカーは戦略の見直しが必要になった。
自動車政策に詳しい日本の政府関係者は「電動化や知能化を含めて自動車産業が大きく変わっている上、中国勢も台頭してきており、国内に自動車メーカーが8社もあるのは多すぎて日本の産業競争力上、難しい」と話す。
日本勢が競争力を高める必要性に迫られる中で、すでにトヨタ自動車を中心とした陣営化は進んでいる。同社はダイハツ工業を子会社とし、SUBARU 、スズキ、マツダ とも資本関係がある。
さらにもう一方の陣営として「ホンダと日産を一緒にしたいという考えはずっとあった」と前出の政府関係者は話す。
「自動車国内市場が縮小する中で、ホンダと日産が統合することで世界的な競争力をさらに高めていってほしい」と経済産業省出身で、自民党の鈴木英敬衆議院議員は語る。ホンダが運営する鈴鹿製作所や鈴鹿サーキットがある三重県の知事でもあった鈴木氏は、「自動車産業は日本経済の雇用にとっても重要だ」と話す。
<問われるスピード感>
ホンダと日産、さらに今回合流する可能性がある三菱自動車工業の年間販売台数は合計約850万台(2023年度)と、世界首位のトヨタ自動車グループ、2位の独フォルクスワーゲングループに次ぐ規模となる。しかし、構想が実現して規模を拡大しても、スピード感が問われる。
中国でも北米でも苦戦する日産は生産能力を20%削減し、年間販売350万台レベルで配当や成長投資を継続可能な収益構造にすることを目指しているが、達成時期は2026年度だ。ホンダはハイブリッド車の販売が好調な北米市場で稼げているものの、現地メーカーとの競争に直面する中国市場は販売が低迷している。
「中国勢はスピードが全然違う」と伊藤忠総研の深尾三四郎エグゼクティブ・フェローは指摘する。「今までの1000万台クラブなど、規模の経済性で利益を出してそれを投資して稼いでいくという5年くらいかかるような再編スピード感でやるという時代ではもうない」と語る。
シンガポール
シンガポールのコアCPI、3年ぶり低水準 11月は前年比+1.9%
シンガポール当局が23日発表した11月の消費者物価指数(CPI)統計によると、民間道路輸送と住居費を除くコア指数(SGCPYY=ECI), opens new tabは前年比1.9%上昇し、3年ぶりの低水準となった。
伸び率は10月の2.1%から鈍化し、ロイターがまとめたエコノミスト予想の2.1%を下回った。
総合指数(SGCPIY=ECI), opens new tabは1.6%上昇し、こちらも予想の1.8%上昇を下回った。
シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は第4・四半期のコア指数を2%前後と予想している。
インフレ鈍化を受け、MASが1月に金融緩和を行う余地が広がったが、アナリストはトランプ次期米大統領の政策を踏まえて2025年後半まで緩和を控える可能性があるとみている。MASは22年10月以降、政策変更を行っていない。
ケッペルとベトナムのソビコ、海底ケーブル敷設で協議=関係筋
複数の関係筋によると、シンガポールの資産運用会社ケッペルとベトナムの複合企業ソビコ・グループは光ファイバーの海底ケーブルを新たに敷設する計画について協議している。
地域のデータセンター産業を後押しする。東南アジア諸国は人工知能(AI)サービスやデータセンターの需要拡大に対応するため、海底ケーブルの敷設拡大を目指しており、ベトナムだけでも2030年までに10本の海底ケーブルを新設する計画だ。
関係筋によると、両社は第1の案としてベトナムとシンガポールを直接結ぶケーブルの敷設を検討。総工費は1億5000万ドル。交渉は流動的で、まだ合意には至っていないという。
第2の案では、シンガポールと日本をつなぐケーブルを敷設し、このルート沿いの国を結ぶ。このケーブルの支線としてソビコがベトナムまでのケーブルを敷設する。
関係筋によると、海底ケーブルを敷設する企業はまだ選定していないが、ベトナムとシンガポールを直接結ぶ第1の案では中国企業を選定しない方針。中国企業を選定すればリスクを伴うと米政府からソビコに説明があったという。
インターネットを介して国際的にデータが往来する海底ケーブルは米中の技術戦争の中心。複数の関係筋によると、ベトナムが海底ケーブルを30年までに10本新設する計画を巡り、米政府は敷設企業選定の入札で華海通信技術(HMNテクノロジーズ)など中国企業を排除するよう強く働きかけている。
テマセク、プライベートクレジット会社設立 75億ドル運用
シンガポールの政府系投資会社テマセクは6日、全額出資のプライベートクレジット会社を設立したと発表した。
当初の運用資産は100億シンガポールドル(75億ドル)。プライベートクレジットを直接提供するほか、クレジットファンドにも投資する。
機関投資家が企業に直接融資するプライベートクレジットは、規制強化に伴って伝統的な金融機関による高リスクローンの調達コストが増大する中で近年急成長している。
資産運用世界最大手の米ブラックロックは3日、プライベートクレジットを手がけるHPSインベストメント・パートナーズを120億ドル相当の全額株式交換方式で買収すると発表した。
テマセクによると、新会社はニューヨーク、ロンドン、シンガポールに駐在するクレジット投資の専門家約15人で運営する。同社のクレジット・ハイブリッド・ソリューション・チームから移籍したという。
テマセクは10年以上前からクレジットファンドに投資。今回、専門の子会社を設立することでグローバルな投資機会が得られるとしている。
バークレイズ、プライベート・バンキングとウェルス・マネジメントを推進するため大量採用を計画
バークレイズ(BARC.L)は、プライベート・バンキングとウェルス・マネジメント事業の成長を促進するため、最大100人のアドバイザーの増員を目指しているが、競争が激しく参入コストが高いため、米国への進出は否定している。
バークレイズ・プライベート・バンク&ウェルス・マネジメントのサーシャ・ウィギンズ最高経営責任者(CEO)は火曜日、25万ポンドから300万ポンドの投資可能資産を持つバークレイズUKの顧客のうち、ウェルス・マネジメント・サービスの強化の恩恵を受けられる約400万人を特定したと述べた。
「英国は、顧客の投資可能資産が約3兆5000億ポンド(約4兆4500億円)に達する大きな市場であり、デジタル投資、富裕層、プライベート・バンキングの各セグメントに分かれている。
「個人にとっても、経済にとっても、大きなチャンスです」と彼女は付け加え、人員を増やし、既存スタッフのトレーニングを拡大する計画の概要を説明した。
バークレイズは、HSBC(HSBA.L)(新規タブ)やスタンダード・チャータード(STAN.L)を含むいくつかの大手国際銀行のひとつであり、中央銀行の基準金利が低下する環境下で、貸出による収益の減少を相殺するために、ウェルス・マネジメント機能の成長を加速させようとしている。
ウィギンズ氏によると、バークレイズは英国以外にもシンガポール、インド、中東での市場シェアを追求しているが、米国は「優先事項ではない」という。
タイ
グローバル・ミニマム課税導入へ 来年1月1日
タイ財務省は27日、来年1月1日から多国籍企業への課税を強化するグローバル・ミニマム課税を導入すると発表した。税率は15%。グローバル・ミニマム課税は経済協力開発機構(OECD)主導で議論が進み、世界の年間売上高が7億5000万ユーロ(7億8100万ドル)を超える多国籍企業に15%の最低税率を課す。
タイの法人税は現在20%だが、タイ投資委員会から優遇措置を受けている企業は最長13年間、法人税の免除を受けることができる。
ベトナム国会は昨年、グローバル・ミニマム課税の導入を承認。インドネシア、マレーシア、シンガポールも来年導入する方針を示している。
タイ中銀、政策金利据え置き 先行き不透明
タイ中央銀行は18日、政策金利の翌日物レポ金利を予想通り2.25%に据え置いた。先行き不透明感が高まる中、金融政策の決定では海外の動向を注視する必要があると表明した。
10月は予想外の利下げを実施していた。金利据え置きは全会一致で決まった。
ロイター調査ではエコノミスト30人中28人が据え置き、2人が25ベーシスポイント(bp)の利下げを予想していた。予想中央値では来年半ばまでに25bpの利下げがあると見込まれている。
中銀は今回の決定について、経済の軌道に沿ったものであり、主要国の政策が不透明感を増す中、政策の余地を残したと表明。
「委員会は今後の不確実性の高まりを認識しており、今後の金融政策を検討する上で経済成長とインフレの見通しを注視する必要があると考えている」と述べた。
中銀のSakkapop Panyanukul総裁補は会見で「中銀は必要に応じて金利を調整する用意がある」とし「(金利は)まだ中立ゾーンにある。経済見通しに明らかに問題があると判断した場合は、調整する用意がある」と述べた。デフレのリスクはないとの認識も示した。中銀は経済成長予測を今年2.7%、来年2.9%にそれぞれ据え置いた。
今年の総合インフレ率の予測は0.5%から0.4%に下方修正。目標レンジの1─3%を下回っている。来年の予測は1.2%から1.1%に下方修正した。
パンテオン・マクロエコノミクスの新興国アジア担当チーフエコノミスト、ミゲル・チャンコ氏は、次の利下げが来年第2・四半期になる可能性が高いと指摘。利下げ幅は25bpで、最後の利下げになるとの見方を示した。
キャピタル・エコノミクスのシニア・アジア・エコノミスト、ガレス・レザー氏は来年中に75bpの利下げがあると予想。「(インフレ率は)非常に低い水準にとどまり、成長が難しくなる可能性が高い」と述べた。
中銀は外国人観光客の入国者数について、今年3600万人、来年3950万人との予測を据え置いた。
今年の輸出の増加率の予想は2.8%から4.9%に引き上げた。来年については2.0%から2.7%に上方修正した。
タイ輸出、11月は前年比+8.2% 予想とほぼ一致
タイ商務省が25日発表した11月の輸出(通関ベース)は前年同月比8.2%増と、市場予想とほぼ一致した。
ロイターがまとめた市場予想は8.4%増。10月は14.6%増だった。
1─11月の輸出は前年同期比5.1%増。同省は通年で5.2%の増加を予測している。
貿易政策・戦略事務局のプーポン・ナイヤナパコーン局長は会見で、来年の輸出目標を2─3%増に維持すると発言。
「来年の輸出については心配していない」とし、米国の通商政策に対する準備を進めていると述べた。
11月の輸入は前年同月比0.9%増。予想の2.3%増を下回った。貿易収支は2億2400万ドルの赤字だった。
タイ中銀理事長候補、政府諮問機関が不適格と判定 中立性に問題
タイの複数のメディアは24日、タイ中央銀行の次期理事長候補に選出されたキティラット元財務相について、政府の法制委員会事務局(OCS)が理事長の資格を満たしていないと判断したと報じた。事情に詳しい関係者が報道内容を確認した。
中銀の次期理事長選出を巡ってはロイターが、政府は与党との結び付きが強いキティラット氏を指名すると報道。中銀の独立性が脅かされるとして野党は激しく反発したが、独立委員会は先月、キティラット氏を次期理事長候補に選出した。
しかしOCSは、キティラット氏がこの1年間政府の顧問職にあり、政治的に中立的な立場だと見なすことはできないため、理事長に適さないとの見解を示した。
OCSはロイターのコメント要請にすぐには応じなかった。ただ国内メディアによるとOCSの事務局長はまだ結論は出ていないと述べた。また別の消息筋はOCSがこの件についてまだ協議を続けていると述べた。
キティラット氏は指名に感謝するとSNSに投稿したが、報道には言及しなかった。同氏は先週、理事長には金融政策に影響を与える権限はなく、中銀の政策に介入することはないとも述べている。
タイ政府、26年度支出の小幅増計画 赤字は若干縮小へ
タイ政府は、2026年度(25年10月1日から)の支出を前年度比小幅増の3兆7800億バーツ(約1107億ドル)とし、赤字は小幅に縮小して8600億バーツとする計画を示した。
中期財政計画が24日、閣議決定された。26年の経済成長率2.3─3.3%、インフレ率0.7─1.7%を前提としている。
26年度末の公的債務残高は対国内総生産(GDP)比67.3%とし、25年度末(見込み)の65.6%から上昇するとした。
26年度の支出は、25年度に計画されている3兆7500億バーツから0.7%増加。赤字は25年度計画の8700億バーツから1%縮小する。
政府は「経済の安定を維持するため、依然として赤字予算を必要としている。中期的に赤字を適切な水準まで削減することに重点を置く」としている。
ベトナム
ベトナム、対米貿易黒字急増で関税リスク高まる 業界に懸念
ベトナムの対米貿易黒字が膨らんでいることから、トランプ次期米大統領が同国を次の関税の標的にする可能性があるとの懸念が業界関係者やアナリストの間で広がっている。ベトナムにはアップル(AAPL.O), opens new tab、グーグルの親会社アルファベット(GOOGL.O), opens new tab、ナイキ(NKE.N), opens new tab、インテル(INTC.O), opens new tabのような米国の多国籍企業が大規模な拠点を置いており、対米黒字が中国、欧州連合(EU)、メキシコに次いで4番目に多い。
米商務省が5日発表した貿易統計によると、1─10月の対ベトナム貿易赤字は1020億ドルと、前年同期比約20%増加した。
貿易調査団体のハインリック財団の貿易政策責任者デボラ・エルムズ氏は「トランプ氏にとって主要な指標は貿易赤字であり、ベトナムの数字は望ましくない」と指摘。ベトナムは米国に対して簡単には報復できないため、トランプ政権が早期に行動を起こす理想的な対象との見方を示した。
米商工会議所が先週、ハノイで主催したビジネス会議で上映されたビデオで、トランプ氏の息子で最高顧問のエリック氏は米国から「不当な利益を得た」国の一つにベトナムを挙げた。この会議で企業や通商団体の関係者らは、米国がベトナムに関税を課す可能性について懸念を表明した。在ベトナム韓国商工会議所のホン・スン会頭は「新たな関税はベトナムの韓国企業にとって最大の懸念事項の一つだ」と語った。韓国のサムスン電子(005930.KS), opens new tabはベトナムから米国へスマートフォンや電子機器を輸出している。
<ナバロ氏の貿易顧問指名>
第1次トランプ政権で通商担当の大統領補佐官を務めたピーター・ナバロ氏が、貿易・製造業担当の上級顧問に指名されたことも懸念要因となっている。同氏はこれまでに、ベトナムへの関税は米国の貿易赤字を削減するために非常に効果的と述べている。
RMIT大学(ベトナム)のサプライチェーン専門家であるグエン・フン氏は、ベトナムの輸出の3分の1近くが米国向けとなっていると指摘。ベトナムが中国製品の組み立て拠点として利用されているとの懸念を払拭するために、ベトナムは製品や部品のトレーサビリティーを向上させる必要があると述べた。
ベトナムは液化天然ガス(LNG)や医薬品、航空機などの輸入を増やすことで、対米貿易黒字を減らせるとの見方もある。しかしエルムズ氏は「ベトナムが黒字を大幅に削減するために、迅速かつ十分な規模を輸入できる状況にあるとは思わない」と語った。
ベトナム、11月輸出は前年比+8.2% 鉱工業生産は+8.9%
ベトナム統計総局(GSO)が6日発表した11月の輸出は前年同月比8.2%増の337億3000万ドルとなった。電子機器と衣料がけん引した。鉱工業生産は前年比8.9%増だった。
輸入は前年比9.8%増の326億7000万ドル。貿易収支は10億6000万ドルの黒字となった。
11月の消費者物価は前年比2.77%上昇。1─11月の平均上昇率は3.69%で、政府が設定した今年の目標上限の4.5%を下回った。
11月の小売売上高は前年比8.8%増。
1─11月の海外からの投資は契約ベースで273億ドル。シンガポール、韓国、中国がけん引した。
調査会社オックスフォード・エコノミクスは6日、来年のインフレ率が3.5%にやや鈍化すると予想。今年は3.6%と見込んでいる。
同社は「ドル上昇によるドン安とインフレ加速の可能性があるものの、当局は通貨防衛を継続する可能性が高い」とした。
経済成長率については今年が6.7%、来年は6.5%と予想している。
エヌビディア、ベトナムにAI研究・データセンター 政府と合意
米半導体大手エヌビディアとベトナム政府は5日、同国にAI(人工知能)研究開発センターとAIデータセンターを共同で設立することで合意した。
同社はまた、ベトナム財閥ビングループ傘下のヘルスケア新興企業ビンブレインを買収したと発表したが、買収額については明らかにしなかった。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は1年前にハノイを訪問した際、ベトナムの主要テック企業とのパートナーシップを拡大し、AIとデジタルインフラ開発のための人材育成で同国を支援したいと述べていた。
ベトナムのテック企業FPTは4月、エヌビディアのグラフィック半導体とソフトウエアを使用した2億ドル規模のAI工場を建設すると発表した。
今回の合意はハノイでフアン氏とベトナムのファム・ミン・チン首相の立ち会いのもと調印された。研究開発センターとデータセンターに関する金額的な詳細は明らかにされなかった。
チン首相は、AIは成長を後押しするとし、クリーンエネルギーの開発にも活用したいと表明。「われわれはAIだけでなく、宇宙や海も制したい。AIは太陽、風、波をクリーンエネルギーに変えてくれるだろう」と述べた。
ベトナム新興EVビンファスト、国内第2工場建設へ
ベトナムの新興電気自動車(EV)メーカー、ビンファスト・オートは8日、国内に第2工場を建設する計画を発表した。生産能力を倍増し、小型・中型車の需要拡大に対応する。
新工場の初期段階の年間生産台数は、ベトナム北部ハイフォンにある既存工場と同じ30万台を見込んでいる。
第2工場は中部ハティン省に位置し、主に国内販売と輸出向けにSUV(スポーツタイプ多目的車)「VF3」と「VF5」を生産する。稼働は来年7月の予定。
ビンファストの親会社であるビングループの副会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるグエン・ビエト・クァン氏は「国際市場での需要が急速に伸びている。EV工場の増設でビンファストにとって今後の重要な爆発的な発展局面に向けて強固な基盤を作る」と述べた。
先月発表した第3・四半期決算は、原材料コストの低下と増産が寄与し、赤字が5億5000万ドルに縮小した。
年初から9月までの納車台数は4万4773台だったが、これは年間目標台数8万台の55%強にとどまる。同社関係者は目標の達成を引き続き確信しているとしている。
ベトナム省庁再編、プロジェクト認可に影響せず 外務省が表明
ベトナム外務省報道官は20日、政府が計画している大規模な省庁再編について、プロジェクトの認可に影響はないと表明した。
投資家の間ではプロジェクトの認可に遅れが生じるのではないかとの懸念が浮上している。
政府は官僚的な手続きを減らすため、現時点で5省4機関、国営テレビ5局の廃止を計画。来年2月に国会で採決するが、今後、計画が修正される可能性もある。
外務省報道官はロイターに「国家管理機能に変更はないため、再編が投資手続き・プロセスの履行に影響することはない」とし「投資プロセスの簡素化に関する強力な規定を継続し、外国企業のベトナム事業を長期的に促進する」と述べた。
ベトナム、中国製風力タワーに97%の反ダンピング関税を課すと発表
ベトナム、中国製風力タワーに97%の反ダンピング関税を課すと発表
ベトナム貿易省は、15カ月にわたる調査の結果、中国原産の風力発電用タワーに97%の反ダンピング関税を課すと発表した。
関税は調印日から15日後に発効し、5年間適用される予定であると、同省は12月24日付の声明で述べた。2023年9月、ベトナムは中国製タワーのダンピングが国内生産者に損害を与えていると主張し、この分野の調査を開始した。
「収集された証拠によると、多くの中国企業から輸入された風力タワーがダンピングされ、国内の製造業に大きな損害を与えた」と貿易省は声明で述べた。当局は、国内メーカーは輸出可能な高品質の風力タワーを生産する能力があると結論づけた。
マレーシア
米、対中半導体規制を強化 装置メーカーなど140社に輸出制限
米国は2日、中国の半導体産業に対する3年間で3度目の取り締まりを開始した。半導体装置メーカーの北方華創科技集団(ナウラ・テクノロジー・グループ)を含む140社への輸出を制限する。
レモンド商務長官は、中国が国内の半導体製造システムを進展させ、軍事最新鋭化に利用することを防ぐことが今回の措置の目的だと述べた。
中国半導体ツールメーカーの拓荊科技(パイオテック)や、盛美半導体設備(ACMリサーチ)、深セン市新凱来技術(SiCarrierテクノロジー)も影響を受ける。
今回の規制パッケージには、人工知能(AI)訓練などのハイエンドアプリケーションに不可欠な「広帯域メモリー(HBM)」の中国向け出荷の制限、半導体製造・ソフトウエアツールへの新たな制限、シンガポールやマレーシアなどの国で生産された半導体製造装置に対する新たな輸出制限が含まれる。対ツール制限はラムリサーチ、KLA、アプライド・マテリアルズのほか、オランダの装置メーカーであるASMインターナショナルなど米国以外の企業も影響を受ける可能性がある。
新たな規制に直面している中国企業には20数社近くの半導体企業、投資会社2社、半導体製造ツールメーカー100社以上が含まれる。
これらの企業は「エンティティーリスト」に追加され、米国のサプライヤーは特別な許可を得ずにこうした企業に製品を出荷することが禁止される。
中国外務省の林剣報道官は2日の定例記者会見で、こうした米国の規制は国際的な経済貿易秩序を損ない、世界のサプライチェーン(供給網)を混乱させると指摘。中国は自国企業の権利と利益を守る措置を講じると述べた。
中国商務省は新規制発表後に公式サイトに掲載した声明で、米国の規制は「経済的威圧」と「非市場慣行」の明白な事例だと非難した。
米国はまた、中国の半導体受託製造最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)(0981.HK), opens new tabに対して追加の制限を課す方針だ。
<オランダ・日本は免除>
「外国直接製品」ルールに対応する部分については、企業が中国に輸出できる製品を制限することで米国の一部同盟国に打撃を与える可能性がある。
新規制は米国、日本、オランダのメーカーが世界各地で生産した半導体製造装置の対中輸出を制限する米国の権限を拡大することになる。
マレーシア、シンガポール、イスラエル、台湾、韓国製の装置は同規制の対象だが、オランダと日本は免除される。
拡大された外国直接製品ルールは、中国の最先端半導体製造計画にとって最も重要とみられるエンティティーリスト上の16社に適用される。
オランダ政府は新たな規制を精査すると表明。国家安全保障と輸出規制については「どの国にもそれぞれの考慮事項がある」と付け加えた。
半導体製造装置メーカーの蘭ASMLは、自社の事業への大幅な影響は見込んでいないと説明。オランダ政府が「同様の安全保障評価」を行った場合、一部半導体製造ツールの輸出に影響が出る可能性があるとした。
マレーシアのプロトン、初の電気自動車を発売
マレーシアの自動車会社プロトンは月曜日、同社初の電気自動車を発売した。これは、同国がEVやハイブリッドEVの利用を促進し、グローバル・サプライ・チェーンにおける足掛かりを得ようとしている中で、地元市場への最新の参入となる。
プロトンはマレーシアのコングロマリットDRB HICOM (DRBM.KL)が過半数を所有し、残りの49.9%は中国の自動車メーカー浙江吉利控股集団(GEELY.UL)が保有している。
プロトンe.MAS 7のマレーシア導入は、BYD(002594.SZ)(新規タブ)、テスラ(TSLA.O)(新規タブ)、ステランティス(STLAM.MI)(新規タブ)に続くもので、リープモーター(9863.HK)(新規タブ)との提携によるものである。
価格はe.MAS 7のベーシックモデルが10万9800マレーシアリンギット(2万4674ドル)、プレミアムモデルが12万3800リンギット。
マレーシアは、2030年までにEVとハイブリッド車が新車販売の5分の1を占めることを望んでいる。今年上半期のバッテリーEVの販売台数は112%増加したと報告されている。
発表会に出席したアンワル・イブラヒム首相は、将来的にはe.MAS 7がマレーシアで製造され、より多くの地元企業がEVの製造に携わることを望んでいると述べた。
マレーシアのパーム油在庫が減少、11月生産量が4年ぶりの低水準に
マレーシアのパーム油在庫は2ヶ月連続で減少し、11月の生産量は予想以上に落ち込み、過去4年間で最低の水準となった。
在庫の減少は、すでに約2年半ぶりの高値に近づいているベンチマーク先物の上昇に拍車をかける可能性がある。インドネシアに次いで世界第2位のパーム油生産国であるマレーシアは、このトレンドの中心にある。
マレーシア・パーム油委員会(MPOB)が発表した11月末のマレーシアのパーム油在庫は、前月比2.6%減の184万トン。
11月の粗パーム油生産量は9.8%減の162万トンで、2020年以来最低となり、パーム油輸出量は14.7%減の149万トンとなった。
ロイターの調査では、在庫は179万トン、生産量は169万トン、輸出量は152万トンと予想されていた。
ムンバイを拠点とする植物油ブローカー、サンビン・グループのリサーチ・ヘッドであるアニルクマール・バガニ氏は、「11月のMPOBデータは、輸出の急減により在庫が予想を下回ったため、市場にとってやや弱気な内容となっている」と述べた。
「パーム油は、競合する大豆油に対して大きなプレミアムがあるため、仕向け地市場から新たな買いを集めるのに苦労している。
パーム油は通常、大豆油やヒマワリ油よりも割安で取引されているが、現在はこれらの競合油よりもプレミアムを維持している。
マレーシア、BRICS諸国に対する米国の関税が半導体供給に影響を与える可能性を指摘
マレーシアは木曜日、トランプ次期政権がBRICS諸国に対し、新通貨の創設やドルに代わる通貨を使おうとしているとして関税を課そうとした場合、世界的な半導体サプライチェーンの混乱を引き起こす可能性があると述べた。
BRICsは当初、ブラジル、ロシア、インド、中国を含む主要新興経済国で構成されていたが、その後、他の国々を加えて拡大してきた。
マレーシアは、欧米経済が支配する世界秩序への挑戦を目指すBRICsへの加盟を申請しているが、まだ正式には承認されていない。
テングク・ザフルル・アジズ通産相は、ドナルド・トランプ次期米大統領がBRICS加盟国に対し、新しい通貨を作らない、あるいは米ドルに代わる他の通貨を支援すると約束しない限り、100%の関税を課すと発言した後の動向を注視していると述べた。
Tengku Zafrul氏は、米国はマレーシアにとって3番目に大きな貿易相手国であり、米国企業はマレーシアの半導体部門への主要な投資家であると指摘した。マレーシアは、世界のチップテストとパッケージングの約13%を占める主要なハブである。
「そのため、100%の関税を課すような動きは、グローバル・サプライ・チェーンの途絶を防ぐために互いに依存し合っている両者に害を及ぼすだけだ」と国会答弁で述べた。
また、BRICS諸国は米ドルなどの伝統的な貿易通貨への依存を減らすことを議論しているが、脱ドルへの取り組みについて正式な決定は下していないと付け加えた。
BRICSは共通通貨を持たないが、ウクライナ紛争をめぐって西側諸国がロシアに制裁関税を課したことで、この問題に関する長期的な議論が活発化している。
月曜日、ロシアは、米国が各国にドルの使用を強制するような試みは逆効果になり、貿易において各国通貨に切り替えようとする各国の努力を強めるだけだと述べた。
インドネシア
インドネシア中銀、金利据え置き 通貨ルピア安定に引き続き注力
インドネシア中央銀行は18日、政策金利の7日物リバースレポ金利(IDCBRR=ECI), opens new tabを6.00%に据え置いた。通貨ルピアの安定に引き続き注力する。
ロイター調査によると、エコノミスト31人のうち17人が据え置きを予想。残る14人は25ベーシスポイントの利下げを見込んでいた。
中銀はまた、翌日物預金ファシリティー金利(IDCBID=ECI), opens new tabと貸出ファシリティー金利(IDCBIL=ECI), opens new tabをそれぞれ5.25%と6.75%に据え置いた。
ペリー・ワルジヨ中銀総裁は記者会見で「金融政策の焦点は、不確実性を増す世界経済の影響に対して、ルピアの安定性を強化することに向けられている」と述べた。
通貨ルピアは10月以降下落圧力を受けており、18日には1ドル=1万6120ルピアと、4カ月ぶり安値を付けた。中銀の発表後に下げ幅を縮小し、直近では1万6085ルピアとなっている。
ワルジヨ氏は、トランプ次期米大統領が関税を引き上げれば、地政学的緊張と相まって、来年の世界経済の成長が鈍化すると予想。サプライチェーン(供給網)の混乱によりインフレが加速し、米連邦準備理事会(FRB)は利下げを先送りするとの見方が高まっていると指摘した。
インドネシア中銀の金融緩和に関する質問に対し、「まだタイミングは適切ではない」と述べ、引き続き状況を注視していく考えを示した。「インフレ率は低水準であり、経済成長を推進したい」と語った。
一方、ルピアを安定させるため、中銀はより大規模な市場介入を実施し、資本流入を促すために魅力的な利回りで債券を提供し、今四半期は流通市場でより多くの国債を購入したと明らかにした。
三井住友銀行(シンガポール)のエコノミスト、阿部良太氏は、米経済は2025年も好調を維持し、ドルが堅調に推移する可能性があると予想。そのため25年上半期はルピアの安定性が危うくなり、利下げの可能性は低くなるとの見方を示した。
中国企業、インドネシアに74.6億ドルの新規投資へ=投資省
インドネシア投資省は22日、中国企業がシリコン製品やガラス繊維の工場などの新規投資プロジェクトに総額74億6000万ドルを投資する意向を表明したと発表した。
ロサン投資相は18日から20日まで中国の杭州、衢州、北京を訪問していた。
同省によると、紅獅控股集団は50億ドルを投じてシリコン、ポリシリコン、バッテリー、コンポーネントを生産する工業団地と2ギガワットの発電所を建設する。
振石控股集団傘下の中国巨石はガラス繊維産業への10億ドルの投資を計画している。また万凱新材料は、石油化学部門に3段階で10億ドルを投資する。
ロサン氏はニッケル企業の華友控股集団に対し、インドネシアに研究開発センターを建設するよう要請し、同社は応じる意向を示した。政府は減税措置を講じるとしている。
自動車メーカーの吉利汽車控股集団を含む中国企業数社の幹部とも会談した。
インドネシア中銀本部を家宅捜索、CSR不正疑惑
インドネシアの捜査機関、汚職撲滅委員会は16日、企業の社会的責任(CSR)プログラムの不正処理疑惑を巡る捜査に関連してジャカルタにある中央銀行本部を家宅捜索した。汚職撲滅委員会と中銀が明らかにした。
中銀は捜査を尊重し汚職撲滅委に協力する方針を示した。
副主任捜査官は記者団に、中銀のペリー・ワルジヨ総裁の事務所も捜索し、関連する書類や電子機器を押収したと述べた。
副主任捜査官によると、汚職撲滅委は中銀がCSR資金の一部を複数の財団に不当に寄付した疑いがあるとみている。「すでに資金を受け取ったとされる容疑者2人を特定した」という。容疑者の名前や資金の規模は明らかにしなかったが、資金の流れは「かなり大きい」と述べた。捜査に関係する中銀関係者全員を聴取する予定だと述べた。
汚職撲滅委員会は9月、中銀など金融規制当局が運営するCSRプログラムを捜査していると表明。個人的な利益のために資金が不正に利用された疑いがあるとしていた。
ワルジヨ総裁は9月、捜査に協力しているが、CSR基金のガバナンスは厳格に行われていると反論。寄付は通常、個人ではなく、一定の要件を満たした教育、社会的地位向上、宗教団体に対して行われる。寄付先は調査をした上で選定し、一定の要件を満たす必要があるという。
国会に提出された中銀予算文書によると、中銀は昨年、社会プログラムや零細・中小企業支援プロジェクト、物価安定対策に1兆6000億ルピア(9966万ドル)を割り当てた。
インドネシアは価格上昇のためニッケル採掘の大幅な削減を検討しているとブルームバーグが報道
インドネシアはニッケル採掘割当量の大幅削減を検討しており、来年の鉱石採掘量を今年の2億2700万トンから1億5000万トンまで減らすことを検討しているとブルームバーグ通信が19日報じた。同国は価格維持を目指している。インドネシアは、2020年にニッケル原料の輸出が禁止され、国内の加工産業の大幅な拡大が引き起こされた後、世界最大のニッケル製品生産国の一つとして浮上した。
関係筋の話として同紙は、削減規模に関する協議が政府内で続いていると伝えた。ここ数カ月、ニッケル製錬業者は鉱石不足を訴えており、一部はフィリピンからの輸入を余儀なくされている。エネルギー鉱物資源省の鉱業を監督する局長は、ロイターのコメント要請にすぐには応じなかった。
インドネシアは10月、価格を支えるためにニッケル鉱石の需給を管理する計画を明らかにした。「需要と供給を維持するためには政府が関与する必要がある。供給が潤沢で需要が低ければ、価格は下がるだろう」とバリル・ラハダリア鉱山相は当時記者団に語った。
アップルが折れたのか-インドネシアの強硬策、工場誘致で逆効果にも
米アップルが対インドネシア投資を10億ドル(約1570億円)に引き上げたことを受け、プラボウォ政権は勝ちを収めたと考えている。最新スマートフォン「iPhone 16」の国内販売に待ったをかけたことで得た勝利だが、投資呼び込みという観点からは逆効果にもなりかねない。
トランプ次期米大統領が関税強化をちらつかせる中で、他の東南アジア諸国は中国から生産拠点を移す投資家を厚遇し、積極的に製造業を誘致しようとしている。
こうした状況下で、インドネシア政府が保護主義的な戦略を用いて外国企業に国内で工場を建設するよう迫っていることに対し、アナリストらは警鐘を鳴らしている。
「今は強硬策を取る最善のタイミングではない」とインドネシア政策研究センターのクリスナ・グプタ上級研究員は指摘。「危険なゲームになりかねない」との考えを示した。
インドネシアはいわゆる現地調達要件を振りかざし、主力製品の販売許可を得たければ、アップルは1カ月以内に投資予定額を1000万ドルから10億ドルに引き上げるべきだと主張していた。
ブルームバーグ・ニュースは先に、アップルは新たな提案の一環として、同社サプライヤーの1社がバタム島に「AirTag(エアタグ)」の製造工場を建設すると申し出たと報じた。
バンク・セントラル・アジアのチーフエコノミスト、デービッド・スムアル氏(ジャカルタ在勤)によると、これは政府が外国からより多くの直接投資を確保するための手法。特に2億7000万人の「インドネシア市場へのアクセス維持に大きな利害関係」を持つ企業を対象としているという。
「この政策はコストを押し上げ、規制を複雑にすることに加え、国内サプライヤーがグローバル基準を満たす能力に欠けることが多い分野、特に先端テクノロジーに依存する産業における現地調達義務化により、外国からの直接投資を妨げる恐れもある」と同氏は分析している。
フィリピン
フィリピン、24年成長目標を6.0─6.5%に下方修正 不確実性踏まえ
フィリピンは2024年の経済成長目標レンジを6.0─6.5%とし、上限を7%から引き下げた。また内外の不確実性を踏まえ、28年までの見通しを修正した。政府委員会が2日明らかにした。
バリサカン国家経済開発庁長官は記者会見で「われわれはより不確実な世界に移行しつつある」と指摘。世界情勢が国内に逆風をもたらす可能性があるほか、トランプ次期米大統領の関税政策はフィリピンにとっていずれの方向にも作用し得ると述べた。
レクト財務相は、今年の6%成長は「現実的に」なお可能と発言していた。
このほかフィリピンは、6月の会合で「国内と世界の不確実性の変遷」を反映し、25─28年の成長目標レンジを6.0─8.0%に拡大。従来は25年が6.5─7.5%、26─28年は6.5─8.0%だった。
28年はマルコス大統領が任期満了を迎える。
フィリピン中銀、インフレ目標を2028年末まで維持 2─4%に
フィリピン中央銀行は27日、現行の2─4%のインフレ目標を2028年末まで維持すると明らかにした。
中銀は声明の中で、現在の経済構造とマクロ経済見通しを考慮すれば、この目標レンジは物価安定の中期的目標を適切に表したものであると説明した。
総需要と供給サイドの状況は上振れリスクがあるものの、インフレ見通しは管理可能な範囲内であるとした。
中銀は先週、主要金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、5.75%とした。インフレ懸念が残るため、来年の追加緩和は段階的に進める可能性を示唆した。
中銀はこの日「起こりうる内的・外的ショックのリスクは、継続的な注視と積極的な介入措置を正当化する」と述べた。 金融政策が物価安定を確保するという主要責務に沿ったものであることを引き続き確認するとした。
インフレ率は1月から11月までの平均は3.2%となっており、中銀の24年目標(2─4%)の範囲内にある。12月の年間インフレ率は2.3─3.1%と見込み、通年では平均3.2%になると予想されている。
フィリピンと中国、スカボロー礁周辺の衝突で非難の応酬
中国とフィリピンは4日、領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺で起きた衝突を巡って互いに非難した。
中国海警局は報道官談話を発表し、4隻のフィリピン巡視船がスカボロー礁付近の領海に入ろうとし、監視任務を行っていた海警局の巡視船に「危険なほど接近した」ため「管理権を行使した」と主張した。
一方、フィリピン沿岸警備隊の報道官は、中国海軍と海警局の船舶がフィリピン沿岸警備隊と漁業局による通常の巡視活動に対して「攻撃的な行動」を取ったと非難した。
中国側は放水砲を発射し沿岸警備隊の船に衝突し、さらに進路妨害や追尾など危険な行為を行ったと指摘した。
スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置する。しかし中国はEEZの基準となる海岸線「基線」を独自に定め、これに基づきスカボロー礁を自国領として明記した「領海地図」を2日、国連に提出した。国連海洋法条約(UNCLOS)の締約国として、「領土主権と海洋権益を守るための正当な活動だ」とする声明を発表した。これに対しフィリピン国家安全保障会議のマラヤ報道官は、領有権の「根拠のない主張」を強化しようとする試みのようだと述べた。
中国、フィリピンの米ミサイルシステム導入に警告
中国外務省の毛寧報道官は26日、フィリピンによる米国製中距離ミサイル発射システム(MRC)「タイフォン」導入計画について、地域に軍拡競争のリスクをもたらすと警告し、同国に対し「平和的発展」に戻るよう促した。
タイフォンは中国を標的とする巡航ミサイルを搭載可能で、今年行われた米比合同軍事演習で配備された。
フィリピンのテオドロ国防相は24日、合同演習向けのタイフォン配備は「正当かつ合法的で非難の余地はない」と述べた。フィリピン軍幹部は、同国が独自に中距離ミサイルシステムを取得する計画を立てていると23日に語った。
毛氏は定例会見で、「フィリピンは、タイフォン配備で米国と協力することで、自国の安全保障と国防を他国に委ね、この地域に地政学的対立と軍拡競争のリスクを導入し、地域の平和と安全保障に実質的な脅威を与えている」と指摘。「フィリピンの安全を守るための唯一の正しい選択は、戦略的自治、善隣、平和的発展を堅持することであると、我々は改めてフィリピン側に忠告する」と述べた。その上で自国の安全保障上の利益が脅かされれば、中国は決して座視しないとした。
フィリピンの台風リスク、気候変動で倍増 気象分析団体が指摘
フィリピンは気候変動によって熱帯性暴風雨に対して脆弱になっており、台風発生の危険性が倍増しているとする研究結果を、世界気象分析グループ(WWA)が12日公表した。
フィリピン周辺では先月に4つの台風が発生したが、世界の気温が1.3度上昇したことで発生確率が70%高まったという。
研究者は、個々の気象現象について気候変動が原因とすることには慎重だが、海水温の上昇で地球全体の降雨量と風速が増しているという見解では一致している。リポートでは「気候変動により、台風の発生や拡大の要因となる条件が2倍近く増加した」としている。
フィリピンでは10月から11月にかけて6つの熱帯低気圧が相次いで上陸。数十万人が避難し、170人以上が死亡した。研究結果をまとめたインペリアル・カレッジ・ロンドンの気象研究者ベン・クラーク氏は、海水温上昇により「暴風雨はより強力に発達してフィリピンに到達する可能性が高まった」と語った。
同氏は、気温が産業革命以前より2.6度高くなれば、同様な暴風雨が発生する可能性は現在よりさらに40%高くなるとしている。
気温上昇によって台風シーズンが長くなるのか、より頻繁に発生するようになるのかは明らかではない。
国際赤十字・赤新月社連盟のフィリピン代表アフリル・ランセス氏は「以前はハザードカレンダーと呼ばれるものがあったが、今は基本的に1年を通して危険なシーズンだ」と述べた。
「AI失業」のリスクに脅えるフィリピンのコールセンター従業員
マイリーン・カバロナ氏は、2010年からフィリピン国内のコールセンターで外国企業からの問い合わせに対応している。この年、フィリピンのコールセンター産業で働く労働者は50万人を超え、インドを抜いて世界最多となった。
その後、カバロナ氏が働くビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)部門は、フィリピンの民間セクターで最も雇用者数の多い産業となり、現在では約130万人が働いている。
BPO産業は、労働者の権利保護の弱さや職業上の健康リスクなど、多くの課題を抱えている。だが多くの労働者がいま抱いているのは、人工知能のせいで完全に失業してしまうのではないかという恐れだ。
労働者組織であるBPO産業労働者ネットワーク(BIEN)の代表を務めるカバロナ氏はトムソン・ロイター財団の取材に対し、「多国籍企業がフィリピンに進出したのは、私たちに顧客対応のスキルがあるからだ」と話す。「ところが、その私たちが真っ先にAIに置き換えられてしまう」
BPO産業の収益は年間約300億ドル)。海外で働くフィリピン出身者からの送金と並んで、フィリピン経済を支える柱の1つだ。
AIの成長により、AIの学習やコンテンツの適正管理といった新たな職種での求人が生じているものの、多くの労働者が従事しているコールセンターでの低熟練業務は時代遅れになりかねない。フィリピン政府は、AIとともに働けるよう労働者を再訓練することで対応する計画だ。
だが、カバロナ氏は、AIの台頭という課題に対処するために労働者のスキルを向上させることを約束するのであれば、並行して、この業界における労働者の権利保護の欠落という根深い問題も解決していくべきだと考えている。
<AI導入に前向きなコールセンター>
フィリピンITビジネスプロセス協会(IBPAP)が今年60社を対象に行ったアンケート調査では、半数以上が、自社ワークフローへのAIの統合に「積極的に取り組んでいる」と回答した。
回答企業の10%以上は、AI技術をすでに十分に導入しており、顧客対応や支援サービス、データ入力及び処理、品質保証といった職種に最も影響が出ていると答えている。
AIツールへの投資は安くは済まないが、業界の専門家によれば、BPO業務の自動化によりかなりのコスト削減が期待できるとしている。
だが、特有の問題はある。フィリピンや南アフリカ、メキシコ、カナダにオフィスを構えるアウトソーシング企業ボールダールのデビッド・スドルスキー最高経営責任者(CEO)は、電子商取引を中心に、最もスキルを必要としない業務が自動化されたため、新規スタッフの採用や一部の職種の補充が難しくなっていると話す。
「これまでBPOやコールセンターが提供していたエントリーレベルの職種がAIによって減ってしまうと、その先はどうなるのか」とボールダールの創業者でもあるスドルスキーは言う。「発生するリスクはかなり大きいと考えている」
スドルスキー氏は、BPO産業は以前のように新卒者を「何十万人も」吸収して拡大していくのではなく、チャットボットやアルゴリズムの学習など「専門的スキルを要し、ITツールに適性のある」職種を導入していくのではないかと考えている。
<労組の結成は進まず>
BPO企業は長年にわたり人件費の削減に熱心であり、これまでは賃金の安い新規採用者によって、そして最近ではAIによって既存のスタッフを置き換えている。
カバロナ氏は、BPO労働者を守る唯一の道は労働組合を結成し、昇給や雇用維持、職場における健康と安全の確保に向けて運動していくことだと話す。
「だがフィリピンのBPOでは労組の結成が進んでいない」とカバロナ氏は指摘し、「(政府は)投資を誘致するために現状維持を望んでいるように見える」と語る。
カバロナ氏は、「クライアントが、この従業員は生産性が低い、あるいは基準に到達していないと感じ、もう必要ないと考えてしまえば、労働者は即座に解雇されてしまう」と語る。
<リスキリングは可能か>
カバロナ氏は、フィリピンのBPO労働者は顧客への話し方や相手への共感といったソフト面でのスキルを鍛えられてきたと話す。
そのため、こうした伝統的な訓練を受けたコールセンター担当者と、AIとともに働くITスキルを持ち、AIツールを使って顧客の問い合わせに答え、AI向けにデータに注釈やラベルを付け、音声や文章でAIボットを訓練するといった能力を備えた人材とのあいだには大きなスキルのギャップが生まれている、とカバロナ氏は言う。
スドルスキー氏は、AIへのシフトによって、テクノロジーに強い人材が有利になり、それ以外の労働者は取り残されるのではないかと話す。
「AIを使えるようにBPO労働者を訓練するだけで、彼らの雇用を維持するのに十分なのか。それが最低限の要件ではある。しかし成功するのは、本当にAIを理解している人材だ。AIに取り組まない労働者は、別の仕事を見つける必要が出てくるのではないか」とスドルスキー氏は言う。
政府も民間セクターも、BPO労働者のリスキリングが、想定されるAI失業に対する解決策になると考えている。
IBPAPでは、多くのBPO企業が「AIを援用するオペレーションに必要なスキルを獲得するための従業員の訓練に前向きである」と述べている。
こうしたスキルとしては、プログラミング、データサイエンス、データ分析、AI倫理などがある。
だがカバロナ氏は、スキル向上だけでなく、BPO労働者の権利をまず保護しなければならないと語る。
「多国籍BPO企業がフィリピンで活動するのは、製造コストを引き下げ、利益をさらに増やしたいというだけでなく、多くの場合、母国には労働組合が存在するという理由もある」とカバロナ氏は言う。
BIENは、「BPO労働者のためのマグナ・カルタ」と呼ばれる法案を支持している。BPO産業に関して、生活可能な初任給の基準を定めようとするものだ。
「ある議員からは、酷使されて苦しんでいる在外フィリピン人労働者に比べればマシな方だとさえ言われた。なぜBPO労働者がそのような扱いを受けるのか。もっと大切にされる資格はある」とカバロナ氏は言う。
Source: Reuters, Bloomberg
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